2016年頃、中国で流行を見せはじめたライブコマースは、日本でも大手C2Cコマースのメルカリが参入したことで、大きく盛り上がりを見せはじめています。

文章や画像で商品を説明する従来のコマースサイトとは異なり、「ライブ」という名の通り*「生放送」*で商品を販売する手法なのですが、果たして「ライブコマース」とはどういったもので、どのようにしたら「売れる」のでしょうか。

そこで今回は、ライブコマースの概要と、いま流行中のライブコマースプラットフォーム5選をピックアップし、「売れる」ようになるためのコツをご紹介します。

ライブコマースとは?

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淘宝直播 (タオバオライブ) / TechNode

ライブコマースとは、オンラインで生放送の動画を配信し、動画内で商品の紹介や販売を行う手法を指します。こうしたプラットフォームの多くはタレントやインフルエンサーを起用していますが、一般人でもライブコマースを始めることができるものも増えています。

従来のネットショップ(Eコマース)とは違って、文字や画像で一方的に商品を説明するのではなく、視聴者とのコメントのやりとりをしながらリアルタイムでコミュニケーションを行うことができます。紹介されている商品の質問をしたり、商品を購入してもらった場合にお礼を言ってもらえるといった点が購入の後押しになります。

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Tech In Asia

これまで、ある商品を購入する際には、さまざまなコマースサイトで商品の値段や配送条件などを比較検討したり、レビューを見て購入するかどうかを判断するといった流れのように、時間や手間をかけて行うのが当たり前になっていました。

ライブコマースの登場により、店員が直接商品のレコメンドをしてくれる、そんなリアルなショッピング体験がオンライン上でも体験できるようになったと言えます。

ライブコマースプラットフォーム5選

それではここで、国内で運用されている主要なライブコマースのプラットフォームをご紹介いたします。

1. メルカリチャンネル

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mercari

メルカリチャンネルは、フリマアプリの「メルカリ」上に提供されている、ライブコマース機能です。メルカリのアカウントを持っている人なら誰でも閲覧できるようになります。

配信の仕方は簡単で、タブを「メルカリチャンネル」に合わせると右下に「ライブ」ボタンが現れます。このボタンをタップするだけで、配信を始めることができます。

なお、一般の人でも参加することはできますが、条件としては*「事務局から選ばれた、評価が1000以上の方」*が対象になっています。配信時間は9時から22時までで、日毎に配信に上限があるので、できるだけ早めに配信を始めておくといいでしょう。

2. Live Shop!

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Live Shop!

Live Shop!は、Instagramに代表されるSNSで多くのフォロワーを集めるインフルエンサーを中心に、お気に入りのアイテムを紹介するライブコマースサービスです。視聴者は、インフルエンサーとコミュニケーションを取りながら、その場で商品を購入できます。

販売する商品は、インフルエンサー自身が選んだものがメインで、Live Shop!を運営しているCandee内にあるスタジオでライブ配信を行っています。

また、出演者がお気に入りの商品を紹介する「個人チャンネル」のほかにも、各ブランドやメディア独自の世界観を表現できる「ブランドチャンネル」「メディアチャンネル」も開設できます。

3. PinQul

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PinQul

[PinQul]は東大発のベンチャーであるFlattが運営している、インフルエンサーを中心としたライブコマースサービスです。誰でも商品が売れる訳ではなく、PinQul側で配信者を選定しています。

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PR TIMES

従来のインフルエンサーマーケティングとは異なり、インフルエンサー自身がデザインしたり選んだりした商品を多数扱っています。インフルエンサー自身の私物が販売されることもあります。そのほか、PinQulのプライベートブランド発の衣服も販売しています。

4. BASE LIVE

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BASE

BASE LIVEは、誰でもコマースサイトを開いて商品を販売できるBASEで、オススメの商品を直接紹介することができるライブコマース機能です。視聴は「ショッピングアプリBASE」から、ショップオーナーによる配信は「BASEライブ 配信アプリ」から行います。

BASE LIVEが他のライブコマースと違うのは、BASEでショップを開いているオーナーなら誰でもライブを行うことができる点です。

よく知られているインフルエンサーではなく、一般に物を販売するオーナーによる販売が可能なので、他のサービスでは見つからない幅広いジャンルのものを購入することができます

