平均値を出すときは、元データの「数字のばらつき」に注意

アンケート調査では、データの平均値を算出して標準的な数値を導き出そうとすることもあるでしょう。
平均値を見るときは、回答された元の数字にばらつきがないか注視する必要があります。

160㎝が10人いるグループと、170㎝が5人、150㎝が5人いるグループでは共に平均身長はは160㎝である

このように、グループの実態が大きく違っても平均値は同じになってしまうことがあります。
平均値は、全てのサンプルを合計した数値からサンプルの数を割って出す数値です。
そのため、サンプル内の凹凸には気づきにくいという性質があります。

例えば、スーパーの平均利用回数を出す際に1人だけ月に60回以上利用していた場合、それ以外の人が月1回しか利用していなくても平均値は跳ね上がってしまいます。

実情を把握する際には平均値の代わりに「中央値」を算出するのも1つの手段です。
中央値とは、全サンプルの真ん中にある数値を指します。
特に格差が激しく出ている数字については、中央値を用いるとより標準的な回答結果を導き出せます。

平均値を出して「これが標準的なユーザーの姿だ」と安心することなく、調査の元の数字とも向き合うようにしましょう。

参考:
総務省統計局データサイエンススクール
なるほど統計学園

企画の目的を立てることが調査成功への第一歩

調査を行う前に気をつけなくてはいけないことが一つあります。
それは調査の企画や設計をきちんと練ることです。

サンプリングのミスは調査設計の時点で防ぐこともできます。
どのようなデータが欲しいのか、目的を明確にすることで、情報の精度も上がることを意識しておきましょう。

参考:
統計のできるまで

まとめ

アンケート調査は手軽に消費者のニーズを探れるため、マーケティングではよく使われる手段です。
一方では、数字だけを見て誤った判断を行ってしまう危険性の高い分野でもあります。

このような、調査に関わる数学の体系は統計学といい、データの溢れる現代を生きるビジネスマンにとって重要な知識の一つとなりつつあります。
統計学に関して数多くの書籍が存在します。ぜひ今回学んだ数字のトリックだけでなく、自分の業務に関わる統計の仕組みについて学んでみましょう。