「新しい生活様式」の下で流行るサービス・商品とは

ここからは、「新しい生活様式」の下で、今後はどんな商品・サービスが世間の人々に受け入れられていきそうか?という論点で述べていきます。特に、前半で述べた「生活習慣の乱れ」という、今まさに世間で多くの人々が抱える悩みを解決してくれるような、「食生活」「運動」「睡眠」というカテゴリに焦点を絞って紹介します。

ミールキット、完全栄養食、冷凍宅配弁当

「ステイホーム」が引き続き推奨されていますから、「内食(うちしょく、ないしょく=家庭で調理して食べること)」が伸びると考えられます。従来の、「近所のスーパーで食材を買ってきて調理する」よりもむしろ、注目すべきは「ミールキット」のサブスクリプションサービスなどです。

外食に対して足が遠のいている分、「内食」、つまり家で料理をする機会は増えているかと思います。とは言え、3食、家族全員分、栄養バランスや摂取カロリーにまで細やかに気を配って手料理をするというのはなかなか大変なものです。家庭で料理を担当しているけれど、実はそれほど料理が好きではない、得意ではないという人も決して少なくないでしょう。

そんな人の強い味方になってくれるのが、予め半調理した食材や調味料、レシピが全てセットになった「ミールキット」です。この「ミールキット」の通販を手掛ける代表的な会社に「Oisix」がありますが、直近の決算では売上高が約2割伸長しています。
 
また、1品で必要な栄養素を摂取できる「完全栄養食」というものもこれから伸びそうです。「完全栄養食」とは、例えばバスタ(麺)状になっていて、加工の段階でビタミンやミネラルなど、1日に必要な栄養素を配合して作られているもの。アメリカのシリコンバレーでブームになっているそうで、簡単かつ栄養価の高い常備食として活用できそうです。

そして、「ミールキット」とも少し似ていますが、既に調理済みのものを冷凍加工して宅配される「冷凍宅配弁当」というジャンルもこれからますます伸びそうです。食品宅配各社は「巣ごもり需要」で直近売り上げが急伸しており、ここ数か月でWeb広告を見かける場面も急増したと感じます。

「巣ごもり」で内食シーンは増えるけれど、調理の負担からは解放されたい。そんなニーズに応えるサービスとして、これからますます広がっていきそうです。この「冷凍宅配弁当」は、「妊婦さん向け」「生活習慣病が気になる人向け」「ダイエット食」「体を鍛えている人向け」など、さまざまな健康ニーズに応えるメニューが用意されている点も魅力です。

参考:オイシックス最終決算、宅配事業「Oisix」売上高が19%増|通販通信
パスタ食べればサラダは不要 1品で済む「完全栄養食」|日経ビジネス
〈食品宅配各社〉 コロナ禍で直近売上が急伸/巣ごもり需要を順調に獲得|日流ウェブ

オンラインフィットネスや瞑想アプリ

オンラインフィットネス」や「瞑想アプリ」「マインドフルネスアプリ」など、ウェルネス(=広義の意味での健康)系アプリやWebサービスもこれから伸長していきそうです。先述のように、「ステイホーム」で運動不足に陥り「コロナ太り」に悩まされている人が増えています。それを解消したい人々にとって、「オンラインフィットネス」はまさに、今すぐニーズに応えてくれるサービスだと言えるでしょう。

厚生労働省の「新しい生活様式」でも“筋トレやヨガは自宅で動画を利用”と推奨していることから、今後こういったオンラインフィットネスサービスを利用し始める人はますます増えていくと予測できます。

単に画面越しにインストラクターがヨガやエアロビクス、筋トレなどを教えてくれるだけではなく、「オンラインパーソナルジム」なるサービスも複数社、登場しているようです。
 
また、「瞑想アプリ」や「マインドフルネスアプリ」も急成長していると報じられています。コロナ禍の出口が見えず、日々、生活していて何かと先行き不安になってしまうものです。そうなると人は、何か心の拠り所を求めたり、自分を見つめなおしたり、ホッとひと息落ち着く時間を作りたくなるものなのかもしれません。

参考:オンラインフィットネス、新たな商機創出にサービス続々 いつでもライブ配信 無料レッスンも|ITmedia エグゼクティブ
業界初!オンラインパーソナルジムの検索・比較サイト「宅トレNAVI」をリリース。|PR TIMES
瞑想とマインドフルネスのアプリは新型コロナ禍で急成長中|Tech Crunch

自転車

厚生労働省が提唱する「新しい生活様式」の中では、公共交通機関の利用について“徒歩や自転車も併用”と呼び掛けられています。満員電車を避けるために、自転車の需要も急増中だそう。また、「自転車で体を動かし、運動不足を解消して、脱・コロナ太りしたい」という思惑もあることでしょう。

ここにはいわゆる「ママチャリ」だけではなく「ロードバイク」「マウンテンバイク」「電動アシスト自転車」などさまざまなタイプのものが含まれてきます。単に通勤・通学目的だけではなく、休日のリフレッシュ、ツーリングのため本格的にロードバイクデビューする人が増えれば、ロードバイク本体だけでなく、その周辺グッズであるウェアやヘルメット、バッグ、メーターなども売れ行きが伸長しそうです。

スリープテック

睡眠の質を向上させるテクノロジー「スリープテック」の分野にも注目です。先述した、外出自粛期間中の体の変化のリサーチでは「睡眠時間が不規則になった」との回答が多かった、と述べました。

そこから考えると、睡眠を改善したいという需要は高まっているはずですし、質の良い睡眠を取ることは、このコロナ禍で免疫力・抵抗力を蓄えておくためにも必要不可欠な要素です。

例えば、ちょっと値が張ってもオーダーメイドの枕を作る、毎日横になるベッドを買い替える、最新のテクノロジーでスマホアプリと連携して睡眠の質を分析してくれる機能を搭載した寝具を買うといったような消費行動も増えてくるかもしれません。

参考:2020年スリープテック時代到来!まくらぼ×テクノロジーで「バズる睡眠!」|PR TIMES