テクノロジーの進化は、私たちの生活だけでなく様々な商業活動も発展させてきました。小売店などでも導入されている最新技術の1つが、「スマートカート」「セルフレジ搭載カート」と呼ばれる技術。

近年スーパーマーケットなどの小売業界の店舗を中心に導入が進んでおり、特に大手スーパー「トライアル」などで導入されている「Skip Cart」は世界で最も利用されているスマートカートシステムとして大きな注目を集めています。

セルフレジ搭載カート「Skip Cart」とは?

Skip Cart」は、株式会社Retail AIが開発したスマートショッピングカート。2018年に開店した「スーパーセンタートライアル アイランドシティ店」は、日本初のスマートストアとして「Skip Cart」を導入しました。

カートにはタブレット端末とバーコードリーダーが搭載されており、商品を買い物かごに入れる際にバーコードをスキャンすることができます。スキャンした商品の合計金額や個数は随時タブレットに表示されるため、買い忘れや予算オーバーを防ぐことができると利用者からも高い評価を得ているようです。

Skip Cart

出典:Skip Cart|ソリューション|株式会社Retail AI

さらに同システムではカート内の商品を分析し、顧客に合わせたおすすめ商品やクーポンを表示する機能も搭載。店舗側の営業戦略にも重要な役割を果たしています。

類似のシステムでは専用アプリのインストールや会員登録が必要な場合が多いですが、「Skip Cart」ではそれらの手間を省略。専用のプリペイドカードを作成すれば、その日からカートを使用することができます。またセンサーによるスキャン漏れ防止機能も実装されているため、万が一の盗難や誤ってスキャンされなかった商品を検出可能。

スマートフォンの操作に不慣れな高齢者やセルフレジ搭載カートに慣れていない方など、どの世代の顧客でも安心して利用できるよう様々な工夫がなされています。

決済時間も短縮で、店舗と顧客にメリットが

「Skip Cart」の決済は、専用ゲートを通るだけで終了。約30秒で会計が完了するなど待ち時間の削減、店舗スタッフの負担削減にも大きく貢献しています。また、同カートのデータ収集機能を活用することで、在庫管理の効率化も図ることが可能。顧客の購買パターンや行動分析を通じて、より効果的な商品の陳列やプロモーションの計画が立てられます。

公式サイトによると、「Skip Cart」導入によりお会計時間は74%減少来店頻度が13.8%も向上するなど、利用者と店舗側、双方にメリットがあるようです。

続々と広がるスマートカートの利用店舗

大手スーパーのヨークベニマルでも、一部店舗で「スキャンカート」が導入されています。こちらも「Skip Cart」と同様に、カートにディスプレイが設置されているためアプリの登録やスマホの連携などは不要。

セブン&アイグループの重点課題

出典:セブン&アイグループの重点課題

こちらのカートの底には重量センサーがついており、スキャンされていない商品がカゴに入るとアラートが出る仕組みになっています。逆にスキャン済みの商品をキャンセルしたい時には、カゴから商品を取り出すと「取り消しですか?」と端末に表示されるので「はい」を選択。商品のバーコードをスキャンすればキャンセル完了です。

海外でもスマートカートの利用は広がっているよう。アメリカで展開されているAmazonの実店舗「Amazon Fresh」では、「Amazon Dash Cart」というスマートカートを利用することができます。2020年に初代が登場し、2022年の改良版ではより容量も大きくなった「Dash Cart」。こちらはアレクサに搭載した買い物リストをディスプレイに表示することができるなど、Amazonならではの機能が搭載されています。

Amazon Dash Cart

出典:Amazon.com: Amazon Dash Cart: Grocery & Gourmet Food

快適な買い物ツールとして、今後ますます普及していくことが予想されるスマートカートシステム。導入されている店舗が身近にある方は、新時代の買い物を体験してみてはいかがでしょうか。