単純作業を自動化することで、人件費の削減や業務効率の向上だけでなく、正確な仕事ぶりから生産性をアップさせる「RPA(Robotics Process Automation)」。業界・業種を問わず利用可能で、特別な知識・技術を必要としないため、誰でも初期設定ができます。

RPAはもともと海外企業が開発したもので、日本に上陸し、最近になって普及し始めました。近年は、日本企業の働き方に合わせてリニューアルされたり、国内メーカーが開発したものが登場したりと、様々なRPAツールが展開されています。導入しようと思っても、どのツールがよいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

この記事では、おすすめしたいRPA11選をジャンル別にまとめました。

▼そもそもRPAとは?▼
RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)とは? 基礎知識やメリット・デメリットを解説

目次

  1. 「高シェア」「安価」「特色あり」のRPAを紹介
  2. 国内シェア率が高いもの
    1. WinActor(ウィンアクター)
    2. BizRobo!(ビズロボ)
    3. UiPath(ユーアイパス)
  3. 販売価格がリーズナブルで導入しやすいもの
    1. Asteria Warp Core(アステリアワープコア)
    2. Auto ブラウザ名人
    3. RPA Express(アールピーエーエキスプレス)
    4. PINOKIO(ピノキオ)
  4. RPA ツールの中でも特色があるもの
    1. SynchRoid(シンクロイド)
    2. Blue Prism(ブループリズム)
    3. NICE(ナイス)
  5. まとめ

「高シェア」「安価」「特色あり」のRPAを紹介

RPAは様々なものが数多く展開されています。その中でも

  • 国内シェア率が高いもの
  • 安価で導入できるもの
  • RPAの中でも特色を持つもの

この3カテゴリについて、おすすめのRPAを紹介していきます。

国内シェア率が高いもの

WinActor(ウィンアクター)

販売価格 販売代理店に要問い合わせ(参考価格:フル機能版908,000円/年・実行版248,000円/年)
開発会社 エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社
導入企業 株式会社JTB、NTT東日本サービス、株式会社東京海上日動コミュニケーションズ、楽天フループなど
特徴 ・純国産ソフトすべてのメニューが日本語表記。マニュアルやサポート体制が充実
・環境構築がいらず、PCへインストールするだけで利用可能
・シナリオはフローチャート図で表示され、直感的な操作で編集できる

国内シェア率が圧倒的に高いRPAが、NTTで開発されたRPA「Win Actor」です。大手企業をはじめ、サービスインフラ・ソフトウェア通信・金融などの業界でよく導入されているツールです。

純国産ソフトという安心感や、NTTグループによる充実のサポート体制が強み。PC1台から導入可能な利便性と信頼性の高さを兼ね備えながら、比較的安価で利用できる点が、シェア率の高さにつながっているようです。

Excel・WordなどのOffice製品や、Windows上の様々なアプリケーションソフトにも対応。シナリオ設定はボタン1つで作業を記録していき、自動作成されます。設定にエンジニアやプログラマーを必要とせず、サーバー環境も不要なため、簡単に導入できます。

BizRobo!(ビズロボ)

販売価格 要問い合わせ(サーバーにおける同時実行可能処理量に応じたライセンス料を設定)
開発会社 RPAテクノロジーズ株式会社
導入企業 トリンプ・インターナショナル・ジャパン株式会社、日本キャタピラー合同会社、株式会社日立システムズ、日本生命相互株式会社など
特徴 ・Webサーバー1台で複数のロボットを作成できる
・Web上の大量データ収集や処理が得意
オンラインでBizRobo!を学べる環境が整っている

BizRobo!」は「WinActor」同様、国内シェア率が非常に高いツールです。日本にRPAが普及する前から導入・運用支援を行ってきた、豊富な実績をもとに開発されています。また、ソフトウェアはインストールせず、すべてサーバー上で稼働します。

Web上の情報やスキャンしたExcelデータの処理も、複数のロボットによりバックグラウンド作業が可能です。PC端末上ではなく、サーバーだけで自動化ができる強みを持っています。ロボットはコーティング作業を必要とせず、ルールや分岐条件の設定をするだけで開発可能です。

Web情報データの収集・分析・スキャンなどを非常に得意とするため、株価推移の管理・通販サイトの価格調査・在庫管理・商品登録などの作業によく利用されています。

UiPath(ユーアイパス)

