好きなブランドは「特になし」。若者と接して意外だったこと

ferret:長田さんがaround20の人たちと話して驚いたことは何ですか?

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長田氏「好きなブランドは何か?」という質問をしたとき、「特にない」と答える人が多いことにびっくりしました。以前だったら、「このブランドを着ている私」のようにファッションが自己表現でした。だけど今はファッションに関しては、その日の気分でテイストを使い分けていることが多いんです。「今日はクールな気分だからクールな格好で」、「明日は●●ちゃんに会うからそれに合わせた格好をしよう」などブランドに囚われず色んなテイストを楽しみたいという気持ちが強いのがaround20の特徴の一つです。ファッションが自己表現から、気分の表現やコミュニケーション手段に変化していますね。ファストファッションのお店でトレンドの服が手に入りやすくなったことも大きな要因の一つです。

ferret:リアル店舗と通販の利用についてはどうですか?

長田氏:リアル店舗に行くのが面倒なので、通販ばかり利用していると思っていたのですが、実際に調査をしてみると、7割はリアル店舗で購入しているという結果でした。

ferret:デジタルネイティブだからECに偏っているかと思っていましたが、実際は違うんですね。

長田氏:購入する物に対して失敗したくないという気持ちが強いので、リアル店舗で試着して一旦考えて通販も見てみて……と、行ったり来たりしているのが実状です。

ferret:他に意外だったと思うことは何ですか?

長田氏:あとは、「ヲタ活」への熱量ですね。「ヲタ活」というのは、K-POPとか、男性・女性アイドル、音楽バンド、アニメや漫画などにお金をかけていくことです。巷で「若者の●●離れ」など、若者がお金を使わない、と言われているじゃないですか。でも実際には自分が価値を感じたモノやコトに関しては、消費を惜しまないんです。先日around20のヲタ活の実態について調査したところ、「ヲタ活」に年間15万以上という子が最も多い結果となりました。

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出典元:ヲタ活調査第二弾 若者のヲタ活リアル実態を徹底調査! | SHIBUYA109 lab.

ferret:「ヲタ活」が細分化されていて、ある人にとってはファッションだったりメイクだったりするんですか?

長田氏:そうですね、「ヲタ活」は細分化されています。今の若い人たちは何かしらのオタクなんですよ。「ヲタ活」にはお金をかけて、あまりお金をかけたくないと思っているところには節約意識が働いて、いかに安くできるかということを考えていますね。オタクってネガティブなイメージがあるかもしれないんですが、今の若い人たちにとっては恥ずかしいことではないんです。どちらかというと、「あなたは何ヲタなの?」っていうコミュニケーションをとるような風潮も生まれています。

ferret:男の子も同じように「ヲタ活」しているんですか?

長田氏:はい。男の子のグループインタビューも実施するんですが、ハマっていることを聞くと全然恥ずかしがらずにAKB48や欅坂46のことを話してくれます。

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出典元:SHIBUYA109 lab.「全国女子」と「SHIBUYA109ガールズ」比較! 「ヲタ活(ファン活動)」に関する調査|株式会社SHIBUYA109エンタテイメント

ferret:ちょっと気になったのがSHIBUYA109に来る人ってクラスの中でもイケてるグループに所属している人たちなんじゃないかと思ったんですが、実際はどうなのでしょう。

長田氏:基本は流行に敏感な人たちですね。普通の子が多いですよ。コミュニティによるとは思うんですが、以前のようにヒエラルキーみたいなのはなくなっていて、「みんな違っていいよね」って多様性を認めているので上下関係はあまりありません。