訪日観光客数は年々増加しています。

2014年3月には、観光庁が「観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン」を公開するなど、国をあげて多言語化に取り組んでいます。
ですが、実際企業が訪日観光客向けのホームページを作成しようとしても、何からやればいいのかわからないのではないでしょうか。

今回は、訪日観光客向けホームページを作成するポイントについて解説します。

・ どんな言語に対応したらいいの?
・ わかりやすい表示にするにはどうすれば
・ 文化の違いにはどのように配慮しなきゃいけないの?

このような疑問を持っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

1. 訪日観光客向けホームページ作成の基本

日本を訪れる訪日観光客向けホームページを作成する際には、まず掴んでおいた方がいい2つのポイントがあります。

1-1. 訪日観光客向けにはできれば独自のホームページを作成する

すでに企業や店舗のホームページを運営している方の中には「現在のホームページを英訳すればいいか」と考えている方もいるかもしれません。

費用の関係で新しいホームページを1から作成できない企業にとっては、まずは現在のページを訳すところから始める方法もあるでしょう。
しかし、日本人向けの内容をそのまま外国人に展開するのはリスクでもあります。

ホームページは利用する人の属性に合わせて作成することで、より大きな集客効果を生みます。

例えば、「出張でやってきたビジネスマン」と「観光目的でやってきた主婦」では同じ大阪で食事をとっても選択する飲食店は異なるでしょう。
それと同じように日本人の顧客と訪日観光客では知りたいことは異なります。
現在のホームページを利用する人のイメージと、これから呼び込みたい訪日観光客のイメージが異なる場合は、新しいホームページを作成するのがいいでしょう。

1-2.スマートフォン対応は必須

三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が2014年に行った「外国人観光客の首都圏交通インフラ利用調査」によると、スマートフォンを情報収集ツールとして利用している訪日観光客は83.8%にものぼりました。

これから作ろうとする訪日外国人向けのホームページも、スマートフォンで見るユーザーが多くなるかもしれないということを考えておきましょう。

参考:
【プレスリリース】 外国人観光客の首都圏交通インフラ利用調査結果のお知らせ

2.ホームページ制作時に意識したい表記のポイント

外国人向けのホームページを作成する際に最も迷うのは、言語の表記ではないでしょうか。
「何語で表記するのがいいのか」「価格はどう表示すればいいのか」など、多くの課題があるかと思います。
今回は、観光庁が公開している『観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン』をもとに、重要なポイントをピックアップしてご説明します。

2-1.外国人でもわかりやすい表示にするには?

まず、言語表記を考える前に「図やイラストで表現できるものはないのか」を考えてみましょう。

例えば、台東区のホームページのフランス語表記のページでは下記のようなメニュー画面を設置しています。

Top_site_de_Taito_Ward.png
台東区トップページ

各メニューについて、フランス語で表記するだけではなく、「ピクトグラム」というシルエットの記号を利用して表記しています。

このように、言語以外にも記号や図、イラストなどで表現した方がわかりやすい場合があります。
画像サイトのほか、国土交通省の関係公益法人である交通エコロジー・モビリティ財団でも数多くのピクトグラムを無料で提供しています。
行政でも推奨されている記号なので、ぜひ気軽に利用しましょう。

参考:
交通エコロジー・モビリティ財団
食品ピクトグラム|東京都

2-2.言葉で表現するか記号で表現するかの基準は?

ホームページに掲載する情報で、文章にした方がいいか、ピクトグラムで表記できるかの判断には「情報量が多いのか」「伝わらなかった場合の影響の大きさ」の2つの軸で考えてみましょう。

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参考:平泉・一関における外国人観光客受け入れ体制整備における多言語案内表示ガイドライン

この表は、世界遺産に指定された平泉で用いている多言語案内表示の基準表です。

例えば、ホームページでホテルの部屋案内を行う時、部屋についているドライヤーの有無やバスユニットの形式などは情報量も少なく、伝わらない影響も小さいのでピクトグラムでの表示でも構わないと判断できます。

一方、喫煙や危険物の持ち込みなど、部屋で行ってはいけないことは伝わらない時のリスクが大きいのでの言語や図を用いてこちらの意図が伝わるよう最大限配慮する必要があります。

2-3.何語で対応する?

