ferret編集部:2015年9月8日に公開された記事を再編集しています。

ロジカルシンキングは、論理的な考え方のことで何か説明をする際にとても有効です。単純な思考法として活用されるに留まらず、論理的に相手に納得してもらうための説明法としても応用できます。

ロジカルシンキングとは

ロジカルシンキング(logical thinking)とは、論理的思考とも呼ばれる思考法のひとつで、自分の考えや複雑な問題を客観的に見つめ、矛盾や飛躍なく筋が通るよう整理することです。

論理とついていますが、学問としての論理学の中にロジカルシンキングが含まれるわけではなく、論理学のメソッドを学問以外の分野に活用した例といえるでしょう。

また、ロジカルシンキングは、説明法、つまりコミュニケーションに役立つスキルでもあります。2001年に出版されたベストセラー本のロジカル・シンキング―論理的な思考と構成のスキルでは、ロジカルシンキングを身につければコミュニケーションを円滑に行えると紹介しています。

ロジカルシンキングは問題の解決策を見つけたいときによく用いられます。

問題を表面だけで判断してしまうと、そこから導き出される解決策も根本的な解決には役に立たないものになりがちです。
ロジカルシンキングを活用し、なぜその問題が起きているのかを突き詰めることで、問題を表面的にではなく本質的に捉え、大元にある原因を発見しやすくなります。

ロジカルシンキングを身につけるには

ビジネススキルとして必須と言われ始めているロジカルシンキングですが、身につけるためには些細な事でも疑問を持ち自問自答することが必要と言われています。

疑問を持つ対象はニュースや社会問題といった固い内容でも、日常の中のささいなことでも構いません。気になったことや疑問に思ったことに注目するようにします。
そして自問自答を繰り返しましょう。日経bizアカデミーでは、具体的にそのやり方を説明しています。

たとえば、電車の中で、この車両には何人ぐらいの乗客が乗っているのか、を考えてみることなどがそれにあたります。「まず、立っている人、座っている人に分けられる。座っている人の数は、椅子の長さを1人あたり占有幅で割り、その占有率を掛ければ計算可能。立っている人の数は、車両の大きさを1人あたりの占有面積で割り、占有率を掛ければよい」、こんな論理に基づく計算を、頭の中でやってみるのです。
引用元:日経bizアカデミー

ロジカルシンキングの代表的な手法

ロジカルシンキングを大きく分けると3つの考え方から成り立ちます。

1.演繹法
2.帰納法
3.弁証法

この3つの論法を理解することで、各場面においてどれが有効か実践可能になります。

1.演繹法

階段を登っていくような論理を積み重ねていく考え方が演繹法です。

「Aだから、Bである」

というような使い方をしていきます。誰もが納得できる自明の理からスタートしていき、複雑なテーマにおいても結論付けることが可能です。
有名なのが古代ギリシャの哲学者、アリストテレスの3段論法でしょう。

・大前提:すべての人間は死すべき定めにある。
・小前提:私は人間である。
・結論:ゆえに私もいつかは死ぬ。

同様にこういった事もいえます。

・大前提:素数とは、1以外の約数の持たない自然数である。
・小前提:7は1以外の約数を持っていない。
・結論:7は素数である。

上記のように、大前提と小前提から結論付ける方法で、数学的・哲学的考え方を前提としています。

簡単な論法であるためよく使われる手法ですが、その反面、問題点も存在します。

前提をたくさん出すことで、膨らんでいき結論に至るまでの過程が長くなってしまいます。
自身の頭の中で考えても、誰かに説明する場合でも、理解が追いつかないことも起こります。

しかし短ければいいというわけでなく、話が飛んでしまったり、飛躍させすぎてしまうことによって、論理が繋がらないことや結論が成立しないこともあります。

前提が間違っていることもあるので、場合によっては使えないこともあります。そういった側面もあることを理解してください。

2.帰納法

帰納法は、共通点から結論を導き出すという論法です。統計分析もこの方法で結論付けをします。

・素材Aは、燃える性質がある。
・素材Bも、燃える性質がある。
・素材Cも、燃える性質がある。
・素材Dも、…
…
どうやらこれらの素材は燃える性質を持っているのである。

共通項をまとめることによって、事実を導き出し一般化させることが帰納法です。

いかに相手を納得させるかが重要で、そのためにも数が重要です。統計も同様にかなり多くの数から導き出すことが多いです。
そのため、数が少ないとその結論は正しいのか?というような疑問点が残ってしまいます。

できる限り多い情報を集めることが重要になります。

ビジネスシーンではよく使われる帰納法

ビジネスの考え方としては、帰納法がよく使われます。100%はないにしても、何かしら行動を移す過程でとても大切な考え方なのです。

経営戦略やマーケティング戦略、広告戦略を立てる時に重要なのが膨大な量のデータです。
傾向やパターンをしっかり理解することが、相手を納得させるための武器になります。

帰納法を身につけることによって、様々なシーンで応用できるでしょう。

3.弁証法

ギリシャの哲学者ヘーゲルやイギリスの哲学者マルクスの考え方で、物事の変化や発展の過程を本質的に理解する方法です。
弁証法の内容は多岐にわたり、すべて理解するようなのは難しく、基本的な考え方でも十分に応用可能です。

もともとは物事の対立という意味合いで活用されています。

ある命題(テーゼ)とそれに矛盾する、もしくは否定する命題(アンチテーゼ)、テーゼとアンチテーゼを本質的に統合した命題(ジンテーゼ)から構成されています。

すべてのモノは己のうちに矛盾が含まれており、必然と対立するものが出来上がります。その対立によって結びつきがあります。
否定を否定(二重否定)したり、矛盾を明確化することで論理を発展していく方法です。

テーゼの「真偽」から考える弁証法の例

弁証法もまた、新しいものを生み出すためにもよく使われます。

電話を一例に、弁証法を考えてみましょう

テーゼとして固定電話は、連絡を取る手段として一つの方法です。固定電話の欠点は、外で通話することができません。
そこで、外でも通話するためのアンチテーゼとして公衆電話が設置されましたが、一方で外で使うことはできるものの使いたい時に身近にあるとは限りません。
結果として、この両方ある欠点を解決するジンテーゼとして、持ち運び可能な携帯電話を開発しました。

つまり、お互いの欠点から、打ち消すように解決法を想像し、新しいものを生み出すという考えが弁証法となります。