平等に働きやすい環境を構築するための休暇制度

ferret:
ヌーラボさんの社内制度でもうひとつ気になったのは、「他社よりも有給休暇が多い」という点です。もちろん雇われる側として、同じ報酬をもらえるのであれば休みが大いに越したことはないのですが、もちろんそれは短い時間で成果が出る、つまり生産性が高いことが前提になってきますよね。

安立氏:
ヌーラボのツール自体が、「業務を効率的に、かつ楽しくコラボレーションする」というところをテーマにしています。なので社風として、「ヌーラボのツールを使うから効率的に仕事ができるよね」というストーリーでやっているというのはありますね。

現在のシステムだと、入社日の時点で有給休暇が10日、それから1年後には20日ずつ有給休暇がつきます。

ferret:
一般的な有給休暇のシステムと比べると多いですよね。
有給休暇を多く付与していることに理由はあるのでしょうか?

安立氏:
じつは海外出身のメンバーや子育て中メンバーのライフスタイルを考慮した結果なんです。

例えば、海外出身のメンバーが里帰りをしようとすると、国内メンバーの2倍ぐらい日数がかかるじゃないですか。そういった人たちが普通に里帰りしてまた戻ってきてという生活を送れるような会社でありたいんですよね。子育て中のメンバーに関しても、やむを得ない休みがどうしても増えてしまうこともあると思います。

じゃあそれを特別扱いしているよりも、それをベーシックにして合わせていった方がいいよねという判断なんです。

ferret:
様々な人がいるからこそ、それぞれ平等に働きやすい環境を構築するための休暇制度ということですね。ヌーラボさんの場合、休暇もしっかりとって、さらに残業も前提としない働き方をしているということですから本当にすごいですよね。

安立氏:
ヌーラボの代表も話しているのですが、「残業して成果が高い」というのはただ勤務時間に比例しているだけなので当たり前といえば当たり前ですよね。本当に優秀なのは、早く帰って成果が出せる人な訳で。「最後までいた人が頑張っている」ではなくて、そういった考えに捕らわれることなく成果を出している人を評価できる環境にあるのはいいことだなと思っています。

特にヌーラボの場合だと、「これをやったら売上が変わる」みたいなことがあまりないんですよね。もう一軒アポに行けば売上が上がる可能性が高いってこともないですし。例えば全員残業時間を30%アップすれば売上も30%上がるかというとそういう仕事ではないので、むしろ全員が今月休んで売上が出てくれた方が利益率って上がるわけじゃないですか。

ferret:
自社サービスに合った働き方を実践しているというわけですね。

安立氏:
そうですね。効率よく働き、それを評価する文化があるからこそ、というところですね。

発信が大事とは言うけれど…何をどう発信するべき?

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ferret:
人事の大切な役割のひとつ「採用」についてお伺いいたします。

最近は人材業界の売り手市場が続いていて、なかでもIT人材の確保にはどこも苦戦をしている状態ですよね。内定承諾率94%を実現しているヌーラボさんではどのような工夫をしていらっしゃるんでしょうか?

安立氏:
採用について、「2名採用したい時は2名から応募が来ればいい」と思っています。だからなるべくたくさんの方に応募して欲しいというようには考えてないんですね。その方がお互い効率が良いですから。

ferret:
そうですね。たくさん応募がきたらそれだけ人にも会う必要が出てきますもんね。

安立氏:
そうなんです。なので数をさばくことを考えるのではなく、しっかりとヌーラボと向きあってくれそうな人に会えるようにしていくことが重要だと思っています。そのためのアンテナとして、情報を開示していく必要があるんです。候補者の方が応募する前に、「ヌーラボってこういう会社なんだ」「他の会社とはここが違うな」というのを、なんとなくでもいいので感じてもらえるような設計にはしています。

ferret:
なるほど。おそらく採用のための施策として、「企業からの情報発信」というのを重要視している企業は増えているなと感じる一方で、「じゃあどんな情報でもとりあえず発信すればいいのか」という問題もありますよね。

「開示する情報の選択」については、どのように考えているのでしょうか?

安立氏:
「私たちにしか書けないものか」というのはすごく考えています。例えばですけど、イベントレポートなど、ヌーラボでなくても書けるものですよね。なので最近はあまり書いていません。あとよくWantedlyなどに掲載される社員インタビュー。サクセスストーリーは他社との差別化が難しいために、そんなに力を入れていません。

力を入れて発信するようにしているのはヌーラボの考え方、特に書くのが難しいニュアンスの部分なんていうのは、あえて力を入れて書き出すようにしていますね。

ferret:
とにかくたくさんの情報を発信すれば良い、という考えとは違うのですね。

安立氏:
はい。実際にWantedlyをたくさん更新しているということもありません。「Wantedlyで記事を更新したらこんなに応募が集まりました」「一番上の部分に掲載されてました」っていうのは本質的ではないと思っていて。それってどれだけ採用の工数がかかっているの?って話にもなりますよね。それで500人から応募がきたとして、500人と面接するのか?落とさなければいけない人数が増えたら、会社にファンだって付きにくくなってしまいます。

ferret:
確かに不採用者が増えるのはプラスに思えませんね。当たり前ですが、見落としがちなことかもしれません。最近は採用が難しくなっている関係でとにかく応募を集めようという流れがあるように思えますが、安立さんの話を聞いていると必要な人材のみに的確にアプローチできれば十分ということですね。

安立氏:
もちろん応募数に関してはこのくらいあったらいいなという目安はあります。ですが、応募数を追うということはしていません。応募数を上げるために動くよりも、一発で決まった方がいいと思っていますので。また採用に関しては待つだけでなく、こちらから積極的に声がけも実施しています。私たちのことを100%知ってもらえていると思っていないので、そのつもりで採用には携わっていますね。