訪日観光客向けホームページを作成する際に「何語に対応するのか」は、悩むポイントの1つでしょう。

まずは、自社が狙いたい顧客が在住している国の言語を採用するのが基本です。

自社が狙いたい顧客が漠然としている場合は、多くの人をカバーできる言語を選ぶのも一手です。
訪日観光客の中でも利用する人の多い「英語」「中国語(筒体及び繁体)」「韓国語」の3ヵ国語で表記することで、観光客の大半に合わせることができます。

都道府県によっては外国人観光客の国・地域ごとの利用者数を公開しているので、そちらを参照するのもいいでしょう。

参考:
平成27年観光客の入込動向について|千葉県

2-4.固有名詞の変換に注意

「富士山」や「寺町」など、日本語の名詞をほかの言語に訳す際には、表記のルールが存在します。
例えば、固有名詞である「寺町」は英語表記の場合は「Teramachi」となりますが、山や川のような普通名詞を一部に含む「富士山」は「Mt. Fuji」と表記します。

このようなルールは、『観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン』で詳しく掲載されています。

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参考:観光立国実現に向けた多言語対応の改善・強化のためのガイドライン|国土交通省観光庁

ガイドラインでは、このように具体的な対訳語も案内されています。
ホームページの制作や翻訳を制作会社に任せる場合でも、担当者として基本的な表記のルールは理解しておきましょう。

3.訪日観光客の興味や文化を知ろう

より良いホームページにしていくためには「利用する人のことを知る」ことも大切です。
海外ユーザーについて考えるための3つのポイントを説明します。

3-1.海外の風習への配慮

訪日観光客に利用してもらいやすくし、実際に店舗に訪れた際に齟齬をなくさないためには海外の風習について理解する必要があります。

例えば、ホームページに商品の価格表示をする際に日本国内では消費税法により「総額表示」が義務付けられていますが、税抜き表示が一般的な国もあります。

ホームページでもそのような風習の違いを意識した表記を心がけましょう。

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例:小売業の店内の多言語表示ガイドライン|経済産業省

価格の表記であれば、画像のように複数の表記をすることで齟齬をなくすことができます。
国の制度や消費への考え方など、自社で対応したい顧客に合わせて勉強していきましょう。

3-2.宗教文化への配慮

風習の違いの1つでもありますが、特に注意したいのが宗教への配慮です。
日本国内では信仰している人が仏教や神道に比べて少ないイスラーム(イスラム教)やキリスト教など世界には多くの宗教が存在します。

宗教文化を理解することで、トラブルが起こる確率は低くなります。
例えば、イスラームでは偶像崇拝を禁止しており、宗教主導者であるムハンマドをイラストで描くことは教義に反します。
それを知らずに、ホームページでムハンマドのイラストを掲載してしまった場合、トラブルにつながる可能性があるでしょう。

一部の宗教では、食べてはいけないものが決まっている場合もあります。
ホームページを作成する際には、掲載内容が宗教文化へ配慮したものなのかを考慮するようにしましょう。

参考:
ハラル・ジャパン協会

3-3.訪日観光客がなにに「興味」があるのかを意識しよう

ユーザーが何を求めてホームページに訪れるのかはWeb担当者であれば意識したい視点です。

ホームページがどのように利用されているかを分析するだけではなく、訪日観光客がどのような情報に興味を持っているのかを事前に調べておきましょう。

海外では、日本の旅行情報を調べるホームページが公開されています。
これらのページでは観光地の紹介や電車利用で注意したいことの解説など様々な記事が掲載されており、人気の記事を調べることもできます。
海外の人がどのようなことに興味を持って日本にやってくるのかを意識して、魅力的なホームページに仕上げていきましょう。

参考:
JapanTravel.com
japan-guide.com
MATCHA

まとめ

訪日観光客の増大は、飲食店やホテルなどを運営する企業にとってビジネスを成長させるチャンスです。
集客ツールの1つであるホームページも活用して、訪日観光客向けに効果的なアピールを行いたいところでしょう。

ホームページで対応する言語や説明文の見せ方など、悩むことも多いかもしれません。
その際には、観光庁などで公開しているガイドラインが参考になります。
自社のホームページにそのまま利用できるピクトグラムや訳文の例など、様々な情報を得ることができます。

日本人向けでも訪日観光客向けでも、ホームページ制作時に大切なのは利用するユーザーの気持ちを考えてわかりやすい表記を心がけることです。
ぜひ、自社のサービスを利用したい人はどんな人なのかを考えて、より良いホームページにしていきましょう。