自社商品の保護&広告効果を増大させるのに役立つ「商標登録」とは?
普段、生活している中で、商品名の後ろに「®」という記号がついているのを見かける機会があると思います。
「®」は商標登録されていることの証明として表記されます。
商標登録は大手企業やメーカーが行うものというイメージがあるかもが、規模・業種に関わらず、商標登録を行うメリットがあります。
そもそも商標登録自体よくわからないという方は、まずは商標登録とは何なのか、登録することでどのようなメリット・デメリットがあるのかを理解したうえで登録するかしないかを判断しましょう。
今回は、商標登録の基本を解説します。
「商標」とは?
商標とは、「誰が製造又は提供したものなのか、その商品やサービスの質としてはどのくらいのものが期待されるのか、といった事柄が分かる」ことを目的に作成された制度で、特許庁に申請し、審査を受けて商標を取得するまでの手続きを商標登録と呼びます。
商標登録されたものは、登録した企業や個人のみが利用できるようになります。
一般的には企業名やサービス名が登録されるイメージがありますが、商品名だけでなく、それらに付随する関連キーワードの登録も可能です。
例えば、「宅急便」という単語はヤマト運輸株式会社が、「歯ブラシ」はライオン株式会社が商標登録しています。
商標登録の対象になるのは、「人の知覚によつて認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの(商標法第2条より)」とされていましたが、2014年5月14日以降は、更に「動き」「ホログラム」「音」「位置」「色彩」等も対象となりました。
参考:
商標とは | 経済産業省 特許庁*(2020年8月12日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)*
商標法の改正|秀和特許事務所
商標登録するメリット
1.類似商品の登場をある程度防げる
サービス名や商品名を商標登録すると、他社は登録されあ名称だけでなく、類似するものも利用できなくなります。
例えば、弊社が「ferret」という名称を登録した場合、他社は「ferret」だけでなく「フェレット」や「ふぇれっと」等、「ferret」を想起させるような名称も利用できなくなるので、類似サービスの氾濫を防ぐことができます。
(ただ、「ferret」は独自性がなく、一般名称として利用されているため、商標登録できない可能性が限りなく高いでしょう。)
参考:出願しても登録にならない商標 | 経済産業省 特許庁*(2020年8月12日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)*
3.顧客からの信頼向上につながる
商標登録は公的なものだということは一般消費者にも広く認知されているものであり、公的機関である特許庁の審査をクリアしている=品質も良いと認識され、顧客の信頼度向上が期待できます。
実際、「商標登録を受けることができない条件」の中に「公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標(4条1項7号)」「商品の品質又は役務の質の誤認を生ずるおそれがある商標(4条1項16号)」と明記されており、商品の品質も見られていることが窺えます。
商標登録のデメリット
1.費用・手間がかかる
商標登録には下記のような費用が発生します。
商標登録出願:3,400円+(区分数×8,600円)
防護標章登録出願又は防護標章登録に基づく権利の存続期間更新登録出願
:6,800円+(区分数×17,200円)
重複登録商標に係る商標権の存続期間の更新登録出願:12,000円
参考
産業財産権関係料金一覧(2015年4月1日時点) | 経済産業省 特許庁
(2020年8月12日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)
記事執筆時点(2016年3月10日)では上記金額ですが、2016年4月1日より価格改定が行なわれます。改定後の料金はこちら(2020年8月12日時点でページが存在しないためリンクを削除しました)
非常に高額というわけではありませんが、登録するにあたり、事前調査(類似する名称が既に登録されていないか等)や申請手続きを行う必要があるため、手間を割かれることになります。
ちなみに、商標登録されているかどうかは、特許庁が運営する以下のホームページで確認できます。
2.登録した単語が普通名称化すると商標権のメリットが消失する
費用をかけて商標登録しても、認知が広がりすぎると名称が一般化してしまい、商標権のメリットが消失してしまう可能性があります。
商標登録されたものが一般名詞化して実質商標権が無効になったかどうかは、裁判所や特許庁が判断します。
例えば、「巨峰」や「正露丸」は裁判所が、「ポケベル」は特許庁によって商標権が無効化されたと判断されています。
商標権が無効になる主な要因としては、「ポケベル」のように従来存在しなかったような商品が登録されたケース、登録企業が商標権の管理を怠り、フリーライドを防止しなかったケースが挙げられます。
まとめ
商標法は時代の変化に合わせて柔軟に適用範囲を広げています。
例えば、従来までは企業名を含まないキャッチコピーは原則商標登録不可でした。
しかし2016年4月の法改正でキャッチコピーの登録も可能となり、審査機関も1年かかっていたものを4ヶ月に短縮する措置がとられるようです。
参考:
企業のフレーズ、商標登録しやすく 特許庁が基準改正へ:朝日新聞デジタル
キャッチフレーズ、商標出願~登録の期間3分の1に 特許庁 :日本経済新聞
キャッチコピーは商品名やサービス名と同等か、あるいはそれ以上にユーザー認知の向上に貢献するため、他社との差別化を図るためにもキャッチコピーの商標登録は有効でしょう。
商標登録はブランディングに有効な手段であるため、独自性の高い商品名・サービス名の場合は登録しておいた方が良いでしょう。
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- キャッチコピーとは、商品などの宣伝の際に使用される文章のことです。 宣伝をする対象のイメージや特徴を簡潔にまとめつつ、見た人の印象に残る必要があります。一言で完結するものから数行になる文章など、実際の長さはバラつきがあります。 キャッチコピーの制作を職業とする人のことを、「コピーライター」と言います。
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