D2C、サイバー・コミュニケーションズ、電通の電通グループ 3 社は、2019年2月に発表した「2018年 日本の広告費」の調査結果を発表しました。その発表では「インターネット広告媒体費」の内訳を、広告種別、取引手法別、デバイス別などで公表しています。

モバイル広告費は増加していく予想

今回の調査では、2018年の日本の総広告費は6兆5300億円。そのうちインターネット広告費は1兆7589億円で、全体の26.9%にまで成長しました。

インターネット広告制作費を除いた1兆4,480億円をデバイス別に見ると、モバイル広告費が全体の70.3%(1兆181億円)となり、初めて1兆円を突破しました。デスクトップの広告費は、2018年には4298億円。2019年もほぼ横ばいの前年比99.8%の4288億円で、今後も一定の市場規模が続くとみられています。

2019年インターネット広告媒体費は、好調なモバイル広告の成長により、全体で前年比115.9%の1兆6,781億円へ増加する見通しです。内訳としてはモバイル広告が1兆2,493億円(前年比122.7%)、デスクトップ広告は4,288億円(同99.8%)とモバイル広告広告費の割合が傾きそうです。

また、広告種別では、検索連動型広告(39.4%)とディスプレイ広告(38.9%)の2種で全体の約8割を占めています。3番手にはビデオ(動画)広告(14.0%)が続いています。このビデオ(動画)広告が2019年の目玉となりそうです。

ビデオ(動画)広告費は2019年には2,651億円への拡大を予測

急成長を遂げるビデオ(動画)広告の2018年の広告費は2,027億円。2019年には前年比130.8%の2,651億円へと拡大する見込みです。2019年にはモバイルのビデオ広告が前年比139.3%と、全体の伸びをけん引すると予測されています。

ビデオ(動画)広告費が増加する背景として、TVerやAbemaTVといった動画メディアの成長、そしてInstagram StoriesやYouTubeなどの動画SNSの人気があります。このような動画メディアや動画SNSがユーザーの視聴を集め、そこに広告費が投入される仕組みです。

加えて、TikTokのような動画共有アプリが若い世代を中心に人気で、ここ数年で顕著になってきた「静止画から動画」というインターネット利用全体のトレンドも背景の1つです。

注意すべきは、ウェブメディア自体のインプレッションがこれまでのように増えていくとは限りません。しかし、広告主がよりインプレッション単価の高いビデオ(動画)広告に切り替えることで、収益拡大を目指していく背景があります。

これらの理由からインプレッション単価の高いビデオ(動画)広告が2019年に伸びていくだろうと考えられているのです。

動画へのユーザーの目線と広告主の目線

ユーザーは肌身離さずスマホを持ち歩いており、いつでもどこでも動画を視聴できます。見るだけではなく、撮影・投稿も行えるスマホによってさまざまな形で動画に親しみ、動画を楽しむ機会が非常に増えています。

一方、広告主から見ると環境が整って動画による豊かなクリエーティブ表現ができるようになりました。また、「ビデオ(動画)広告がブランディングにも寄与する」という期待が高まっており、モバイルのビデオ(動画)広告は躍進を続けることになるでしょう。

参考:「2018年 日本の広告インターネット広告媒体費 詳細分析」
http://www.dentsu.co.jp/news/release/pdf-cms/2019026-0314.pdf