販売価格 無料・有料の2つのツールを展開。有料版は年間利用料形式を採用(価格は要問い合わせ)。
開発 UiPath株式会社
導入企業 電通国際情報サービス社、三越伊勢丹ホールディングス、帝人株式会社、日本取引所グループなど
特徴 ・Webブラウザとデスクトップアプリケーションの両方から利用でき、多種多様なデータを取り込める
・ドラッグ&ドロップで設定変更が可能。操作方法がシンプルでわかりやすい
・ロボットの仕事が自立的でエラー防止効果が高く、生産性が優れている

UiPath」は、アメリカの大手リサーチ会社Forrester Research社により開発された、高い技術力を持ったRPAです。2017年に日本法人を設立して以来、国内で急速にシェアを伸ばしている、今注目のRPAです。

UipathのRPAは、3つのシステムで構成されています。

自動化できるワークフローの作成(UiPath Studio)
ワークフローの実行(UiPath Robot)
ロボットの稼働状況の管理(UiPath Orchestrator)

ロボットの作業内容や状況をすべて1つのRPAで管理し、複数の従業員と情報共有ができるため、生産性の向上と安定した稼働が期待できます。拡張性が高く、金融・広告・保険など、様々な業界で活用されています。

60日間の無料トライアル版もあり、導入前のお試し利用も可能。基本操作はドラッグ&ドロップとレコーダーによる記録のみと、簡単に利用できるのも支持率が高い理由といえるでしょう。

販売価格がリーズナブルで導入しやすいもの

Asteria Warp Core(アステリアワープコア)

販売価格 30,000円~/月
開発会社 アステリア株式会社
導入企業 株式会社サイバーエージェント、株式会社イープラス、大日本印刷株式会社、東芝ソリューション株式会社など
特徴 ・企業規模に応じたRPAを展開し、安価で導入可能
・既存システムを活かしながら利用でき、低コストでシステム強化に期待できる
オンラインアップデートにより常に最新版を利用可能

Asteria Warpシリーズは、基本的な機能のみにフォーカスしたタイプから、大規模な連携・大量データの取得を想定したタイプまで様々あり、企業規模に応じて必要なタイプを選択できます。

30,000円~/月で利用可能かつ、基本的な機能が搭載されていることから、「ASTERIA Warp Core」を導入している企業が多いようです。また、「ノン・プログラミング」環境を採用し、高速開発で構築期間を大幅に短縮しています。

システム障害における復旧作業の負担を削減する「チェックポイント機能」や、複数のサーバーによる監視・管理サポートをする「Web API」を搭載。業務効率やパフォーマンスを強化した機能に定評があり、安価でコスパが良いと評判のツールです。

Autoブラウザ名人

販売会社 Autoブラウザ名人開発版:400,000円/年
Autoブラウザ名人実行版:87,000円/年
販売会社 ユーザックシステム株式会社
導入企業 株式会社ジャパネット銀行、サッポロビール株式会社、国土交通省、昭和電機株式会社など
特徴 ・ソフトを必要とせず、ブラウザ上で管理ができる
・ブラウザ操作だけでなく、条件分岐やエラー時対応など、柔軟な設定ができる
・自動記録再現できない処理も、スクリプト編集機能で対応

Autoブラウザ名人」は、画面認識だけに頼らずHTMLタグ情報を分析することで、確実性の高いブラウザ操作を実現しているRPAソフトです。導入費用を低コストにおさえつつも、機能が充実していることが特徴です。

データ処理をはじめとした業務プロセスをツール1つでカバーでき、社内業務カレンダーに合わせてスケジュールを実行してくれるため、業務効率の向上が期待できます。

また、ブラウザ名人以外のAutoシリーズとの連携も可能で、業務範囲の拡大や完全自動化環境を、スムーズに構築できます。

RPA Express(アールピーエーエキスプレス)

販売価格 無料
開発会社 Work Fusion
導入企業 DK KORM、Tim Rieweなど
特徴 ・英語版のみだが、制限なしで全て無料で利用できる
・レコーディング機能による録画で、ロボットに作業を記憶させることができる
・わずか10分程度の短期間で、ロボットを作成・稼働できる

RPA Express」は、アメリカのWorkFusion社が開発したRPAです。現在リリースされているのは英語版のみですが、完全無料で利用できることが最大の強みです。

