特に欲しくもなかった商品でも、品薄になるほど大人気だと知った途端に購入したくなることはありませんか。
ある選択肢が多くの人に受け入れられていることを知ると、一層その選択への支持が強くなる現象を「バンドワゴン効果」と呼びます。

今回は、流行に乗りたくなる心理「バンドワゴン効果」を解説します。

バンドワゴン効果とは:勝ち馬に乗りたくなる心理

バンドワゴン効果とは、人気商品に対して個人個人の需要が高まることを表す経済学・政治学・社会学で主に使われる用語です。
アメリカの経済学者、ハーヴェイ・ライベンシュタインが提唱しました。

バンドワゴンとは行列先頭の楽団車のことで「バンドワゴンに乗る」という言葉には「時流に乗る」という意味もあります。

バンドワゴン効果の背景には、集団と同じ選択をすることで「自分は間違っていない」と安心したい欲求があるでしょう。
物そのものの価値より、物を取り巻くイメージ(人気なのか、不人気なのか)が価値判断に大きく影響しているようです。

あまのじゃくな心理「スノッブ効果」と高価格アピールで購入を促す「ヴェブレン効果」も構造は同じ

バンドワゴンに関連する用語として、ライベンシュタインは*「スノッブ効果」「ヴェブレン効果」*を挙げています。

スノッブ効果は、バンドワゴン効果とは逆に「人と同じものを利用したくない」という気持ちから生じる効果で人気なものを利用しなくなる心理です。例えば、「みんなと同じ服を着たくないから」とユニクロの商品を避けたいと思う人に働いている効果と言えるでしょう。

ヴェブレン効果とは、購入するものが高価であることがその商品の価値を高める効果のことです。「プレミアム○○」といった通常より少し高い商品などを欲しいと思う心理の背景にあるのがヴェブレン効果です。

それらの効果に共通しているのが、*「本人にとって商品の価値は同じはずなのに、他者の消費との関係で商品の価値が決まる」*ということです。

商品の価値は商品・消費者間のみで決まるのではなく、消費者同士の関係も影響するということを知っておきましょう。

バンドワゴン効果の例

バンドワゴン効果が表れる代表的な例が投票行動です。

バンドワゴン効果によって、マスメディアの報道で優勢とされた候補者に有権者が投票してしまいがちになります。
特定の候補者を支持していない人ほど、とりあえず勝ち馬に乗ろうとする心理が働きます。

こうした行動の背景にあるのは、自分の票を無駄にしたくないという気持ちや、投票した候補が負けて欲しくないという単純な心理的欲求があると言われています。

一方、バンドワゴン効果とは真逆の「アンダードッグ効果」という心理学用語も存在します。
不況にあるものに対して同情する心理から票を入れるというものです。
この2つの報道内容・世間の評価に投票が影響される現象をアナウンス効果と呼びます。

バンドワゴン効果の活用法

バンドワゴン効果をマーケティングに応用するためには、いかに「人気がある・流行している」かを表現することが必要です。

CMでよく見かける「売上No.1」や「顧客満足度No.1」といった文言は、消費者に人気であることを伝えるのに十分でしょう。
受賞履歴を示すことも効果的です。

提示できるような実績が無い場合は、以下のようにファンが多いことを示す事柄のアピールでも、バンドワゴン効果が期待できるでしょう。

「8秒に1人が登録しています」
「会員数が100万人に突破しました」
「3ヶ月先まで予約できません」
「行列のできるお店」

まとめ

人気なものが欲しくなってしまうバンドワゴン効果は、消費者の購買心理を把握する上で欠かせません。
ただ、バンドワゴン効果を期待するあまり誇張表現や虚偽の記載は決して行ってはいけません。
景表法に抵触するだけでなく、ユーザーからの信頼も失います。

あくまで、実績やユーザーの声をベースに、どうアピールすれば自社商品が魅力的に見えるのかを考えましょう。