営業活動を行う際、新規顧客の開拓へ目を向けがちですが、既存顧客は企業が安定して継続していく上で大切な存在です。
特にBtoBの場合、既存顧客との信頼を重視している企業は多いでしょう。

今回は、直接的コミュニケーションである対面営業と間接的コミュニケーションであるオンライン上での営業の違いと、それぞれのメリットを活かす営業手法についてご紹介します。

既存顧客への営業で大切なこと

顧客は、大きく「新規顧客」と「既存顧客」にわけられます。

この2つを農業に例えると、新規顧客は荒地を新しく耕して作った田んぼ、既存顧客はすでに一度稲を植え付け収穫を行った田んぼだと言えます。
新しい田んぼは今までになかった収穫量を生みますが、すでに一度収穫を行った田んぼは整備次第によってはさらに多くの収穫が行えます。

なぜ既存顧客を大切にするのか

企業が成長を続けていくためには新規顧客の開拓が重要ですが、安定して収益を出すためには既存顧客への深耕も欠かせません。
アメリカのコンサルティング会社ベインアンドカンパニーのフレデリック・F・ライクヘルド氏の提唱した2つの法則がそれを証明しています。

1:5の法則

「1:5の法則」とは、新規顧客を獲得するには既存顧客の5倍のコストがかかるという法則です。
初めての顧客に対して営業活動を行うには、展示会への出展やアポ取り、商品説明、価格交渉、契約など多くの手順が存在します。
ですが、既存顧客であれば一度取引を行っているため、展示会などの場を設けたり、商品の説明をしたり、余計な活動を行う必要はありません。

同じ金額の取引だとしても営業コストが少なくて済む既存顧客は大切な存在です。

5:25の法則

では逆に、既存の顧客がもし自社から別の競合他社へ切り替えてしまったらどうなるのでしょうか。
1:5の法則であったように、新規顧客よりも低いコストで取引を行うことができなくなってしまいます。

「5:25の法則」は顧客離れを5%改善すれば、利益が最低でも25%改善するという法則です。
企業や業種によって比率に差はありますが、顧客は自身の変化や他社からの営業で他社へ切り替えてしまいます。
安定して利益を出し続けるためにも、顧客離れを起こさない努力が必要です。

既存顧客への営業で大切なこと

では、既存顧客をつなぎ留めるにはどのようなことが大切なのでしょうか。
どこでも・いつでも・必ず売れる商品が存在しないように、営業手法に必勝法はありません。
ですが、王道と呼ばれるポイントはいくつかあります。

【既存顧客への営業のポイント】
・定期的にコンタクトを行う
・常に顧客の変化に気づく
・ニーズやウォンツ(どんな解決法を欲しているか)を発見する
・顧客のビジネスに貢献できる提案を行う
・顧客の声を組織内で共有する

逆に、今挙げた内容を顧客視点に立って裏返すとどうでしょうか。

・一度会ったきりで、あまり会うことがない
・自分の変化に気づいてくれない
・悩みを解消してくれる関係じゃない
・提案が自社のためになる内容じゃない
・せっかく話した意見がその人だけで止まっている

このような関係性では相手を信用して、また会いたいとは思わないでしょう。
既存顧客への営業は商品知識を宣伝するだけではなく、顧客とのコミュニケーションとして捉えるのが大切です。

参考:
通信業界最大手の営業成績トップは「のび太くん」。パワーダウンとアナログコミュニケーションが鍵となるその営業術の極意とは?
大前研一と考える 営業学

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対面と非対面のコミュニケーション、それぞれの得意分野とは

既存顧客への営業をコミュニケーションとするなら、コミュニケーションの方法によって得意な分野があると言えるでしょう。

対面か、非対面かによって相手と行えるコミュニケーションは異なります。

直接的コミュニケーションの得意分野は「受信(聞く)する」こと

対面で行う直接的コミュニケーションは、相手と直接会って話すコミュニケーションの方法です。営業用語で言えば「訪問」や「ルート営業」と呼ばれる手法です。

直接的コミュニケーションの特徴は、表情や身振り手振りといった非言語コミュニケーションが使えることです。
日本には「空気を読む」という言葉があるとおり、言葉だけではない微妙なニュアンスというものが存在します。

例えば、らっきょうが大嫌いな人にメールで「らっきょうは好き?」と聞いて、「好きだよ」と返ってきても嘘かはわかりません。
ですが、実際に目の前で、らっきょうの話をした時に眉をひそめていたら、それだけで嫌いだと気づくでしょう。

先ほどの営業のポイントに当てはめると、直接的コミュニケーションは以下のようなことが得意だと言えます。

・常に顧客の変化に気づく
・ニーズやウォンツ(どんな解決法を欲しているか)を発見する
・顧客の声を組織内で共有する

細かいニュアンスに気付き、さらに情報を引き出すためには顧客へ訪問して話を聞くといいでしょう。
アンケートのような顧客の声を聞く機会がある場合は、ただメールで用紙を送るのではなく、直接会いにいく方が真に迫った情報を得られるかもしれません。
実際、マーケティング調査ではインタビュー形式で行う定性調査という手法があります。

参考:
消費者行動研究における定性調査

間接的コミュニケーションの得意分野は「発信する」こと

メールやホームページを介して行われるコミュニケーションは間接的コミュニケーションと呼ばれます。

間接的コミュニケーションの最も大きな特徴は、情報がすぐに届くということです。
人と人が会って話をするには、双方が予定を合わせて同じ場所に行く必要があります。
ですが、ネットワーク上では一瞬で情報がやり取りされているため、どんなに長い文章であってもメールなら一瞬のうちに届きます。

参考:情報化社会とコミュニケーション
自己開示における直接的・間接的コミュニケーションのあり方と友人関係

また、一度に何かを伝えるにはその分の人を収容する場所が必要な直接的コミュニケーションとは異なり、複数の人に一度に情報を伝達するハードルも低いと言えるでしょう。

・定期的にコンタクトを行う
・顧客のビジネスに貢献できる提案を行う

このように間接的コミュニケーションは、時間を割くことなく情報発信をできることが得意です。
顧客のニーズに合わせた提案を行うのはメールだけでは深堀は難しいかもしれませんが「〇〇でお悩みの方には……」という前提で大量の人に情報発信を行えるのは強みです。
また、なかなか直接会いに行くことが難しくても、メルマガや年賀状を使えば定期的にコンタクトを取ることができます。

まとめ

企業にとって、既存顧客はとても大切な存在です。
そのような大切なお客様には信頼を築くために人対人の対面形式での営業を多く行っているかと思います。

ですが、日頃から忙しい営業マンが顧客と接する機会を増やし続けるには限界があるでしょう。

顔を突き合わせるコミュニケーションに全てをかける営業手法だけでなく、メルマガなどの情報発信ツールを利用することによって取れるコミュニケーションもあります。
対面での営業と非対面での営業それぞれのいいところを活かせる手法を学び、顧客と信頼関係を継続していきましょう。