Google、Apple、Facebook、Amazonの頭文字を取った「GAFA」は現代のIT市場を席巻している企業群の呼称となっています。

しかし、そのGAFAに匹敵する企業群と言われているのが「BATH」です。
BATHは中国企業の4社の呼称であり、世界経済への影響も強まり、その影響力はGAFAを脅かすほどとも言われています。

今回はこの「BATH」企業と、その成長の秘密を詳しく解説していきます。

BATHとは

BATHとは、中国のなかでも成長著しいIT企業の頭文字をそれぞれ取ったものです。
以下の4社によってBATHが構成されています。

  • B→バイドゥ
  • A→アリババ
  • T→テンセント
  • H→ファーウェイ

これらの企業は中国ではかなり名の通ったIT企業であり、世界でもかなり注目度の高い企業となっています。また、これらの企業は4社とも中国の深センを拠点にしているという共通点もあります。
実はこの深センという地域は、アジアのシリコンバレーと言われるほどの場所。経済特区にも指定されておりその勢いはとどまるところを知りません。

BATHやその関連企業が深センを拠点としていることから「ITの激戦区」であることは想像に難しくないでしょう。
そして、その数あるIT企業のなかでもBATHは常にトップに位置する企業でもあるのです。

参考:【GAFAだけじゃない!】話題のBATHとは!中国vs米国、どちらに軍配が上がる?:blnak

それぞれの企業の特徴

ではここからはBATHのそれぞれの企業を深掘りして解説していきます。

実はどの企業も日本との関わりが深く、その事業内容も多種多様となっています。

バイドゥ

バイドゥは中国の検索エンジンです100を超える国と地域からの数十億件の検索リクエストに対応していますイメージとしては中国版のGoogleといったところ。テクノロジーによって、複雑な世界をシンプルにすることを目的としています。検索はもちろん、音声アシスタントや自動運転技術においても発展を続けているのです。

2018年には通年で売上1,023億元、純利益で276億元と中国のIT企業のなかでも確固たる地位を確立しています。

参考:百度介绍
参考:Baidu,Inc.2018年第4四半期及び2018年通期の業績を発表

アリババ

アリババはBtoBのeマーケットプレイスを提供しており、海外バイヤーとの取引を希望する中国企業が登録しています。しかし、事業の軸はBtoBに加えたBtoCCtoCまで網羅したマーケットプレイス。
これらのマーケットプレイスは中国最大のECサイトとして事業を伸ばし続けています。

売上高は3768億人民元を達成。国内から海外まで世界に羽ばたくサービスを提供している大手のIT企業といっても過言ではありません。

また、日本でも有名なソフトバンクとも深い関係を築いており、アリババの創業時には孫正義氏が約200万ドルの出資を行いました。それだけアリババには成長性が見込めたということでしょう。現在では「PayPay」との提携も達成しています。

参考:アリババ(阿里巴巴)ってどんな会社?日本でも就職できるの?:blnak

テンセント

テンセントはSNSサービス「WeChat」、「QQ」を運営している企業です。

他にも、ゲーム事業も行っており、世界最大のゲーム・アプリ会社とも言われています。日本企業との関わりもかなり深いもので、GREEやKDDI・バンダイナムコ・スクウェア・エニックス・LINEなどとも提携しています。

また、先程紹介したアリババが「PayPay」と提携した一方、「WeChat」は「LINEpay」との提携を行っています。これによって、2019年にはテンセントが持つ「WeChatPay」と「LINEpay」が一つのQRコードで連携できるようになりました。この2つの連携によって、中国と日本間でのスムーズな決済を実現しています。
まさに、アリババと共に中国や日本のキャッシュレス決済を支えている企業のひとつと言えそうです。
売上高も3127億人民元とややアリババと比較すれば低いものですが、それでもトップクラスのIT企業であることに変わりはありません。

参考:アリババとシェアを二分する中国のIT大企業Tencent(テンセント)

ファーウェイ

ファーウェイは世界有数のICTソリューションプロバイダーです。通信事業者向けネットワーク事業や法人向けICTソリューション事業、コンシューマー向け端末事業を行っています。
日本でも「ファーウェイのスマートフォン」は市場に多くあるので、馴染みのある方もいるのではないでしょうか。全売上高は7210億人民元と世界でも名の知れた企業と言えます。

また、売上の10%以上を継続して研究開発に投資するといった先端技術への取り組みも成功の秘密です。

さらに経営体制も独特なもので、CEO3人による「輪番制」を採用。半年間でCEOを入れ替えていくといったユニークな経営体制も話題になっています。

参考:ファーウェイ企業概要

成長の理由

上記のように、BATHの各企業は目覚ましい成長を遂げています。そうなると、気になるのはその成長の秘密。

BATHの成長には「深センの経済特区への指定」と「中国のIT企業のスタイルの変化」の2つが要因とされているのです。

深センの経済特区への指定

先程お伝えしたように、深センの経済特区への指定がBATHの成長を加速させた要因です。

しかし、深センが経済特区に指定された背景には、ベンチャー企業の技術やサービスの向上があります。ベンチャー企業の積極的な取り組みこそが深センを経済特区に引き上げたとも言えるのです。

もちろん、そこにはBATHの取り組みもあり、経済特区への指定後は更に勢いを増していきました。たとえば、元BATHの社員が会社を設立していき、存分にBATHの経験を活かしていきました。同時にこれは新たな分野の活性化にも繋がったことは言うまでもありません。

このような循環が深センを「アジアのシリコンバレー」にしたのです。

中国のIT企業のスタイルの変化

BATHの成長は中国のIT業界全体の事業内容の変化が深い関わりを持っています。

中国といえば、一昔前はアメリカのサービスや技術を模倣していくものでした。しかし、徐々に技術力が向上していくと、アメリカの模倣ではなく独自のサービスや技術を開発していったのです。

つまり、イノベーションに重きを置くような事業内容に変化したと言えるでしょう。特にBATHの各社員はこのイノベーションが思考が強く、常に社員同士で切磋琢磨しているのです。まさにBATHの急成長はこれらの要素すべてが深い関わりを持ったからこそ実現した結果と言えます。

参考:【GAFAだけじゃない!】話題のBATHとは!中国vs米国、どちらに軍配が上がる?

BATHから企業のあり方の本質を学ぼう

このように、BATHはGAFAを凌ぐような勢いを持っています。

世界でも大きな影響力を持つGAFAに迫るBATH。そこには、お互いに刺激を与えて生まれるイノベーションがあります。

BATHの成長をヒントとして、自社の活性化に活用してみるのも有効でしょう。