レコーディング機能・OCR機能の基本部分も利用でき、さらに充実したツールが搭載された有料版のRPA Express proへの切り替えも可能。

全ての表記は英語ですが、特別なワークフローやプログラミングを必要としないため、詳しく英語が読み取れなくてもスムーズに利用できます。「RPAを試しに導入してみたい」といった企業にもおすすめです。

PINOKIO(ピノキオ)

販売価格 100,000円/月
開発会社 フューチャー・アンティークス株式会社
導入企業 非公表
特徴 ・かかる費用は月10万円のみで、導入費用も無料
・タッチパネル式の簡単操作を採用
・月単位の契約で、更新・解約もスムーズ

PINOKIO」は、RPAツールの中でも圧倒的な安価でサービスを提供しています。かかる費用は月10万円のみで、無償サポートも付属しています。OCR機能・レコーディング機能も兼ねそなえ、IT導入補助金の利用も可能です。

デスクトップ型システムを採用し、タッチパネルで操作ができるなど、初心者でも使いやすく開発されています。主に中小企業の導入率が高く、最小限のコストでRPAを導入できます。

RPAツールの中でも特色があるもの

SynchRoid(シンクロイド)

販売価格 ベーシックパック:600,000円/月、ライトパック:900,000円/月
開発会社 ソフトバンク株式会社
導入企業 マルコメ株式会社など
特徴 ・デスクトップ型とサーバー型から選択できる
・AIやPepperと連携したソフトバンクならではのツール
・BizRobo!をベースにRPAホールディングスと共同開発されている

SynchRoid」は、携帯電話会社でおなじみ『ソフトバンク』が開発したRPAです。従来のRPA機能はもちろん、ソフトバンクの強みである、AI・Pepperと連携が可能。これにより、顧客への情報配信をはじめ・接客対応もできることが注目されています。

単純作業だけでなく、判断が必要な業務も、AIと連携させることで自動化を実現。業務効率をさらにアップさせたツールです。

Blue Prism(ブループリズム)

販売価格 1ライセンス1,200,000円/年 価格体系は要問い合わせ
開発会社 Blue Prism社
導入企業 NECネクサソリューションズ、株式会社ディー・エヌ・エー、昭和リース株式会社、第一生命保険株式会社など
特徴 ・規制産業でも利用できる、高度なセキュリティシステムを導入
・内部統制を管理し、RPAロボットを一括管理
・サーバー集中型により、実行ログ・監査ログも取得可能

Blue Prism」は、2001年に設立されたBlue Prism社から開発された、RPAの元祖と呼ばれるツールです。サーバー中央管理型を採用した大規模なRPAですが、特に注目したいのは、セキュリティ面に優れている点です。

権限管理を含め、厳しいセキュリティ機能を搭載。他社のRPAと比べても圧倒的な高セキュリティであることから、金融機関・医療機関などの規制産業についても多くの導入実績を持っています。専用ブラウザは必要なく、一般的なWebブラウザで利用できる利便性の高さも評価されています。

NICE(ナイス)

販売価格 デスクトップ型:254,000円~、サーバー型:35,000,000円
開発会社 ナイス・ジャパン株式会社
導入企業 総務省、株式会社ジュピターテレコム(J:COM)、沖縄県那覇市、熊本県宇城市など
特徴 ・コールセンターやオペレーターが必要な企業の支持率が高い
・フロントオフィスからバックオフィスまで、業務全般をカバー
・実行結果のリアルタイム表示が可能

NICE」は、コールセンター業務の中の「アフターコールワーク」の自動化に向けて開発されたRPAです。イスラエスの会社が開発し、アメリカ・ヨーロッパ・アジアなど、海外でも非常に高い導入率を誇っています。

コールセンターの電話接続装置と連携し、業務拡張を行うことも可能。オペレーターを支援するフロントオフィスだけでなく、バックオフィス作業の効率化もできるように開発されています。実行結果をリアルタイムで確認でき、設定の更新・変更やエラーの発生・修正も確認しやすいツールです。

まとめ

RPA製品はたくさん提供されており、それぞれの特色や得意分野が違うのはもちろん、導入にかかる費用やランニングコストにも大きな差があります。

今回紹介したRPAは、使いやすさ・業務実績が高く評価されているものを厳選しています。新規導入や既存ツールからの変更など、RPAを選ぶ際はぜひ参考にしてみてください。

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