人は、相手にもたれている期待感によって成果や成績が変わることがわかっています。
期待感を持って指導することで、実際に生徒の成績が上がる現象を「ピグマリオン効果」、期待感を持たないで指導することで成績が下がる事を「ゴーレム効果」と言います。

今回は、ピグマリオン効果をうまく活かして部下を育成する際に、知っておくべきポイントについてご紹介いたします。

ピグマリオン効果とは

米国の心理学者ローゼンタールが提唱したため、別名「ローゼンタール効果」とも呼ばれています。

ローゼンタールはある偽の知能テストを行い、そこから無作為に選んだ生徒をリスト化し、「今後数ヶ月間のうちに成績が向上する可能性の高い生徒」として教師に報告しました。

その結果、ランダムで選ばれたのにも関わらず、リストに記載されていた生徒たちは実際に他の生徒と比較して明らかに成績が向上しました。
これは、教師が名簿に記載された生徒たちに期待感を持って指導するようになったことと、生徒自身も期待されていることを意識して期待に応えようと思ったことによるものだと言われています。

ピグマリオン効果は教師と生徒だけではなく、上司が部下を育てる際のマネージメントや、研修時にも応用可能です。

以下より、ピグマリオン効果をより高めるために気をつけたいポイントを4つご紹介します。

ピグマリオン効果を高めるための4つのポイント

1.まずは相手の状況・能力を知る

期待をかけて育成をするといっても、相手の状況や能力がわからなければ、適切な期待をかけることは難しいです。
まずは、自身がマネージメントしたい相手の状況・能力を知りましょう。
営業職であれば、商談の同行をして日頃顧客とどのように関わっているか見ることは大変有効です。
また、仕事をする上で何に苦手意識があるのか、何を得意と感じているのかを本人に聞いたり、今の仕事量が適切かどうか等状況を知ることも大切です。

2.適切な期待値を設定して伝える

相手の状況や能力がわかったら、実現可能な期待値を設定しましょう。
実現不可能だと思われる期待をかけられると、かえってモチベーションが下がってしまうことがあります。
適切な期待値を設定し、それを伝えましょう。
相手からの期待値に対して実情どのくらいギャップがあるかが明確になると、それを達成するためにはどうしたら良いか具体的に考えられるようになります。

3.期待値が実現可能なものである理由を説明する

期待していることが、実現可能である理由を示しましょう。
過去の実績やデータ、本人の特性等を用いて理由を説明をすることで、期待をかけられた本人もそれが実現可能だという自信が芽生えます。
もし部下がその期待値を上回ることが難しいと感じていたり、何か特別な対応が必要だと感じられた場合は、代替策や対応策を検討することも大切です。

また、思ってもいないことや事実と異なっていることを伝えた場合、それが相手に伝わってしまい、かえってモチベーションが下がってしまうことがあります。
期待値の理由を示す際は、自身が心から思っていることを伝えるようにしましょう。

4.期待を持った接し方をする

いくら期待していることを口頭で伝えても、その後の接し方が伴っていなければピグマリオン効果は発揮されません。
部下に伝えた後は、こまめに状況を確認し、気にかけていることを態度でも示しましょう。

まとめ

嘘のない適切な期待をかけることで、相手もその期待に応えてくれるようになります。
ですが、いきすぎた期待や嘘の期待は、かえってモチベーションを下げる原因にもなりかねません。

そのようなことが起こらないためにも、まずは相手にとって適切な期待値を探ることが大切です。
日頃から、自身がマネージメントしたい相手とコミュニケーションを図り、何が得意なのか、何の分野なら実際に伸ばすことができるのかを知るよう心がけましょう。