人は、先に得た情報に無意識のうちに引っ張られた行動をとります。この心理作用を「プライミング効果」と呼びます。
先行情報は、人の判断基準に大きな影響を与えるため、ビジネスの現場で活用すれば自社製品を購入してもらえる確率を高めることもできるでしょう。

今回は、「プライミング効果」の基本を解説します。

プライミング効果とは:先行する情報に判断が影響をうける現象

プライミングは、「prime」という英単語から来ており、日本語だと「第一の」と訳されます。

心理学では、先に与えられた情報のことを「プライマー」、それによって影響を受ける刺激を「ターゲット」と呼びます。
プライミング効果は、先に与えられた刺激(プライマー)によって、後の刺激(ターゲット)の処理の仕方に無意識のうちに影響が出る現象を指します。

一般的に考えれば、自らの意思や判断はすべて意識的に決めているように思われます。
しかし、「意識のうち9割は無意識である」と言われるように、実際は顕在意識が働かないところで意思が決定されています。
そのため、気づかないうちに自らの意思が決定されるということが起きるのです。

プライミング効果の例

例えば、以下の2つの質問をするとします。

「囲碁の碁石には何色のと何色の石を使いますか?」

「なんでもいいので、パッと思いつく動物を挙げてください 」

全く関連性の無い2つですが、2つ目の質問にはシマウマやペンギン、パンダといったような白黒の特徴を持つ動物を答える確率が高くなります。
これは、「囲碁の碁石は白黒である」という情報(プライマー)が、動物(ターゲット)の選定に影響を与えるためです。

このように「自分の意思で選んだつもりの動物が、実は無意識のうちに他の要素に影響されて選んでいた」ということが起こるのです。

同様に、果物の例を挙げさせる前に「赤」というプライマーを与えれば「イチゴ」「リンゴ」などを想起させることになるでしょう。
プライマーが特に効果を発揮するのは「なんでもいいので動物の中から一種類挙げてください」というような、正解がなく、選択肢が幅広い問いです。

このようにプライミング効果を利用することによって、相手の判断に一定の影響を与えることができます。

プライミング効果の活用法

プライミング効果をビジネスの現場にも応用する場合、購入前にこちらからなにかしらの働きかけを行い、プライマーを与える必要があります。
購入前の接触ポイントとしては、アンケートやメルマガ、SNSが挙げられます。

アンケートで商品に対する興味や、問題意識を喚起する

健康食品の販売を例に出してみます。

まだ購入していない潜在層向けにアンケートを実施するとします。
アンケート項目に「健康なまま生きたい」という質問を設置すれば、ほぼ全員が「はい」と答えるでしょう。
そう答えることで、回答者は無意識のうちに「自分の健康問題」を意識するようになります。

健康問題を意識し始めれば、自然と健康食品に関心がいくようになります。
このように、アンケート内にプライマーとなる質問を設置するのは一般的な手法として広く使われています。

メルマガやSNSでは継続的にプライマーを提供できる

ユーザーに情報を発信できるメルマガやSNSでも、同様の効果を狙えます。
メルマガやSNSの場合はユーザーとの継続的な接触が前提となるため、長期間にわたって少しずつプライマーを設置できます。