絵本を無料公開!それでも本が売れた2つの理由とは

西野亮廣氏が語るこれからの人生の歩き方_004.JPG

『えんとつ町のプペル』は発売からおよそ3ヵ月後の2017年1月にWeb上で全文を無料公開したことでも話題となりました。

この公開に対して、Web上では「こんなことをしていては絵本が売れなくなる」「クリエイターにお金が落ちなくなる」と言った賛否両論が湧き上がりました。

では、西野 氏は、なぜ全文の無料公開という選択をしたのでしょうか。それには、”無料公開をすることで本は売れる”として2つの理由を挙げています。

参考:大ヒット中の絵本『えんとつ町のプペル』を全ページ無料公開します(キンコン西野)|Spotlight
  

1. 情報と物質としての価値は違う

「絵本って普通5分で読み終わるんですけど。これ30分かかるんですよ。これは買うわなぁと」(青野 氏)

「絵本って読み聴かせをする親子のコミュニケーションツールとして機能している可能性があるんです。つまり、“物質としての価値” と ”情報としての価値” が異なるんです。スマホで読めるとしてもやらないと思うんですよ」(西野 氏)

絵本は、ただ自分で読むためだけのものではなく、親から子どもへ読み聴かせるために用いられています。そのため、文字情報として読む価値だけではなく、物としてそこにあることに価値があります。

西野 氏は、バラエティ番組における飲食店の紹介を例として、「グルメリポーターがどんなに上手に食べ物の美味しさを伝えても、みんな(料理を)食べたいと思うんです」と語りました。

絵本の場合も同様で、仮にWeb上で無料公開されていてスマートフォンで読み聞かせたとしたら、”もの” が欲しいだろうと予測したのです。
  

2. 現代の「お母さん」は絶対にいい絵本しか買わない

「お母さんにとって “絵本買う” という行為は一大イベントなんですよ」(西野 氏)

共働き家族が増える現代では、女性が家庭にかけられる時間も金銭も少なくなりつつあります。そのため、絵本の購入にあたっても「絶対に失敗の買い物ができない」と感じていると西野 氏は口にしていました。

その結果、世の中の母親は書店で絵本の内容を全て立ち読みして、面白いと感じた本だけを購入します。でも、さすがに何時間も立ち読みする時間はありません。ただ、そうした行動に疑問を持ったと西野 氏は言います。

「(その結果)自分が子どもの時読んで面白かった本を自分の子どもに買い与える。結局そのループなんです。『ぐりとぐら』も面白いし、『はらぺこあおむし』も面白いけど、この構造って面白くないと思いました」(西野 氏)

その結果、西野 氏が実際にとった行動が『えんとつ町のプペル』をWeb上で公開することでした。Web上で絵本を公開すれば、書店に行く手間すらかけることなく、家事の合間でも読めます。事実、『えんとつ町のプペル』は公開した初日200万人が閲覧しました。

例えば「そのうち1%が買ったとしても2万部になる」と西野 氏は無料公開の効果を語ります。

「入口で全員からお金をとって……という形に固執するのではなく、無料公開してそれでもほしいと思った方に購入してもらうという形でもいいのでは思いました。最初は無料で公開して100万人くらいにリーチして、うち1%がお金払ってくれて回る形がいいなと。でも、公開後、”無料公開” したことがきっかけで炎上してしまう日本って”やばい”と思いました。ガラパゴス感すごいなって」(西野 氏)