5. Mimi LIVE

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Tech Chrunch

Mimi LIVEは、女性向け美容動画メディアMimiTVアプリ内で利用できる、ライブコマース機能です。メルカリと同じく現存するアプリに統合する形で、ライブコマースを取り入れています。

MimiTVは美容領域に特化した分散型動画メディアで、自社アプリだけでなく、YouTubeやFacebook、TwitterやInstagramなどに向けて作成した動画を配信する形を取っていました。他のメディアに比べて、1本10分前後と比較的長めのコンテンツを配信しているのが特徴です。

THE BRIDGEによれば、Mimi LIVEの位置付けは、あくまでも「Mimi TVに1機能を追加したもの」で、インフルエンサーとの繋がりの接点を増やすのが目的だということです。今後もライブコマースだけに大きく舵取りをすることはなく、あくまでも美容動画メディアとしてのブランド確立を目指します。

参考:
美容動画メディアのMimiTVがライブコマース領域に参入、培ったインフルエンサー活用の強み活かす - THE BRIDGE(ザ・ブリッジ)

ライブコマースで「売れる」ための「コツ」は?

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「タオバオ」の公式チャンネル撮影の様子 / CHINA.ORG

インフルエンサーが配信元となっているケースもありますが、「メルカリライブ」や「BASE LIVE」のように、一般ユーザーにもライブコマースへの門戸は次第に広がりつつあります

それでは、どのようにすればライブコマースで「売れる」ようになるのか?一見従来のコマースサイトとは毛色が異なるため、始めてみたいけれどどのようにすればよいか分からず困惑している方もいらっしゃるでしょう。ここでは、*商品が「売れる」ようになるためのちょっとした「コツ」*をまとめてみました。

1. テーマを決めて系統を揃える

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これは従来型のECサイトにも言えることですが、なんでも取り揃えるお店よりは、「専門店」のほうが特定の人の心を掴みやすく、結果的に売上が上がるケースが多いようです。

万人の心を掴みたい、という気持ちは誰もが抱くかもしれませんが、商品が「売れる」ということにフォーカスをするなら、できるだけ「ニッチ」なテーマを選んで、そのテーマを掘り下げるのがよいでしょう。

自分の強みを専門とすれば、ライブコマースではその専門性をライブで発揮することができます。一方、自分が扱ったことのない商品を無理に扱おうとすると、商品をうまくプレゼンテーションすることができず、商品の魅力を十分に伝えられません。自分の土俵を決めて、そこに視聴者を集めることが大切です。

2. 視聴者だけが得られるメリットを用意する

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ライブコマースで継続的に視聴者を惹きつけるには、*「観てよかった」*という感想をできるだけ早く視聴者に抱かせることです。そのためには、視聴者だけが得られるメリットを用意するとよいでしょう。

ここでいうメリットとは、物理的なものに限りません。ライブコマース中に視聴者の名前を呼んだり、コマースサイトでは知ることのできない商品の「ヒミツ」を暴露したりと、視聴している人だけが得することを用意するということです。

単に商品ページを見れば分かる情報だけを紹介しても、なかなか視聴者数は増えません。どんな情報や企画を用意すれば視聴者が集まりそうか、考えてみましょう。

3. 実際に購入されたことを実況中継する

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ライブコマースでは1回の「生放送」で複数商品を販売する場合が多いようです。この「ライブ感」をうまく演出するには、実際に購入されたことを実況中継するのがベストプラクティスです。

具体的には、商品が売れたら、ベルを鳴らしたりして商品が売れた旨や、商品を購入したユーザーのハンドルネームを読み上げ、お礼を言います。純粋に、購入ユーザーの幸福感が増大するだけでなく、商品は限られているので「バーゲン」のような心理状況にもなります

テレビショッピングでは目の前の商品が誰に売れたのかはわかりませんが、ライブコマースではどのユーザーが視聴しており、チャットでも誰が発言したかが分かるようになっています。この点をうまく利用して、販促につなげてみてください。

まとめ

中国では日本より一足先に、*淘宝直播(タオバオライブ)*のようなライブコマースが広がっていますが、日本でも2017年下半期より一気に広がりを見せています。

インフルエンサーを活用したライブコマースではスタジオ撮影で放送しているものも多いですが、中国ではそういったことは無視して嘘のつけないリアルな感覚が信頼を生んで広がっているようです。今後もライブコマースの動向に目が離せません。