テクノロジーの発達により、企業は以前より膨大な量の情報を扱うようになりました。それに伴い、情報を整理し、業務を円滑に進めるためのシステムも必要不可欠になっているといえます。

ただ、一言でシステムといっても、複数の種類が存在し、それぞれに機能や導入目的が異なります。この記事では「基幹システム」「ERP」「情報システム」の3つを取り上げ、それぞれの違いを説明します。システムを導入するにあたり、これらの知識をインプットしておきましょう。

また、企業活動を円滑に行うためのシステムがパッケージ化された「ERP」について、おすすめのものをピックアップして紹介します。ぜひ、「ERP」を選ぶ際の参考にしてみてください。

▼そもそもERPとは?▼
ERPの基本とメリット・デメリット

基幹システム・ERP・情報システムの違い

まずは、「基幹システム」「ERP」「情報システム」それぞれのシステムの違いを把握しましょう。

「特徴」「機能」「メリット」の3項目に分けて解説します。

【比較1】特徴

基幹システム

事業を進めるうえで欠かせない、主要な業務システムのことを指します。基幹システムが動かなくなると企業活動そのものがストップしてしまい、重大な影響が出ることから、何よりも安定性と正確性が求められます。

ERP

エンタープライズ・リソース・プランニングの略称であり、上述した基幹システムと、それ以外の業務システムを統合したシステムの名称です。統合基幹業務システムと呼ばれることも多いので、この名称も覚えておきましょう。さまざまな経営課題を解決するために、導入されるソリューションです。

情報システム(グループウェア)

スケジュール管理や社内外のコミュニケーションツールなど、情報の収集、蓄積、伝達、処理、活用に関わるシステムを指し、グループウェアとも呼ばれます。基幹システムやERPに比べると業務への影響度は低く、必要不可欠ではないものの、生産性の向上や業績UPに直結する重要なシステムです。情報システムがあらかじめ搭載されたERPも存在します。

【比較2】機能

基幹システム

上述した通り、経営上、欠かせないのが基幹システム。具体的には以下のような機能が備わっています。

  • 生産管理システム
  • 販売管理システム
  • 在庫管理システム
  • 受発注管理システム
  • 財務・会計システム
  • 人事給与システム
  • 勤怠管理システム

ERP

ERPには、上記のような基幹システムの機能に加え、以下のような機能が備わっています。

  • 品質管理システム
  • 資産管理システム
  • プロジェクト管理システム
  • 債権・債務管理システム
  • 貿易管理システム
  • 配送管理システム
  • 原価管理システム
  • マーケティングツール
  • ECシステム
  • データ分析ツール

情報システム

情報システムには、情報にまつわる以下のような機能が備わっています。

  • メールソフト
  • ファイル共有機能
  • 掲示板機能
  • スケジュール管理ツール
  • 社内SNS(ビジネスチャット)
  • 会議室予約機能
  • ワークフロー(業務手続きの電子化)

【比較3】導入のメリット

基幹システム

・経営システムの一元管理
これまで異なる業務システムで管理していたデータを紐づけ、一元管理が最大のメリットといえます。

・業務の標準化
業務手順の標準化が実現することで、限られたリソースでも業務をこなせます。

・業務の効率化
システムごとにデータが管理されていた従来のシステムでは、同じ情報をシステムごとに入力しなければならない等の手間がありましたが、データベースが統合されることで、一度の処理で関連システムのデータがまとめて更新されます。このことから、作業時間の大幅な短縮が見込めます。

・内部統制の強化
データを統合することで入力時の重複や漏れを防ぎ、整合性の取れたデータが維持できます。また、アクセス権限などを利用して管理を厳重にすることにより、データの改ざん等も防げるため、結果的に内部統制の強化につながります。

・経営の意思決定を助ける
システム管理によりリアルタイムのデータを把握できることから、経営戦略をスピーディーに立てやすくなります。

・安定的な稼働
自社でシステムを一から組む場合、正常に動くようになるまでに一定の時間を要したり、稼働してもエラーが頻繁に起きたりする可能性が考えられます。一方、基幹システムのように完成したシステムを活用する場合は、そういったストレスが減り安定した稼働状態を維持できます。

