新型コロナウイルスの蔓延する中、医療機器や衛生用品などの不足が顕著になっています。工場の稼働に必要な労働力の確保が難しいことや、物流の停滞など、さまざまな要因が重なり、円滑に必要なものが製造・流通できないという事態に陥っています。

そこで、世界の企業が自社の強みや特色を活かし、専門外の製品やサービスを提供するという動きが高まっています。

あの企業がマスクを生産

今世界中で必要とされているのが、マスクです。新型コロナウイルスの流行により、マスクがどこも品薄となっており、一般の人たちはもちろん、医療従事者へも十分には行き届いていない状況となっています。

そこで、さまざまな異分野の企業がマスク生産をする動きが出ています。

国内では、シャープがマスク生産を行い発売。また、パナソニックも5月末から自社工場でマスク生産を開始する予定となっています。

参照:
個人のお客様向け マスク抽選販売のお知らせ|シャープ

新型コロナウイルス感染拡大に伴う不足物資提供等の支援について|パナソニック

海外では、アパレルブランドのクリスチャン・ディオールや、自動車メーカーのフェラーリやGMなどもマスク生産を行っています。

参照:
仏ディオールがマスク生産開始、工場でボランティアが作業|REUTERS

ランボルギーニとGM、マスクの生産を開始…新型コロナウイルスと戦う医療従事者を支援|レスポンス

人工呼吸器やフェイスシールドの生産も

医療現場では、新型コロナウイルスに感染した人が使用する人工呼吸器や、医療従事者が感染防止に使用するフェイスシールドなどが不足しています。これらは必要かつ生命に直接関わるものだけに、可及的速やかに現場に届けたいものです。

この緊急事態に乗り出したのが、自動車メーカー。自動車生産に使用している機器や技術を活かし、生産を行う企業が増えています。

たとえば、フォードはGEと提携して人工呼吸器の製造を開始。また、GMも医療機器メーカーと提携して製造に取り組み、ダイムラーやメルセデス・ベンツは、3Dプリンタを活用して医療機器製造を開始しています。

参照:GMもフォードもトヨタもテスラもメルセデス・ベンツも!新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックに対応するために自動車メーカーも協力体制へ|モーターファン

国内では、トヨタグループが医療用フェイスシールドの生産を開始。月産4万個を生産まで規模を拡大しています。

参照:トヨタグループ、医療用フェイスシールドの生産を本格化、月産4万個レベルまで拡大|モーターファン

また、ソニーはデジタルカメラなどを生産している愛知県の工場などを活用して、人工呼吸器の部品生産や組立を行う検討をしているといいます。

参照:ソニー 人工呼吸器の生産で協力方針 異業種の支援の動き加速|NHK

自社の強みを活かしたホンダ

ホンダは、感染者を搬送するための仕立て車を製造。オデッセイやステップワゴンなどの車両に、搬送時の感染リスク軽減のため、運転席と後部座席に仕切りを設置し、すでに都内での納車を始めています。また、同社はフェイスシールドの生産にも取り組んでいます。

参照:新型コロナウイルス感染防止にむけた支援活動について|ホンダ

今こそ製造業の利点を活かすとき

新型コロナウイルス蔓延の影響で、製造業はかなり逼迫した状況に陥っています。しかし、そのような状況だからこそできることもあるはず。長年培った技術と知識、そして設備を活かして、何ができるのか、何をすべきなのか、世界の企業の事例をヒントに考えてみてください。