PDCAは業務改善のための手法として、多くの企業が取り入れています。しかし、近年は市況や環境の変化のスピードが早くなっており、実行するときにはすでに計画自体が破綻しかけているような状況も起こるようになりました。

そのような中、状況の変化にも対応しながら、柔軟に戦略を変えていくことができる手法「OODAループ」が注目を集めています。そこで、OODAループの考え方やメリット・デメリット、PDCAとの違いなどについて解説します。

目次

  1. ODDAループとは
  2. OODAループの4段階
  3. OODAループが注目されている理由
  4. OODAループのメリット・デメリット
  5. PDCAサイクルとは
  6. PDCAサイクルの4段階
  7. PDCAサイクルの課題
  8. 「OODAループ」と「PDCAサイクル」の違いと使い分け方
  9. OODAループを組織に取り入れる際のポイント
  10. 「OODAループ」と「PDCAサイクル」の違いを理解して使い分けよう

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OODAループとは

OODAループとは、状況に応じて意思決定を行うための手法です。「Observe:観察」「Orient:方向づけ」「Decide:決定」「Act:実行」の4段階で進め、状況を見ながら未来を予測し、それに基いて今後の行動を決定して実行します。

突然の環境変化にも柔軟に対応でき、施策のスピードアップも図れることから、結果的に生産性が向上するというメリットがあります。

急な変化に弱いPDCAに代わる、もしくは補強する手法として、近年日本でも多くの企業が取り入れている手法です。

OODAループの4段階

OODAループ.png

OODAループは、PDCAサイクルと同じく4段階に分けて実行します。各項目の詳細について解説します。

【1】Observe:観察

Observe(観察)では、周囲の状況を観察します。サービス開発を例にとれば、「3C分析」を使って市場・競合・自社を分析するなど、できる限り的確に状況を把握します。

【2】Orient:方向付け

Orient(方向付け)では、【1】Observeで分析した結果を踏まえ、戦略の方向性を定めます。

【3】Decide:意思決定

Decide(意思決定)では、【2】Orientで定めた方向性や戦略を、実行レベルまで落とし込みます。次にとるべき行動が定まれば、意思決定を行います。

【4】Act:実行

Act(実行)では、【3】Decideまでに決めた行動を実行します。実行中、状況が変化したと思ったら、【1】Observeに戻って現況を把握します。

OODAループが注目されている理由

OODAループは、PDCAサイクルと使い分けることでビジネスに良い影響を与えるとされています。OODAループが注目されている理由について詳しくみていきましょう。

ビジネス環境の激しい変化に対応できるため

昨今はテクノロジーの進化や常識を覆す新サービスの登場などにより、ビジネス環境が目まぐるしく変化しています。PDCAサイクルでは検証している間に新たな問題・変化が生じ、改善が間に合わないケースも少なくありません。

OODAループは迅速にプロセスを回すことで臨機応変な対応が可能なため、昨今のビジネス環境に対応できる手法と言えます。

AIやSNSに対抗するため

AIはビッグデータの活用によってすさまじい速度で情報収集・整理が可能です。また、SNSもユーザーがリアルタイムで情報を発信します。

人がAIやSNSに対抗するためには、より迅速かつ的確な対応が必要であることから、OODAループが注目されています。

PDCAサイクルが万能ではないため

PDCAサイクルは、製品の生産量と品質の向上を目的として開発された手法です。しかし、新規事業のような不確実性が高いものについては、無理に生産量と品質を向上させようとすると、余計な作業が多く発生することがあります。

ビジネス環境が目まぐるしく変化する現代では、いかに余計な作業を省略するかが重要なため、臨機応変な対応が可能なOODAループが注目されています。

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OODAループのメリット・デメリット

OODAループもPDCAサイクルと同じく万能ではありません。次のメリット・デメリットを理解したうえで利用しましょう。

OODAループのメリット

OODAループのメリットは次のとおりです。

  • 現場の状況に応じた適切な行動が可能になる
  • 自ら考えて組織作りができる
  • スピーディーに施策を立案できる
  • 問題解決を先延ばしにせずに済む

OODAループは、スピード感を持って施策を立案するため、問題を先送りにすることなくスピーディーに解決できます。

OODAループのデメリット

OODAループには、次のようなデメリットもあります。

  • スピード感を意識しすぎて施策の内容が薄くなる恐れがある
  • PDCAが有効な場面でOODAを採用するリスクがある
  • 結果のデータが共有されない

これらのデメリットを意識して、さまざまなリスクを抑えながらOODAループを用いるようにしましょう。

PDCAサイクルとは

PDCAサイクルとは、業務管理・業務改善のための手法です。「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Act(対策)」の4段階を繰り返しながら改善を進めていきます。

