ミスマッチは色々な場面で起こります。それは、ライターへの発注であっても同じこと。

企業が情報発信をしていく上で、ライターにお仕事をお願いする際に、スムーズに進まなかったり、アウトプットをみたら想像していたものと違ったり……そんなすれ違いを耳にすることがあります。こうしたすれ違いやミスマッチは、大抵は情報や知識の不足から起こるものです。

今回は、ライターに仕事を依頼する際にチェックしておきたいポイントをご紹介します。発注前、発注中、発注後と順番に、各フェーズで発生する課題と、課題への対応策を考えていきましょう。
  

まずはライターの仕事について知る

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「そもそもライターの仕事について知らない」という問題が、まず多くの方がぶつかるハードルです。なかなか身近に存在する職業でもありませんから、仕方のないことです。

それでは、どのような仕事をしているかわからない職業の方たちに如何にして仕事を発注するのか、についてご説明します。
  

1.「ライターの仕事」が漠然としか理解できていない

ライターがどうやって仕事をしているのかがわからなければ、仕事のフローや、単価感だってもちろんわかりません。みんな単価感がわからないから、たまに単価をオープンにしてくれる人の存在が話題になったりします。
※最近では、ライター・Web編集者のしおたんこと塩谷舞さんがオープンにしてました
  
参考:
しおたんこと塩谷舞さんにPR記事を頼んだらいくらかかる?【人気Webライターのギャラ相場を公開】

MEDIA GUIDE|milieu

  
どう仕事をしているかわからないと、なかなかコミュニケーションもしにくいと思うので、まずは基本的なライターの仕事の流れから共有していきます。

個人差、媒体差があることは前提となりますが、取材が発生する案件の場合、ライターは次のようなフローで仕事を行います。ここでは、案件の相談から始まり、記事の掲載までをライティングの仕事の範囲として捉えています。

案件によって、どのフェーズからライターに関わってもらうのかも変わってきます。そして、これは単価にも影響します。事前の打ち合わせの数や、事前のリサーチの量、取材時の拘束時間、納期までの期間、専門性などなど、いろんな情報が単価には影響をしてきます。

案件や依頼するライターによって異なるものでもあるのですが、いろんな媒体で仕事をしたり、ライターの知人たちと話をしていると、取材ありの場合は3~10万円程度、取材なしの場合は1〜5万円の原稿料がスタンダードのようです。

こうした単価感はベースとしながらも、ライターという職種は「面白いテーマか否か」を重視する職種でもあるので、面白い企画だったり、テーマに共感したりすると、上記の値段より低くても仕事をすることもしばしばあります。あくまで参考の価格として考えてください。
  

2. ライターの探し方がわからない

ライターという仕事についての理解が深まったとしても、どこにどんなライターがいないとなかなか発注はできません。そのため、ライターとつながっていそうな人には、「良いライターさんはいませんか?」というメッセージが寄せられることになります。

ライターを探すための方法はいくつかのパターンにわけられます。

●ライターの探し方

・媒体に記載されているクレジットから探す
・知人にヒアリングする
・ポートフォリオサイトなどを探す
・編集プロダクションを探す

媒体に掲載された記事は誰がその記事を書いたのかというクレジットが記載されています。記事からはどんなテーマで、どんな文章を書く人なのかがある程度つかめるので、そこからライターの連絡先を探して連絡してみるのも手です。

編集者やライターなどの知り合いがいそうな知人や友人に声をかけてみて、ライターを紹介してもらうのもやってみて損はありません。ライターの中にはポートフォリオサイトを運営していたり、ポートフォリオを登録しておくようなサービスに実績を掲載している人もいるので、いくつかサイトをチェックしてみるといいでしょう。

編集やライティングの仕事を専門に請け負う編集プロダクションを探して、会社単位で記事の執筆を依頼する方法もあります。
  

ライターに執筆を依頼するための発注書を作成する

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ここまで、発注する際に起こる課題について紹介してきました。結構チェックしておかないといけないことがたくさんあります。