ERP

※基幹システムと重複する機能については、説明を省きます。

  • 経営システムの一元管理
  • 業務の標準化
  • 業務の効率化
  • 内部統制の強化
  • 経営の意思決定を助ける
  • 安定的な稼働

基幹システム同様、ERPを導入すると上記のメリットがあります。
さらにERPには、以下のようなメリットもあります。

・開発コストの削減
自社で一からシステムを構築する場合と比較すると、パッケージ化されたERPを活用することで、開発にかかる時間や開発費用を大幅に削減できます。加えて、カスタマイズが必要になった場合に、低コストで拡張ができるのもメリットと言えます。

・成功企業のベストプラクティスを学べる
ERPのベンダーは、「ベストプラクティス」と呼ばれる業種別・目的別のビジネスプロセスの知識・ノウハウを蓄積しており、これらを自社の知識・ノウハウと比較し、活用することができます。

情報システム

情報の共有
掲示板やファイル共有機能を利用することで、情報の共有が容易になります。マニュアル等も管理しやすくなり、確認の手間が省けます。

・業務の効率化
情報共有による業務時間短縮に加え、チャットツールの活用により、メールや内線での共有よりもコミュニケーションがスムーズになります。既読の確認も可能になるため、情報伝達時のミスも防ぎやすくなります。

・資料類のペーパーレス化
ファイル共有機能を使えば、データの一括配布が簡単にできるため、印刷して紙資料で配布する手間が省けます。また、紙代や印刷代といったコストも削減されます。

・スマホやタブレットでも操作できる
クラウド型のシステムを利用すれば、PCだけでなくスマホやタブレットでの操作も行えるようになります。移動中などのスキマ時間を有効活用でき、コミュニケーションスピードもUPします。

・承認作業の簡略化
ワークフロー(業務手続きの電子化)機能により、承認手続きがスムーズになり、確認漏れや書類の紛失といった人的ミスを減らすことができます。手続きの進捗もひと目で把握できます。

おすすめのERP

ここからは、おすすめのERPをピックアップして紹介します。この記事では【クラウド型】【オンプレミス型】【WEB型】【オープンソース型】の4種類で分類しました。

それぞれの特徴やコストを比較したうえで、自社のサービスや業務形態にあったERPを選んでみてください。

【クラウド型】

「ZAC Enterprise」

ZAC Enterprise
ZAC Enterprise

大手企業をはじめとした500社以上の導入実績を持つ、クラウドERPです。販売管理・購買管理・在庫管理・勤怠管理・工数管理・工程管理・経費管理といった、プロジェクト別の収支管理中心の7つの機能に加え、管理会計、経営モニタリングの機能も兼ね備えています。

ベースとなる機能以外にも、文書管理や予定管理などの豊富な機能があり、これらは追加費用を払うことで自在にカスタマイズが可能です。

ライセンス一括購入のほか、使う分の料金だけを支払う月額利用方式も対応しているため、試験導入にも最適です。

「Reforma PSA(レフォルマ ピーエスエー)」

Reforma PSA
Reforma PSA

「ZAC Enterprise」から、広告・IT・WEB制作などのクリエイティブ業界向けに機能を絞り、コストダウンしたERPが「Reforma PSA」です。170社以上の導入実績があります。

初期費用が無料で、利用したい機能や人数に応じて月額料金が発生するクラウドERPです。4つの管理機能(販売管理、購買管理、勤怠・工数管理、経費管理)を統合することで、案件・プロジェクト別の収支をわかりやすく可視化できます。

クリエイターやエンジニアなどの業種に特化しているため、クリエイティブ業の企業にぜひ活用してほしいERPです。

「NetSuite(ネットスイート)」

NetSuite(ネットスイート)
NetSuite(ネットスイート)

