小説や写真、絵画など、人によってつくられた作品には全て著作権が存在しており、すべての作品は法の下に守られています。

ただ、ある特定の条件下において、著作権は消失します。
今回は、著作権が消失した「パブリックドメイン」の説明と取り扱う上での注意点をまとめました。

パブリックドメインとは

先程も書いたように「著作物」と定義されているものには、一定期間著作権によって保護される期間が存在しています。
2016年8月現在、日本では作者の死後50年間は保護されると規定されています。

ただ、TPPの影響により、今後は死後70年に引き伸ばされることが確定しています。

参考:
政府与党が著作権法改正案、海賊行為を非親告罪化、保護期間は70年に延長 -INTERNET Watch
「経済と文化を共に盛り上げるために」TPPが著作権に与える影響を関連3団体に聞く | Musicman-NET

(今回は現状の制度に則り、「作者の死後50年間が保護期間」という前提で解説します。)

「作者の死後50年間」が経過した後には、その対象の著作物に対する著作権が消失します。

著作権が消失すると、著作物のコピーを作ったり、著作物を演奏するという行為を自由に行えるようになります。
このように「著作権の消失した著作物」を「パブリックドメイン」と呼びます。

なお、「作者の死後50年が経過した」という条件以外にも、下記の条件が適用されることでパブリックドメインとなっているものもあります。

パブリックドメインになる条件とは

権利放棄

著作物に付与される著作権ですが、この著作権を保持するか放棄するかは作者自身が選択することが出来ます。

もし作者が著作権を放棄した場合は、誰も著作権を保持しない著作物となりますので「パブリックドメイン」となり自由に使用できるようになります。

相続人の不在

先程から何度か書いているように、著作権は作者の死後50年間継続するとなっております。

実はこの条件には「その権利を誰かが相続していた場合」という制限がかかっています。

・作者死亡後にその権利を誰にも相続させなかった
・団体/会社が倒産した際に、著作権処理を行わず誰にも相続させなかった

上記の場合、死後50年間を待たずに著作権が消滅します。

なお、ある作品を作った会社が倒産したからといって、それがイコール著作権の消滅にはあたりません。
あくまで権利処理を行っていない場合のみですので、著作権消滅の確認をせずに著作物を利用するような行為は控えるようにしましょう。

パブリックドメインの画像・小説を紹介しているサイト

Pixabay https://pixabay.com/

著作権のない画像を多数検索することが出来るサイトが「Pixabay」です。

ここに掲載されている画像は、商用・個人用問わずに使用したり改変したりすることが出来ます。
なお、有料の画像ストックサービス「Sutterstock」がスポンサーとして関わっており、その関係でSutterstockの画像が表示されることもあるので注意しましょう。

青空文庫 http://www.aozora.gr.jp/

青空文庫には「著作権が消失した本」と「著作権者がインターネット上で読んでもらって構わないと判断した本」の2種類の本が掲載されています。

作品別や分野別など様々な軸で検索を行うことが出来るようになっています。
なお、「作家別作品リスト」の背景が青色のものは著作権が消失したもの・「作家別作品リスト」の背景がピンクのものは著作権が継続しているものという区別があります。

背景がピンクになっている作品に関しては、特に取り扱いに注意しましょう。
なお、上記のようなサイトで取得したパブリックドメインの著作物ですが、どのような意図で使っても良いわけではありません。