漢字表記に関する5つの注意点

日本語では漢字とひらがな、カタカナを合わせて使用することで、短い文字数の中でも多くの情報を表現することができます。
特に漢字は*「海(うみ)」*のように、1字の中に複数の音と意味を表すことができる便利な文字です。

そのようなメリットの反面、使い方を誤ると読みづらくなってしまったり、伝えたい内容が伝わらなかったりと言うデメリットもあります。

では、記事執筆の中でも特に気を付けたい5つのポイントについて解説していきます。
  

1.常用漢字を利用する

常用漢字とは*「⼀般の社会⽣活において,現代の国語を書き表す場合の漢字使⽤の⽬安」*です。
逆にいえば、「絆」や「戌」常用漢字以外の漢字は「表外漢字」と呼ばれ、公的な文書での利用は推奨されません。

学校教育の指導基準を定めた『学習指導要領』でも常用漢字での教育を基本としているため、表外漢字は多くの人が読めない可能性があります。

特別な意味をもたせて使用したい漢字でない限り、常用漢字を利用するように心がけましょう。

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引用:常用漢字表(平成22年内閣告示第2号|文化庁

文化庁のページからは、常用漢字表の音訓索引も可能です。
記事の執筆中に「これって常用漢字じゃないかも」と気になる漢字がでてきたら、検索して確かめてみましょう。

参考:

常用漢字表の音訓索引|文化庁
  

2.難読語を使わない

例えば、*「耽溺(たんでき)」「波及(はきゅう)」「両雄(りょうゆう)」のように、常用漢字であっても読み方の難しい漢字があります。
ほかにも
「彌(や)」「藝(げい)」*のような旧字体を用いる時にも注意が必要です。

自分の届けたい読者が持っている知識に合わせて、わかりやすい言葉を選ぶように意識しましょう。

また、読むのが難しい漢字の中には同じ音で別の漢字を用いることが推奨されているものもあります。

【例】
 衣裳→衣装、遺蹟→遺跡、一挺→一丁 、叡智→英知

伝えたい内容からずれないのであれば、上記のような書き換えも利用しましょう。

参考:
問題例|日本漢字能力検定
「同音の漢字による書きかえ」について(報告)|文化庁
  

3.ひらがなに書き換える

より丁寧な言葉づかいを表現するために、漢字を多用していませんか?
そのような場合、むしろ読者にとって読みづらい文章になっている場合があります。

例えば、「宜しくお願い致します」という言葉も「よろしくお願いいたします」とひらがなへと書き換えることで読みやすくなります。

また、「表外読み」という常用漢字で表記されていない読み方での利用も注意が必要です。
*「徒に(いたずらに)」「頻りに(しきりに)」*のような語句は、漢字は一般的に利用されていても読み方は常用漢字外となっています。
一般には定着していない読み方なので、漢字を利用せずに「いたずらに」「しきりに」と言うひらがなで表記するように意識しましょう。

企業によっては表記のルールを決めて、どの語句をひらがなにするのか社内で統一している場合もあります。
複数のメンバーで記事の作成に取り組む場合は、ルールを決めて取り組むようにしましょう。

参考:
ちょっとひらがなに直すだけで、文章はこんなにプロっぽくなる
知ってる?「表外読み」読めない常用漢字に注意|日本漢字能力検定

4.送り仮名に注意する

漢字の後に続く「送り仮名」にも注意が必要です。
日本国では常用漢字を利用する際の「送り仮名の付け方」を目安として定めています。

例えば、「あたり」という言葉は「当り」という表記ではなく、「当たり」という送り仮名が推奨されています。

このように、送り仮名においても目安となるルールが存在します。
予測変換機能で出てきたものであっても、読者にとって読みやすい送り仮名になっているのかを立ち止まって考えてみましょう。
  

5.使い分けに注意する

漢字の中には「制作/製作」のように、同じ音であっても使いわけがされている語句があります。

*「特徴」「特長」*の違いを例に挙げましょう。

・特徴……ほかのものと違って目立つ点を指し、いい意味でも悪い意味でも使われる。
・特長……ほかのものと比べて優れた点を指し、悪い意味では使われない。

このように、同じように見えても使いわけや書きわけがされている場合もあります。
意味が異なってしまう場合もあるので気を付けましょう。

こちらの記事では使いわけの中でも特によく使用する10語について解説しています。
ぜひ参考にしてください。

参考:
間違って覚えてたら恥ずかしい!ライター、編集者は知っておくべき正しい漢字の使い方10選|ferret
書き分け、使い分け|日本漢字能力検定