ビジネス向けのコミュニケーションチャットツールを提供するSlack Technologiesは26日、日本法人の正式立ち上げを記念し、都内で記者会見を開きました。同社のスチュワート・バターフィールドCEO兼共同創設者が初めて公式来日し、「勤勉で、良好なチームワークを誇る日本の労働をより支援していきたい」と挨拶しました。

会見では、スチュワート 氏によるSlackの開発秘話や今後の展望、Slack Japan株式会社の佐々木聖治 代表による日本での事業計画が発表され、Slack導入企業による活用事例がパネルディスカッション形式で紹介されました。

日本のSlackユーザー数、米国に次ぎ世界第2位に

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Slackは、無料から利用できるフリーミアム型のビジネス向けチャットツールです。2014年2月にゲーム開発会社内でのチャットツールを原型とし、サービスの提供を始め、その後、口コミを通じて利用者が増加しました。

2018年6月現在、Slackは世界100カ国以上で利用されており、日間アクティブユーザー(DAU)は800万人を突破し、300万人以上が有料プランを利用しています。

2017年11月には、日本語版サービスの提供を開始しました。今では、日本国内のDAUは50万人以上、有料プラン利用ユーザーは15万人と、米国に次いで世界2位のユーザー数を抱える規模に成長しています。

参考:
「Slack」11月17日 日本語版ローンチ|PR TIMES

「日本は、Slackと同じ価値観を共有している」

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スチュワート 氏は、Slackが世界の中でも突出して日本で利用されている理由として、「日本人はエンジニアを始めとする職人に対する尊重と愛の精神があり、海外から新しい技術を取り入れることにも優れている」とした上で、Slackの“効率性”、“チームワーク”、“改善を重ねて完璧を目指す”という労働の価値観の共通点に触れました。

「Slackによってコミュニケーションの弊害をなくし、人間にしかできないクリエイティブな仕事を生み出す時間を創出してほしい」と語りました。

日本の新しいプラットフォームとしての期待

会見では、Slack Technologiesが投資を受けているソフトバンクグループ株式会社の代表取締役会長兼社長である、孫正義 氏からのビデオメッセージも公開されました。

孫 氏は、「今では日本でも『Slackがないと仕事ができない』という声を聞く。Slackはこれから日本の新しいプラットフォームになると期待している」と述べました。

Slackはあらゆるツールを一元化する「ビジネスコラボレーションハブ」に

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Slack Japanの代表である佐々木 氏は、Slackが「働き方改革」「イノベーション」「生産性向上」といった日本の課題を解決しうるツールであると紹介しました。

SlackユーザーはIT・テクノロジー企業に多い印象があるものの、実際は利用企業の過半数がそれ以外の企業であるそうです。「今後、業務に関するソフトウェアサービスの増加によりコミュニケーションは多様化・複雑化していくだろう」と佐々木 氏は予測しています。

その上で、Slackはチャットツールとしての役割を越え、あらゆるデータ・プロセスとアプリケーションを一元化できる「ビジネスコラボレーションハブ」としての存在を目指すと語りました。

日本市場におけるSlackの3つの施策

今後、日本でよりSlackを成長させていくために、佐々木 氏は3つの事業方針を掲げました。

1つ目は、いち早くより多くのユーザー、企業へのサポートを充実させるための「人材採用」、2つ目は、Slackの「ビジネスコミュニケーションハブ」としての本来の価値を発揮させるための「エコシステムの確立」。3つ目は、Slackユーザー同士の活用経験を共有し、より利便性の高いサービスへと近づけるための「コミュニティー」です。

SlackはDropboxやGoogle driveなど様々なツールと連携できることが特徴です。佐々木 氏は今後この連携を100まで増やすことで「ハブ」として存在感を高めたい意向です。