PDCAは、1950年代にアメリカの統計学者であるウィリアム・エドワーズ・デミング博士が提唱しました。元は製造業における生産管理や品質管理の手法として使われていましたが、広がっていくうち、経営哲学としても発展しました。

現在は、企業の規模や業種、職種に関係なく、幅広く活用されています。

PDCAサイクルの4段階

PDCAサイクル.png

【1】Plan:計画

Plan(計画)では、目標達成のための計画を立てます。目標と現状を比較し、そのギャップを埋めるために何をしたらいいかを考えます。

【2】Do:実行

Do(実行)では、【1】Planで立てた計画を実行します。次の段階で計画と行動を正しく評価するため、計画に対して忠実に実行します。

【3】Check:評価

Check(評価)では、【2】Doで実行した結果を評価します。計画通りに進められたか、計画通りの結果を得られたかを検証します。

成功した場合も失敗した場合も、その要因を分析して考えることが重要です。

【4】Act(対策)

Act(対策)では、【3】Checkの結果、計画通りに進んでいないところを見直し、今後の対策を決めます。一連の流れを終えて新しい方向性が定まれば、【1】計画に戻ります。

PDCAサイクルの課題

PDCAサイクルは、計画から実行後の改善まで明確な段階に分かれていることから、指標にしやすいメリットがあります。ただ、完璧すぎる計画を立ててしまうと、環境の変化に対応できないデメリットも生じます。

前述したとおり、PDCAサイクルは元々製造業の品質管理のための手法でした。そのため、決まった行動を行う限り毎回同じ結果が得られる行動に関しては、高い効果を得ることができます。

しかし、例えば人の意思決定が関わる行動などでは、実行段階の環境が計画段階と変わっている可能性があります。また、本来の計画自体を検証することなく、計画通りの実行だけに注力してしまい、成果につながらないこともあります。

「OODAループ」と「PDCAサイクル」の違いと使い分け方

OODAループとPDCAサイクルの違い.png

PDCAサイクルでは「計画を立てる→行動する」のに対し、OODAループでは「状況を見る→とりあえず着手する」という流れになっています。

ほとんど変化しない市場の商品・サービスの販売数を増やしたい場合では、PDCAサイクルのほうが向いているでしょう。

一方、新規事業や新商品・新サービスのような不確定要素が多い場面では、OODAループのほうが向いています。PDCAサイクルでは無駄な作業が発生し、目まぐるしく変化するビジネス環境や市場に対応できない恐れがあります。

OODAループを組織に取り入れる際のポイント

OODAループを組織に取り入れる際は、次のポイントを押さえましょう。

OODAループに対する共通認識を持つ

OODAループは個々の裁量権が大きくなるため、組織全体が同じ方向を向いていることが重要です。この部分ができていないと、組織の方針に合わない施策を立ててしまう恐れがあります。

まずはリーダーが目標をメンバーに共有し、OODAループの使い方の理解を求めましょう。また、実行時の判断基準についても明確に示すことも大切です。

OODAループを使う場面と使えない場面を明確化する

OODAループは新規事業のような不確実性が高いケースに向いている手法です。市場にほとんど変化がない場合における製品・サービスの売上アップなどは、PDCAサイクルのほうが向いています。

OODAループが向いているケース、向かないケースを明確化し、メンバーが迷わないようにしましょう。

「OODAループ」と「PDCAサイクル」の違いを理解して使い分けよう

日本でもOODAループを取り入れる企業は増えてきています。ただ、これまでのPDCAサイクルを全てOODAループに切り替えればいいというものでもありません。

事業全体の計画など、大局を見据えるべきものに関しては、土台となるPDCAサイクルをしっかり定めておくことも重要です。

PDCAサイクルとOODAループを状況に応じて使い分ける知識と柔軟さを持ちましょう。

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