11月8日早朝に起こった博多駅前の道路陥没事故。

その規模もさることながら、道路がみるみる崩れていく様子は見る人に衝撃を与えました。
そんな中、事故の起こった福岡市の高島市長がSNSを活用して情報発信を行い、その内容の素晴らしさが話題となりました。リアルタイムでの情報発信が特徴であるSNSは災害時やリコール対応など企業の情報発信にとっても、重要なツールの一つです。

商品の宣伝とは異なる、企業自体の情報発信にはいくつかポイントがあります。今回は、福岡市長のSNSの活用事例を参考に、SNSで情報発信を行う際に押さえておきたいポイントを解説します。

いわゆる「炎上」を引き起こさないためにも、情報発信を行う前に学んでおきましょう。

SNSの種類と特徴

SNSと一口で言っても、それぞれユーザーの傾向は異なります。
まずは、現在日本で利用されている主要SNSをおさらいしておきましょう。

1. Facebook

2016年現在、世界で最も利用されているSNSです。
実名での運用が義務付けられており、Facebook側でも信頼性の高い情報を重視しています。

特徴
メインのユーザー層は20代ですが、30代の利用率が40%を超えるなど目立ちます。
また、実名で利用している人が80%を超えており、現実世界での繋がりが生まれるSNSであると言えるでしょう。
世界的にも最大のSNSであり、正確な情報が求められるのも特徴です。
デモやボランティアなど社会的な活動がFacebookを中心として広がることが多いのは、この傾向によるものかもしれません。

2. インスタグラム

画像や動画を軸として情報発信を行うSNSです。
独創的な構図の写真など感性に訴えかける内容の投稿が人気で、ファッションや流行に敏感な若い女性の利用者が多いことが特徴です。

特徴
10代~20代の女性のユーザーが多く利用しています。画像で表現を行うというコンセプトから、ファッションや流行に敏感な若い女性のユーザーが多いようです。
インスタグラムでは#(ハッシュタグ)という機能を使って投稿を分類しますが、特に人気なものとして#空 #花火 #お弁当 などがあります。客観的な情報というよりは、感性に響く芸術的な内容が求められる傾向があるといえるでしょう。

3. Twitter

1投稿140字の短文を投稿するSNSです。日本では匿名で利用する場合が多く、学生の利用も多いのが特徴です。

特徴
10代~20代でそれぞれ50%近くが利用しています。また、70%以上が匿名で利用していることも特徴です。ゲームやアニメの情報もトレンドに上がりやすく、趣味の分野の情報が求められる傾向にあります。

利用者が性別年代問わず満遍なく存在するLINEを除く、3つのSNSにはそれぞれメインのユーザー層が存在します。例えば、Facebookでは好評なイベントでも、Twitterでは逆に否定的な意見ばかり流れてしまうこともあります。

このようにSNSにはそれぞれユーザーの傾向があります。それに合わせ、ユーザーの求めている情報は異なりますので、SNSで情報発信する際は、それぞれのユーザーの特性を意識することが大切です。

参考:
総おさらい!国内主要SNSの利用状況まとめ(Facebook・Twitter・インスタグラム・Snapchat)
【最新版】2016年9月更新。11のソーシャルメディア最新動向データまとめ

福岡市長の災害時の情報発信

2016年11月8日早朝、博多駅前で起こった道路陥没事故は地域住民の生活に強烈なインパクトを与えただけではなく、首都圏で号外が配布されるなど、大きなニュースになりました。

そんな中、事故の起こった福岡市の市長である高島宗一郎氏がFacebookとTwitterで発信した情報が優れていると話題になりました。

参考:
【博多駅前陥没事故】高島宗一郎・福岡市長の情報発信に称賛の声

高島宗一郎氏プロフィール

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福岡市長 高島 宗一郎

1974年11月1日生。
1997年KBC九州朝日放送に入社。福岡の朝の顔としてワイドショーや環境番組のキャスターを務める。
2010年12月に福岡市長就任。
2014年11月,史上最多得票により再選。同年12月2期目就任。
福岡市公式ホームページより

高島氏は元アナウンサーという市長としては珍しい経歴の持ち主です。
地元局である九州朝日放送の名物キャスターだったこともあり、市民からの認知度がもともと高い人だったようです。