発注時に用意しておくと参考になるのが、発注書のテンプレです。フォーマットを作成して、案件を発注する前にフォーマットを埋めれば、ライターに仕事を依頼する際に押さえて置かなければならないことを整理できます。

発注書には下記のような項目が最低限記載されていれば、ライターとのコミュニケーションが円滑に進みます。

●発注書の項目について

・原稿料の予算
・納品時期(取材が発生するものであれば取材日の目安)
・作業ボリューム(分量など)
・案件の詳細(テーマや取材対象)

ライターの中には、問い合わせの際にこうした情報が整理されている問い合わせフォーマットへの入力を求めるケースもあります。案件の内容が早い段階でわかれば、互いに確認のためのコミュニケーションコストが下がるので、スムーズに仕事が進むはずです。
  

「この原稿、イメージしていたものと違う……」を防ぐために

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ライターへの発注を無事乗り越えたとしても安心はできません。ライターに記事の執筆を依頼し、原稿ができたとしても、「イメージしていたものと違う……」となることがあります。

どこかで互いの抱く記事のアウトプットイメージがズレてしまっていたために起こるトラブルですが、こうしたことが起こる原因として、以下のようなことが考えられます。

●アウトプットイメージがズレてしまう要因

・適切なライターを選べていない
・ライターとのすり合わせが不足している

  

1. 適切なライターを選べていない

ライターごとに専門としているテーマや領域、得意としていることは異なります。そのため、依頼する案件と異なる専門性やテーマを持つライターに依頼をする場合、原稿ができた際にイメージしていた原稿とずれることが起こります。ファッション系、カルチャー系、ビジネス系など、テーマは様々。どのテーマで活動してきたかで、文章や知識は当然異なります。ファッションをテーマに書いてきた人に、ビジネス系のテーマで書いてもらうのは難易度が上がります。

ライターに依頼する際には、そのライターが過去に執筆した記事や、ポートフォリオを確認してみましょう。そうすれば、依頼しようとしている案件とテーマは近いのか、文章の方向性は近いのかを予め確認することができます。
  

2. ライターとの案件のすり合わせが不足している

発注側が記事のアウトプットを具体的にイメージできていなかったり、イメージをライターに共有できていない場合、できあがった記事と抱いていたイメージに齟齬が生まれてしまうことがあります。

こうした状況にならないようにするためには、予め記事のイメージを伝えることが重要になります。たとえば、案件の内容を記載するフォーマットを用意して、それを埋めていくことで案件の整理を行います。事前に整理することで、「どのような記事を作りたいのか」が明確になり、ライターに伝えやすくなります。

たとえば、フォーマットには次のような項目を入れておいて、記入してみましょう。

●案件の内容を記載するフォーマット例

・記事の種類:インタビュー、イベントレポート、リサーチ記事、コラム・エッセイ、ニュースなど
・記事の目的:記事を掲載する目的
・想定読者:媒体/記事の想定読者像は?
・読者のネクストアクション:…読んだ読者にどうなってもらいたいか
・掲載先:コーポレートサイト、オウンドメディア、その他
・文章で伝えたい印象:親しみを持てる、真面目な、その他

(アウトプットのイメージをすり合わせるという作業はとても難易度が高いことなのでゼロになるとは言い難いのですが)記事の方向性をライターと共有できていれば、アウトプットされた段階でイメージと違った、となることは減るはずです。
  

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、ライターに仕事を発注する際に押さえておきたいポイントを紹介してきました。

ライターは仕事をする上で、「案件を面白いと思うか」「案件で扱っているテーマに共感するか」「担当者に熱意があるか」といったことを見ていたりもします。

依頼内容の整理やどんなコンテンツにするかの解像度を上げておくことも大事なのですが、ライターに共感してもらうということも同じくらい大切にしてもらいたいですね。