ゴーストレストランとは?注目される理由、事例を分かりやすくご紹介
新型コロナウイルスの世界的な拡大により、外食産業は大きな打撃を受けました。しかし、このような厳しさを背景にデリバリーのニーズが今まで以上に高まり、デリバリーに特化し客席がないゴーストレストランが増えています。飲食店開業のコスト面におけるハードルを下げる画期的な発想は注目すべきところです。
そこで今回は、ゴーストレストランにスポットをあて、どのようなものなのか、メリットやデメリット、事例などを詳しくご紹介します。飲食店の経営者はもちろん、多くのマーケターに捉えておいてほしいところです。ぜひ、ご参考ください。
ゴーストレストラン(ゴースト・レストラン)とは?
ゴーストレストランとは、客席を持たずデリバリーのみで顧客に料理を提供する飲食店のことです。ニューヨークからはじまったゴーストレストランは、デリバリーのニーズを背景に日本でも開店するようになりました。*この展開にとって重要な役割を果たしたのは、Uber Eats(ウーバーイーツ)などのデリバリーサービスが世に広がったことです。*飲食事業者は、お店の中で料理を提供する事業形態にこだわる必要がなくなりました。
テイクアウトも店内で飲食をしない形態ですが、お店に顧客が訪れて料理の受け渡しをします。これに対し、ゴーストレストランは一切顧客と直接に関わることはありません。Uber Eatsのようなデリバリーサービス業者が顧客のもとに商品を届けてくれることで対面する必要がなくなるからです。店舗を用意し、顧客を迎え入れないだけで、飲食店にとって必要な時間やコストは大きく変わります。ゴーストレストランは、これまで飲食業の開業を考えていた人にとって、参入ハードルを大きく下げる画期的な業態と言えるでしょう。
ゴーストレストランに注目が集まっている理由
飲食店の開業には大きな資金がかかります。一般的には開業に1,000万円以上の用意が必要だと言われながら、その成功率は決して高いものではありません。10年続くのはごくわずかであり、2年以内に50%が閉店してしまうという大変厳しいものです。店舗の家賃や人件費、食材の仕入費用など飲食店経営には多くのコストが発生します。開店したお店の立地が悪く、当初思っていたほど来店してもらえないなど、スタートしてみてからわかっても簡単に改善できない問題もあるでしょう。
*ゴーストレストランは、このような飲食店のリスクになる部分をヘッジできることに注目が集まっているのです。*顧客を店舗に入れることがないゴーストレストランは、立地によるデメリットを受けません。人通りの多い家賃が高いところを借りる必要がなければ、接客のための従業員を雇う必要もないのです。閉店率の高い飲食店経営において、まずはやってみようというアクションがしやすい業態はないでしょう。
ゴーストレストランのメリットとデメリット
ゴーストレストランにはメリットが多数ありますが、デメリットとなる部分もあります。双方を確認してみましょう。
メリット
(1)開業コストを抑えられる
ゴーストレストランは、客席を用意する一般的な飲食店と比べて初期投資がとても安く済みます。客席を用意する飲食店の場合、多額の初期費用が必要であり、スムーズにできるものではありません。資金を用意できたとしても、初期コストが大きいと不安に感じることもあるでしょう。また、接客が必要な店舗の場合、店舗のインテリアの検討、従業員の教育など、コスト以外にも時間が必要になることが多数あるのです。こうした様々な負担を無くすことで、開業のハードルを下げ、スリムな経営を実現できます。
(2)軌道修正しやすい
顧客が店舗に訪れる飲食店の場合、高級感を出し過ぎてしまい敷居が高くなってしまったとしても、コンセプトを見直し、店舗の外観や内観まで変更するのは大きなコストがかかります。しかし、ゴーストレストランを運営する場合、顧客と接するのは商品です。コンセプトを変更したい場合でも変更するのはメニューですので、大きなコスト負担をせずに対応できます。異なるジャンルの料理を提供する店に変更することや、多店舗展開もゴーストレストランなら実店舗がある業態と比べてやりやすいでしょう。
(3)売上が天気に影響しにくい
店舗で顧客が飲食をする形態は、天候により客足が減ってしまう場合があります。大雨が降るとまったく人が来ないということもあるでしょう。しかし、ゴーストレストランの場合は、天気に左右されずに注文を受けられます。雨降りなど外出が面倒に感じる日は、いつも以上に利用者が多いかもしれません。
デメリット
(1)デリバリーを使わない人に認知されにくい可能性がある