アナウンサーはいわば、伝えるということについてのプロフェッショナルです。陥没事後が起こる以前から、公式ブログやFacebookを活用して情報発信を行っていました。

博多駅前陥没事故の際のFacebook、Twitterでの情報発信

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https://www.facebook.com/soichiro.takashima.33?fref=ts

高島氏は早朝5時に陥没事故が発生してからおよそ3時間後にFacebook上で事故の発生について伝えました。

その後も状況について発信していく中で特に話題となったのは『「安心」について私からの質問に対策本部の工事担当者から答えて頂いた内容を皆さんと共有します。』という文章から始まるQ&A形式の投稿です。

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高島氏のFacebookページより

「穴に埋まった水は抜かないのか」「道路復旧までの手順は?」「(復旧まで)何日くらいかかるのか」と言った、市民から見て不安に感じる点に簡潔に答えた内容はFacebookから始まり、Twitterでも話題になりました。

高島氏はまず公な情報の発信の場として、Facebookを利用しました。
正確な情報を求めるユーザー層にマッチし、シェア数は1,500を超えています。

またTwitterでもリアルタイムで情報発信を行いました。Twitterでは文字数制限はありますが、その分情報が広がるスピードが速いのが特徴です。
続報として早く情報が広がることで、事故を起こした工事への不信感や不安感を軽減する効果があったと思われます。

また、高島氏は陥没事故以前にも2016年4月の熊本地震の際にもいち早く情報発信を行い、支援物資の的確な確保を実現しました。

参考:
http://netacube.com/takashima-soichiro#SNS

おさえるべきは「ユーザー目線」

高島氏のSNSでの情報発信から学べることは、徹底的な「ユーザー目線」です。
情報を伝えたい相手のことをユーザーとするなら、高島氏の場合のユーザーは福岡市民です。
市民に望まれる情報発信を行ったことが、高島氏の評価につながったと言えるでしょう。

ユーザー目線の情報発信で押さえておきたいのは3つです。

1.ユーザーが知りたい情報を発信する

最も重要なのはこの視点です。高島氏は復旧するまでの日数やこれ以上事態が悪化しないかなど、まさしく市民の一番気になるところに答えました。
例えば企業で食品に異物混入が起こった時、消費者にとっては自分がその商品を買っていないかどうか、食べてしまっていないかどうかが気になるところです。
企業側の視点で見ると、○○工場の〜の過程で異物が混入したという点に注視してしまうかもしれません。
消費者が、今何を知りたいのかを意識した情報発信を心がけましょう。

2.簡潔でわかりやすく表現する

SNSはブログや文書での発表とは異なり、基本的に長い文章は好まれません。
Twitterには140字の文字制限があり、Instagramはそもそも画像での表現を前提としたSNSです。Facebookでは6万字以上の投稿も可能ですが、表示される画面の幅が小さく、長文では読みづらさを感じます。

そのような点を踏まえると、簡潔でわかりやすく表現をする必要があると言えるでしょう。
実際、高島氏の投稿でもQ&A形式の箇条書きで、内容をわかりやすく伝えています。

3.SNS以外の受け皿を用意しておく

見逃しがちなポイントですが、SNSで情報発信する際には、投稿に関して質問が出てくることを予測して、事前にお客様相談室などの受け皿を用意しておきましょう。
SNSではコメント欄もありますが、内容によってはコメント全てに答えるのには膨大な時間がかかってしまいます。
何より問い合わせの種類は多岐にわたるので、SNSで全てをカバーするのではなく、他の担当部署に割り振る体制作りをしましょう。

まとめ

SNSで行う情報発信は、他のメディアに比べ消費者に早く直に伝わります。そのため災害時やリコール対応、決算情報の開示など世の中にインパクトを与える情報を発信する際には、どのように発信したかが、のちの企業イメージにかかわってきます。

企業のイメージを損ねないためには、SNSごとのユーザーの特徴を知り、そのユーザーがほしい情報はどのようなものなのかを意識することが何より大切です。
今回取り上げた高島市長含め、SNSでの情報発信を活用している企業や行政は多く存在します。実際にどのような情報発信が行われているのか、見てみるのもいいかもしれませんね。