そもそもなぜアメフトが人気なのか

アメリカは「フットボール・カントリー」と呼ばれるほどアメフト愛が強く、スーパーボウルはワールドカップ以上の存在感を放ちます。実際に米国人が好きなスポーツを調べたところ、フットボール(NFL)と回答したのは34%とダントツの一位。二位のベースボールは16%で、ベースボールの倍の人気があります。なぜアメリカではアメフトが人気なのでしょうか?

戦力を均衡化して、より熾烈なゲームに

まず、戦力の均衡化。NFLは各チームの格差をなるべく排除し、それぞれのチームの実力が均衡化するようにコントロールしています。コントロールの手段は、リーグ利益を均等に分配する「レベニュー・シェアリング」、選手獲得に使う金額を制限する「サラリーキャップ」、下位チームが優先して指名する「ウェイパー制ドラフト」の3つ。

これによって特定のチームだけが強くならないように調整でき、実力が均衡して激しく盛り上がるゲームが展開できます。

休日に開催し、テレビ放送して「家族行事」に

試合の開催日を休日にして、人々が観やすい環境を整えたことも人気の秘訣です。感謝祭やクリスマスにスーパーボウルを開催することで、家族が集まってテレビ観戦するようになり、毎年恒例の家族行事として定着させました。

スーパーボウルが家族のコミュニケーションのきっかけになり、大切な思い出となることでブランディングにも貢献します。

エリア放送のルールでチケット販売を促進

最近はスマートフォンなどネット環境が整い、自宅からでもリアルタイム視聴しやすくなりました。テレビ放送を見て満足する人も多いため「わざわざ足を運んで観戦しなくてもいい」と考える生活者が増えています。

そこで、NFLは「試合開始72時間(3日)前までにチケットが完売できない場合、スタジアムから75マイル(約120km)以内のエリアでは試合が放送されない」というルールを設けました。これによってチケットが完売するようになったのです。

スーパーボウルがこれだけの規模になった理由

通常のNFLだけでなく、スーパーボウルを盛り上げるための工夫にも余念がありません。さまざまな取り組みがありますが、特に効果的な理由は以下の2つでしょう。

試合当日までの1週間にイベントが開催

スーパーボウルの試合当日までの1週間は「スーパーボウルウィーク」と呼ばれ、街中はチームカラーに染まり、とても華やかになります。開催都市では多くのイベントが開催され、アメフトに興味がない人でも自然と期待感が高まり、盛り上がりに拍車をかけるのです。

2020年にマイアミで開催されたスーパーボウルウィークでは、多くのミュージシャンが圧巻のパフォーマンスを披露しました。前夜祭イベントでは、2017年のスーパーボウルのハーフタイムショーでもメインアクトを行ったレディーガガが出演。ほかにもグラミー賞で注目を集めたリゾがイベントに登場しました。

観客を飽きさせない豪華すぎるハーフタイムショー

スーパーボウルはハーフタイムショーがとても豪華なことも知られています。一流アーティストによる魅力的なパフォーマンスが繰り広げられ、休憩中も観客を飽きさせません。今までもザ・ローリング・ストーンズ、プリンス、レディーガガ、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズ、ケイティ・ペリー、マイケル・ジャクソン、ダイアナ・ロス……と錚々たる面々が参加してきました。

2020年2月にマイアミのハードロック・スタジアムで開催されたスーパーボウルでハーフタイムショーのメインを務めたのはジェニファー・ロペスとシャキーラ。「多様性があり政治的なメッセージにあふれたパフォーマンス」と話題を集めました。ハーフタイムショーがスーパーボウルのスペシャル感を高め、ブランドの価値を上げているのは間違いありません。