InVisionやAdobe XDなど、UXデザインを行う上で便利なアプリやサービスが次々と登場しています。
中にはインストール不要で、ブラウザを開いてFacebookやTwitterにログインするだけで使えるようなツールやサービスもあるので、非常に便利です。

一方、便利なデジタルツールがとめどなく登場してくるので、もしかしたら目の前にあるノンデジタルなツールがどれくらい便利かを忘れてしまっているのかもしれません。
実際、InVisionやSketchによるプロトタイピングに移行する人もいる一方で、ペーパープロトタイピングによって自在にデザインできるので、デジタルデザインを行なっているひとの中にも紙やペンをいまだに愛用している人も少なくありません。

そもそも、ユーザー体験=UX自体を厳密にピクセル単位で考える必要はありません。
直感的で、機能的で、ユーザーの役に立つアプローチは、画面上で作るというよりは、むしろアイデアベースでふとした瞬間に思いつくことのほうが多いのではないでしょうか。

今回は、便利なUXデザインを行うときに手元に置いておきたい道具を5つご紹介します。

UXデザインを行うときに手元に置いておきたい5つの道具

1. 付箋

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ブレインストーミングをはじめとして、チームのアイデアをたくさん出すのに便利なのが付箋です。
付箋はメモ書きを一時的に机や封筒などに貼り付ける小さな紙片で、本来は糊かセロハンテープを用意しなければなりませんでした。
しかし現在では、糊やテープを用意しなくても貼ったり剥がしたりすることができるものも多く、3M社のPost-it!)(ポストイット)が付箋の代名詞ともなっています。

付箋が愛されている理由はたくさんありますが、1アイデアを1枚で簡潔にまとめることができたり、簡単に貼り直して移動することができたり、さまざまな色やサイズのバリエーションがあるのでアイデアを分類することが可能だからです。

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HBOのドラマ「シリコンバレー」にも登場するように、スタートアップのアイデア出しにも付箋が使われています。
アイデアを書いた付箋を壁に貼り付けておけば、次第に分類のパターンが浮かび上がり、意思決定に必要な材料がだんだんと見えてきます。

また、チームで作業をしている場合は、ワークフローの管理で付箋を使うこともできます。
1ワーク=1枚の付箋にして、「作業待ち」「作業中」「作業完了」のようにして、アクションごとに付箋をずらしていくのもいいでしょう。

2. 小さめのノート

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歩いている時や電車に乗っている時などに、突然普段は考えもしないようなアイデアが降ってきたら、どうしていますか?

もちろん、iPhoneをポケットから出して、アプリを開いて、新規メモを作成して、というのも、一つの選択肢でしょう。
しかし、iPhoneの代わりに、小さめのノートを忍ばせておくのも、選択肢に入れて欲しいものです。

ノートは、開くだけで描くことができるので、描きはじめるまでの時間が、アプリを開くよりも数秒早く済みます。
また、メモアプリは必要な時にしか見返さない人も多いでしょうが、iPhoneのようにユニバーサルな目的はなく、ノートは「書く」か「見返す」かに用途が絞られるため、見返す回数も自然と増えます。

デザイナーの中でも人気なのは、FIELD NOTESモレスキンのような方眼タイプのノートや無地のノートです。
とりわけ方眼のノートの場合は、横だけではなく縦にも線が入っているので、定規がなくてもまっすぐ線を引きやすいので、多くのデザイナーが愛用しています。

3. 筆記具

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ノートに書くときにどの筆記具を使うのかも、非常に大切です。

デジタルな流れに逆らうかのように、考えたりアイデアを生み出すときには徹底的にアナログを好むデザイナーもいます。
中にはH2の硬めの鉛筆を、常に鉛筆削りで尖らせておいて、ノートに書き込む人もいます。

モックアップを行う場合には、細めのペンを好む人もいるようです。
デザイナーの中でも昔から愛用されているのは、パイロットのハイテックC シリーズです。

色を塗る場合にはマンガやイラストにも使われている水性ペンを使うケースもあります。
しかし、鉛筆やシャープペンシルなどでグレースケールのモックアップがある程度完成したら、InVisionなどのデジタルツールに移行してより本番環境に近いデザインを行うこともあるようです。

4. ペーパーテンプレート

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WordやExcelなどの文書を作成する場合、テンプレートは非常に役に立ちます。
骨格が決まっているので、あとは必要なデータを入力するだけであっという間に書類が完成するからです。

あらゆる場所でデザインを行うときにも、テンプレートは非常に役に立ちます。
UXデザイナーの中には、AndroidやiPhoneのデバイスを白黒で印刷しておいて、その画面の中にデザインを書き込む人もいます。
また、タブレットやデスクトップサイズの大きさで枠を作っておけば、複数のデザインを同時に考えるのに役立ちます

Sketch PadPrintable Wireframe Templatesといったダウンロード&印刷可能な、とっても便利なテンプレートも配布されています。
これらを印刷して、常に携帯しておくとよいでしょう。

5. ホワイトボード

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ホワイトボードは、UX上の問題解決を行う上でも、デザインについて議論するときにも役立つ万能なツールです。

ホワイトボードが1枚あれば、箇条書きで問題点を書き出したりすることも、付箋をまとめて分類することも、プロジェクターにモックアップを投影してその上に書き込みを行うこともできます

クリエイティブな企業の中には、壁面全体がホワイトボードになっている会議室を用意している企業もあります。
壁がホワイトボードになっていれば、ホワイトボードを設置するスペースの節約にもなり、なおかつコミュニケーションが生まれやすくなります。
最近では、貼ってはがせるようなホワイトボード壁紙のほか、壁に塗るとホワイトボードになるような塗料もあります。

まとめ

UXについてチーム内で議論したりプロジェクトを進めていく場合、必ずしもすべての要素をデジタルツールで完結する必要はありません。

むしろ、リアルなコミュニケーションを行うために、アイデアをすぐに記録したり共有したりすることで、また新しい発想が生まれてくることもあります。
デジタルとアナログの両方のメリットを享受することで、生産性を向上させ、目指すべきゴールの達成に前進することができます。

デジタルツールが好きなひとも、ぜひ一度身の回りのアナログツールを揃えてみてはいかがでしょうか。