優れたストーリーテリングにする5つのポイント

どんなにUIが優れていたり、オンボーディングやマイクロインタラクションなどの手法を取り入れても、ストーリーがないプロダクトであれば人々は使うのをいずれやめてしまいます。
ここでは、もう少し具体的にストーリーテリングのポイントをお伝えしていきましょう。

1. 何があるのか、どんなものなのかよりも、なぜなのかを伝える

ストーリーテリングについて聞くとき、必ずと言っていいほど引き合いに出されるのがスティーブ・ジョブズの話です。

例えば、1990年代後半から2000年代前半にかけて、デルやインテル、ソニーといった競合他社が、MP3プレイヤーを斬新な機能とともに市場に投入してきました。

しかし、Appleは遅れてiPodを投入してきます。
機能としてはほとんど変わりませんが、重要なのは、スティーブが、何があるのか、どんなものなのかよりも、なぜこの製品があなたにとって重要なのかを次の一言で伝えたことです。

「1000曲もの音楽が、あなたのポケットに。(1000 songs in your pocket.)」

この一言が、製品の売上を成功に導いただけでなく、産業全体を変えたとも言われています。

2. 感情に訴えかける

ストーリーは、箇条書きのようにプロダクトの機能を説明するよりも、はるかに感情に訴えかける働きがあります。

優れたストーリーは、視覚にも、聴覚にも、考え方にも影響しています。
例えば、単に地震で倒壊した家の件数をグラフで表示されるよりも、1件の家にフォーカスを当てた方が、そのすさまじさや悲惨さをより知ることができるようになります。

3. キャラクターを立てる

人の介在しないストーリーには、あまり面白みがありません。
Airbnbがここまで拡大してきたのも、どんなひとがホストなのか、どんなひとが旅行者なのかが明確に分かるようになっているからです。

スタートアップの中でも、マーケティングがうまい起業家は、自らをキャラクターとして先陣に立ち、なぜこの企業を作ったのか、他と何が違うのかを、物語で語ります。
何を話すかだけでなく、誰が話すかも重要です。
同じ内容であっても、その人のバックグラウンドが違うだけで、違った風に聞こえるからです。

4. 対立意見から始める

イノベーションとは、現状の打破から生まれるものです。
実際に、多くのプロダクトが、現状への不満や問題点の解消から生まれています。

理想的な世界を実現するには、いまある問題を解決する必要があります。
ストーリーを語るのに、理想との対立構造としての意見や現状から始めるのは、とてもよい方法です。
同じように、UXデザインも、現状のUXの構造に対しての問題提起から始まります。

5. エッジを効かせる

最後はやや抽象的に感じるかもしれませんが、インパクトのある話でなければ人は耳を傾けてくれません。
他と何が違うのかを明確にすることで、その話をすることの意味が明確になります。

言い過ぎて嘘になってしまうのはいけませんが、程よくエッジを効かせて、相手によい印象を与えるのは、非常に大切なことです。

まとめ

メラビアンの法則によれば、第一印象を決めるのは見た目が大きいと言います。
ホームページの場合はデザインにあたります。
しかし、パッと見て優れたデザインだとしても、そこに使う理由がなければ人々は離れていってしまいます。

ストーリーを語れば、なぜあなたがこのプロダクトを使うべきなのか、そこに明確な理由が生まれます。
ぜひ今回のポイントを参考に、ストーリーテリングを実践してみてください。