世界でもっとも利用されているクラウドERPです。100を超える国で40,000以上の組織に使われていて、その信頼度はお墨付きと言えるでしょう。

財務会計管理・受注管理・生産管理・サプライチェーン管理・倉庫管理/フルフィルメント(※)・プロキュアメント(調達)・人事管理の機能がベースになりますが、事業の成長に合わせたカスタマイズも可能です。

※フルフィルメント……商品の受注から、エンドユーザーの元に商品が届くまでの業務全般のこと

NetSuiteの特徴は、海外の複数会社を管理できることです。世界190通貨、19言語に対応し、日本にいながら海外の小会社の基幹・会計状況をリアルタイムに把握できます。海外に多くの支店を持つ企業に、とても適しているERPといえます。

【クラウド型/オンプレミス型】

「Dynamics 365 Business Central 」

Dynamics 365 Business Central
Dynamics 365 Business Central

日本マイクロソフト株式会社が提供するERPで、世界196カ国で22万社以上の導入実績を誇ります(※2018年9月時点)。126言語、43カ国以上の商習慣に対応しており、NetSuite同様、グローバルなビジネス展開を図る企業におすすめです。

財務管理、販売管理、倉庫管理、生産管理、プロジェクト管理などの一連の機能が含まれ、拡張も容易に行うことができます。企業規模や要望に合わせて、オンプレミス型(※)とクラウド型を選択できる柔軟性に加え、Microsoft Office製品に似た操作性の高いユーザーインターフェイスであることも、メリットといえるでしょう。

※オンプレミス型……自社でサーバーを用意し、ソフトウェアをインストールして利用する形態

少しずつ導入を始めたい場合は、ライセンス費用、ライセンス保守費用(アップグレード費用)が含まれた月額課金制の「Microsoft Dynamics 365 Business Central Cloud(SaaS)」を利用すると、無駄なコストを削減できます。

【WEB型】

GRANDIT(グランディット)

GRANDIT(グランディット)
GRANDIT(グランディット)

導入実績が1,000社を超える完全WEB型のERPです。多彩な業務ノウハウを集結させた次世代コンソーシアム方式を強みとしており、幅広い業種や企業規模に対応しています。製造業、商社・卸売、サービス業で多く利用されている実績があります(2018年2月現在)。

会計管理・販売管理・調達管理・生産管理・人事管理・給与管理などの業務を統合し、業務の効率化を後押し。多言語、多通貨の対応により、海外拠点での利用も可能です。

利用の際は、イニシャル費用としてライセンス費用と導入(開発)費用、ランニング費用としてライセンス保守費用と運用サポート費用がかかります。価格面でやや導入のハードルが高いので、試験導入よりも本格的な運用に向いているERPといえます。

【オープンソース型】

iDempiere(アイデンピエレ)

iDempiere(アイデンピエレ)
iDempiere(アイデンピエレ)

「GPL(General Public License)2」に基づいてソースコードが公開され、誰でも自由に使用できるオープンソースのERPです。あらかじめ必要な機能が完成されているクラウドERPと異なり、業務アプリケーションを開発するためのフレームワークです。

iDempiere(アイデンピエレ)の強みは低コストで導入・運用できることです。またフレームワークでありながら、購買管理・在庫管理・販売管理・生産管理・会計管理・顧客管理など、一連の業務機能が標準で備わっています。

搭載された機能の中から必要な機能だけを選択して使えるため、小規模な企業が導入する場合や試験的に導入したい場合などにも適しています。

まとめ

業務を効率的に進めるにあたり、欠かせない存在となった各種システム。基幹システム・ERP・情報システムの違いを把握したうえで、自社にとって最適なシステムを導入しましょう。

中でも、一通りの機能がパッケージ化されたERPは、さまざまなベンダーから発売されており、それぞれ搭載されている機能や価格帯等が異なります。自社の業種や規模によって、もっとも最適なERPを選んでみてください。

しかし、実際選ぶとなると「システムを使ってみないとわからない」というのが正直なところです。事前にオンラインデモをチェックできたり、月額課金だけで試験導入できたりするERPもありますので、じっくり比較検討してみると良いでしょう。