専門知識を使わずネットショップを開設できるカートシステムが普及したことで、個人や企業問わず気軽にネットショップを作れるようになりました。

しかし、ネットショップの開設は簡単でも運営に課題を感じている担当者もいるのではないでしょうか。広告出稿やSEO対策を行って集客に成功するものの、購買に繋がらない場合など、様々な要因が考えられます。

売上に関する課題を解決する手段の1つとして、「販売価格の設定」があります。ユーザーの購入の決め手になる重要なポイントです。

今回は、ネットショップ運営を行う上で知っておくべき販売価格の設定のポイントについて解説します。

販売価格を設定する上で知っておいきたい方法

販売価格の設定方法は、商材や世間のトレンドに応じて様々です。例えば、「ブランド品」は市場のニーズがあってもブランドイメージを保持するために、大幅な値下げ設定を行わないなど、販売する商品に合わせた価格設定を行う必要があります。そこで、次に具体的な販売価格の設定方法をご紹介します。

コスト志向型価格設定

製造や仕入れのコストに利益を加算する形で販売価格を設定する方法が「コスト志向型価格設定」です。製造時の原材料費、人件費、設備費から割り出した1商品あたりの原価に対して、利益を上乗せする形で価格を設定します。

製造コストが1,000円の商品で、市場のニーズや競合との価格差を踏まえて30%の利益を作ろうとした場合、1,300円で販売するという算出方法です。30%の利益の中に人件費や商品の管理費、営業利益が含まれます。

参考:
売上の最大化を図る価格戦略 | All About

需要価格設定

販売したい商品を消費者がどの程度の価格で購入したいか、ニーズをもとに価格設定を行う方法があります。それが、「需要価格設定」です。販売するターゲット層、商品のブランド価値などセグメント分けし、価格を設定します。

例えば、同ジャンルの商品で「大人向け・子供向け」「男性向け・女性向け」のターゲットごとに展開している場合などに活用できる価格の設定方法です。

競合調査による価格設定

競合分野の多い製造業や競合他社と同一商品を販売する小売業であれば、競合の価格を調査し、価格を設定する方法があります。ベンチマークしている競合の価格を軸に、利益を損ねない価格で値下げ調整を行います。

とはいえ、この方法にはリスクが伴います。競合他社も同様の価格設定を行うことで「価格競争」が起こり得るためです。また、市場価格よりも明らかに下回る値下げを行うことで、独占禁止法の不当廉売行為に抵触するため注意が必要です。

参考:
不当廉売に関する独占禁止法上の考え方:公正取引委員会

心理テクニックを活用した価格設定

売上のフックとなる価格の設定方法のなかに心理テクニックの活用があります。

たとえば、端数を付けた価格を目にしたことがある方もいるのではないでしょうか。「980円」という販売価格の場合、利益率はほぼ1,000円でありながら表示価格が1ケタ少ないことから消費者の購入ハードルを下げる効果があります。

また、人が潜在的に感じる「ブランドへの意識」を活用した名声価格という方法もあります。 ブランド価値が高い商品は、その「価値」にニーズがあるため、値下げするよりも高価な定価の方が売れる可能性があるという手法です。

参考:
価格設定の考え方|起業した後|起業マニュアル|J-Net21