この記事はシェアモル株式会社の齋藤氏からの寄稿記事となります。

日々進化を遂げ、世界中で話題を呼ぶチャット型AI「ChatGPT」。
その性能の高さからビジネスへの活用が広まりつつあり、マーケティング分野における分析や戦略立案への活用も期待されています。

そこで重要なのが、ChatGPTへ指示を与える際の「プロンプト術」です。どのような指示を出すかで、得られる成果は大きく変わるからです。

この記事では、マーケターがChatGPTを活用する際に利用できるプロンプト術を、各マーケティング施策ごとに紹介します。

この記事の執筆者

齋藤 康輔氏
シェアモル株式会社 代表取締役
大学卒業後の2007年3月に上記システム「マッチングッド」を販売する会社、マッチングッド株式会社を設立。 12年の経営の後、2019年1月に東証プライム上場企業の株式会社じげんに株式譲渡。2019年9月ソーシャルコマースサービス「シェアモル」を運営するシェアモル株式会社を設立。2022年12月、シェアモル店舗からのご要望をうけて、SEOに強いAIライティングツール「Transcope(トランスコープ)」をリリース。

ChatGPTとは?

ChatGPTは、OpenAIが開発したAI技術を活用したチャットボットであり、多様な質問や要求に対応することができます。

2022年11月のリリース後からアップデートを繰り返し進化を続けており、2023年3月には従来のバージョンの「GPT-3.5」に加えて「GPT-4」がリリースされました。「GPT-4」は、言語処理能力が大きく改善され、出力精度が向上したり、プラグインが追加できたりと、活用の幅が大きく広がっています。

ChatGPTは、業界や職種に関係なく様々なビジネスシーンで活用されています。例えば、カスタマーサポートや営業活動の効率化、内部の情報共有といったタスクを支援することができるほか、コンテンツ制作やマーケティング活動の補助としても使用されています。

ChatGPTはプロンプトの質次第で真価を発揮する

ChatGPTは”会話型”AIツールです。私たちがAIに出す指示(プロンプト)を基に回答を生成します。例えば、私たちも日常生活で会話をする際に、相手からの質問が抽象的だった場合、質問の意図が理解できなかったり、複数の解釈が可能になるため返答に困ったりしますよね。

ChatGPTも同様であり、私たちが出す指示や質問の質次第で、得られる回答は大きく左右されます

実用的なChatGPTプロンプトの書き方5選

例えば、「おすすめの本を教えて」というプロンプトは、どんなジャンルやテーマの本か、どんな目的で読むかなどが明確ではないため、求めている回答が得られない可能性が高いです。
自分の求める回答を得るために、ChatGPTへのプロンプトを書く際に押さえておくべきポイントを下記でまとめました。

1.コンテキストを細分化する

プロンプトにコンテキストを細分化して入れることで、より適切な回答を得ることができます。
コンテキストとは、質問や指示の背景や目的対象者やシチュエーション制約条件など、回答に影響する要素を指します。これらの情報を明確にすることで、ChatGPTは回答の範囲や方向性を絞り込むことができます。

▼悪い例

新規事業のマーケティング戦略とは?

▼より良い例

2023年の日本でマーケティング担当者をターゲットにした、小規模スタートアップのマーケティング戦略は何ですか?

悪い例のように、一般化されたプロンプトの場合、自社にとって実用的なマーケティング戦略を生成できない可能性が高くなります。

2.明確で簡潔な言い回しを使用する

プロンプトには、細分化されたコンテキストを含めることが好ましいですが、明確で簡潔な言い回しを使用することも大切です。
曖昧さや余計な情報を排除し、冗長な表現は避けましょう。また、専門用語や略語は事前に定義しておくか、一般的な言葉に置き換えます。例えば以下が一例です。

▼悪い例

マルチチャネルアトリビューションを通じてROIを最大化するための方法は何ですか?

▼より良い例

さまざまなチャネルを通したマーケティング施策の効果を追跡し、費用対効果を向上させるにはどうすればよいですか?

3.具体性を持たせる

プロンプトに具体性を持たせて曖昧さを避けることで、より信頼性の高い回答を得ることができます。
プロンプトに具体的な数値や事実、例示などを入れることで、ChatGPTに不正確な推測をさせる可能性を減らしましょう。

▼悪い例

最近人気の映画は何ですか? 

▼より良い例

2023年の日本で興行収入が最も高かった映画は何ですか?

4.中立性を保つ

プロンプトに主観的な意見や感情、偏見や先入観などを入れないようにしましょう。また、プロンプトに回答の方向性や結論を示唆する表現を入れないことも大切です。なぜなら、ChatGPTに偏った回答や誤った回答をさせる可能性があるからです。

▼悪い例

なぜ○○のサービスは業界で1番優れているのですか?

▼より良い例

○○のサービスのどの特徴が、××業界の競合他社と差別化できますか?

5.例を挙げる

ChatGPTは、プロンプトに含まれる情報から類推を行って回答を生成します。
求めている回答のイメージや形式、範囲や種類などをプロンプトで示すことで、ChatGPTに回答のヒントを与えることができます。
このようなプロンプトの与え方をFew-Shotプロンプティングと呼びます。

▼悪い例

私に記事を書いて

▼より良い例

○○についての解説記事を、以下のテキストを参考に書いてください。
参考例:(参考にして欲しいテキスト)