「消費者の届くキャッチコピーを作りたい」
そう思っていても、なかなか思い浮かぶアイディアの幅は広がらない人も多いのではないでしょうか?

商品名やキャッチコピーを考える時に役に立つ要素として「もちもち」「さらさら」というような擬音表現があります。このような表現は「オノマトペ」と呼ばれ、日本人にとって身近な存在となっています。

今回は、オノマトペとは何か、またオノマトペを使った商品事例について解説します。
オノマトペは産業分野や心理学の分野でも研究され、実際に人間の認知機能へも影響を及ぼすと言われています。オノマトペを活用して、消費者に響くコピーを生み出していきましょう。

オノマトペとは

オノマトペとは、実際の音をまねて言葉にした単語を指します。
擬音・擬声という意味の「onomatopoeia」という言葉が語源になっており「オノマトペア」などとも呼ばれます。

例えば、木を削る時の「ガリガリ」というような実際に発生する音以外にも、質感を表現する「サラサラ」「じっとり」といったものも含まれます。

このようなオノマトペは、日常生活においても大変身近な存在です。

オノマトペがどれだけ身近なものがわかる1つの例をあげてみましょう。

オノマトペラボ.png
オノマトペラボ

この画像では、2017年2月16日にTwitterで多くつぶやかれたオノマトペが表示されています。文字の大きさがツイート数の多さを表しており、ユーザーがどのようなオノマトペを特に利用しているのかが一目でわかるでしょう。

上記のホームページは、医療の専門家と言語学者、広報事業サービスの企業が組んだ「オノマトペラボ」というプロジェクトの一環で作成されたものです。
同プロジェクトでは痛みを表すオノマトペと実際の症状が結びついていることを立証し、慢性的な神経痛抱えている患者の受診者数を格段に増加することができました。

このようにオノマトペは日本人の感情に寄り添う表現として、様々な分野で注目を浴びています。

参考:
[戦略PR事例 「医療と言語をPRで繋いだオノマトペラボとは?」]
(https://ozma.co.jp/case-strategic-pr_onomatopelabo/)
[日本語を楽しもう|国立国語研究所]
(https://pj.ninjal.ac.jp/archives/Onomatope/index.html)

オノマトペの効果

企業がキャッチコピーとして取り入れようと考えた時に気になるのが「実際に消費者に響くの?」ということでしょう。

その答えの1つとして、オノマトペは人間の認知機能にまで影響を与えるという研究結果が報告されています。
九州大学による研究では、実際に以下のような実験が行われました。

被験者14名に対して、予備調査により湿り気が高いとされた画像(素材を写したもの)と湿り気が低いとされた画像を10枚ずつ、高粘性を示す「べとべと」低粘性を示す「さらさら」無意味「れへれへ」というオノマトペと合わせて見せる。その後、画像を見て感じた不快感を5段階評価で表現してもらった。

この実験では、湿り気が低い画像・高い画像ともに「べとべと」よりも「さらさら」という語を使うことで不快感が軽減されるということがわかりました。

また、実験では画像に対して湿り気を感じる程度に関しても同様に実証を行っています。
その際には「さらさら」という文字と共に表示された画像は、「べとべと」という文字共に表示された画像よりも湿り気が低く感じるという結果が出ました。

この結果からは、オノマトペによって画像に対する嫌悪感や感じる程度に変化が現れていることがわかるでしょう。

もちろんオノマトペに含まれるすべての語句の有用性が証明されたわけではありません。
ですが、実験からわかる通りオノマトペには物事に対する評価や印象そのものに影響を及ぼす力を持っていると言えるでしょう。

参考:
[触覚オノマトペは素材に対する視覚的嫌悪感を変調する]
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/cogpsy/2016/0/2016_44/_article/-char/ja/)
[テクスチャーを表現するオノマトペの感覚関連性評定に表記形態が与える影響]
(https://www.jstage.jst.go.jp/article/jcss/19/2/19_191/_article/-char/ja/)

オノマトペを使ったヒット商品

オノマトペは今まで数々のヒット商品や流行語を生み出してきました。
大手広告代理店の博報堂では、1960年から2016年までの間の社会でヒットした商品や流行語について「ことば社会年表」としてまとめています。

その中のオノマトペに関わる語句を抜き出して見てみましょう。

オノマトペを活用したことば___ことば社会年表.png
ことば社会年表|博報堂

「ぽぽぽぽ〜ん」のようなCMや「クルトガ」のような商品名に使われたものまで、様々な場所でオノマトペが使われています。
その中でも、ヒットした商品事例に絞って2つ見てみましょう。

1.もちぽにょ

FSTYLE:デザート|スリーエフ.png
http://www.three-f.co.jp/fstyle/category/dessert/

2013年11月にコンビニエンスストアのスリーエフから発売された「もちぽにょ」は1週間に2万個の売り上げを記録し、大きなヒットとなりました。

他にもロールケーキやドーナッツなど、2013年以後から「もちもち」という言葉が使われる商品は数多く発売され、現在でも商品名の多くに採用されています。

市場調査会社のBMFTが行った調査によると、食感を表す言葉の中で「美味しい」と感じる言葉として「もちもち」は2009年から2013年の間で1位または2位の順位につけています。

粘り気がありながらも数回噛んだら切れる感触を表した「もちもち」は、米や餅の文化で育ってきた日本人にとって親しみ深いものなのかもしれません。

参考:
[今、“もちもち食感”が空前のブーム!?|日経WOMENOnline]
(http://wol.nikkeibp.co.jp/article/column/20130528/153901/)
[日本人はなぜ「もちもち」が好きなのか|JBpress]
(http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/40352)

2.じっくりコトコト煮込んだスープ

じっくりコトコト___ポッカサッポロ.png
http://www.pokkasapporo-fb.jp/jikkuri/

ポッカコーポレーションから展開されている「じっくりコトコト煮込んだスープ」シリーズは1996年以後、同社の主力商品の1つとなっています。

鍋の煮立った音である*「コトコト」を用いて、スープのなめらかな様子を表しています。
他にも、パンからスープが染み出す様子を
「じゅわー」と表したり、具材のパンの食感を「こんがり」*と表したりとオノマトペを最大限活用している事例と言えるでしょう。

参考:
[飲食品でヒット商品をつくる|J-Net21]
(http://j-net21.smrj.go.jp/develop/foods/entry/2012011701.html)

まとめ

オノマトペとは「しっとり」「サラサラ」といった擬音から作られた単語を指しています。このような単語はBtoC分野の数多くの商品が展開されてきただけでなく、医療や行政の分野でも注目されてきました。

単語によっては学術分野で、人間の認知機能にどのような影響を及ぼすかも実験されています。
消費者の感覚に訴えかけるオノマトペを使って、キャッチコピーを「どんどん」生み出せるようなアイディアマンになっていきましょう。