デリバリーサービスを利用したことがない人が顧客になりにくい可能性があります。利用するデリバリーサービスの顧客数が影響する部分はあるでしょう。デリバリーサービスの中でも競合はいますので、メニューの独自性や、プロモーションサービスの活用など、差別化をする工夫が求められます。
(2)顧客との人間関係が作れない
飲食店は人のつながりが大切です。実店舗の場合、顧客が新たな顧客を連れてきてくれるケースもあり、人のつながりが集客源となります。中には紹介が多く、プロモーションにコストをかけていないという店もあるでしょう。ゴーストレストランの場合、店舗に顧客が訪れないのでコミュニケーションをとる機会がありません。人間力を強みにした営業が難しいのは、この業態ならではであると言えます。
(3)開業場所を思うようにみつけにくい
人の目に触れる家賃の高い物件を借りなくてよいものの、バーチャルレストランとして利用できる場所を見つける必要があります。都内にはシェアキッチンサービスを提供しているところもありますが、そのような場所がどこにでもあるわけではありません。間借り可能な店などを探す必要があります。
ゴーストレストランの事例
ゴーストレストランの事例をいくつか紹介しましょう。ゴーストレストランの草分け的なものと最近の開業事例をピックアップしてみました。
6curry
ゴーストレストランの事例として紹介される機会が多い6curryは、無店舗飲食店の草分けのような存在でしょう。スムーズに事業をスタートできることがゴーストレストランとしての主な出店理由です。*実店舗では店のコンセプト修正が大変なことを指摘し、変更が容易で短時間で多くのことを試すことを重視しています。*間借りで経営するレストランが少しずつ増えてきた時期の決断力と行動力が見事です。
参考:日本でも「ゴーストレストラン」は定着するか!? 無店舗型カレー店『6curry』の挑戦|株式会社BHID official home page
江戸前 海幸は、KitchenBASEというシェアキッチンを利用した寿司のゴーストレストランです。早く独立できることやデリバリーのニーズに着眼してゴーストレストランという形態を採用しています。KitchenBASEは、充実した設備の提供のほか、開業準備や運営のサポートなどに強みがあり、開業者は商品開発への注力が可能です。また、対面より提供に時間がかかるデリバリーならではの工夫が必要なことなど、サービス形態に合わせた商品の最適化を行っています。
参考:お家で味わえる贅沢なひととき。ウニ蟹マグロがたっぷり「江戸前 海幸」の海鮮重|KitchenBASE @base_kitchen
beets & roots
海外の事例を一つご紹介します。2016年にゴーストレストランとして事業をスタートしたドイツのbeets & rootsは、新鮮な野菜を使用したボウルやラップボウルをデリバリーサービスのfoodoraを使って販売していました。その後、実店舗を持ち、アプリによるデリバリーとともにテイクアウトに力を入れています。ゴーストキッチンによるスタートアップが成功していった例と言えるでしょう。
参考:NY発の新たな食トレンド ー 店舗を持たない「ゴーストレストラン」は、どのような体験をもたらすか|XD(クロスディー)
Webマーケティング力が求められる
ゴーストレストランは、飲食ビジネスに参入するハードルを下げる画期的なサービスです。しかし、飲食店経営で培った経験とは別に新たなノウハウが必要となる分野でもあります。オンラインデリバリーを舞台にサービスを提供するには、Webマーケティングに強くなる必要があるでしょう。顧客と店主のコミュニケーションから常連客が増える形態とはまったく異なり、プロモーションやデータ分析などオンライン上でのマーケティングが重要になるのです。リアル店舗がオンラインに変わるシーンはこれからも増えると考えられます。マーケティング力を養い、時代とともに変化するビジネスに対応できるようにしましょう。
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- シェア
- シェアとは、インターネット上で自分が見つけて気に入ったホームページやブログ、あるいは、Facebookなど自分自身が会員登録しているSNSで自分以外の友達が投稿した写真、動画、リンクなどのコンテンツを自分の友達にも共有して広めたいという目的をもって、SNSで自分自身の投稿としてコンテンツを引用し、拡散していくことをいいます。
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