炎上という言葉もかなり一般的になり、ソーシャルメディアの持っている怖い側面を多くの人が理解するようになりました。ソーシャルメディアの普及からしばらく経ちがリテラシーも向上してきてはいます。

しかし、自分がWeb担当者となって矢面に立ちネガティブな投稿と向き合わなければいけなくなった時、冷静に対処できる人はまだまだ少ないのではないでしょうか。
今回は、ソーシャルリスニングを活用したリスクモニタリングについて解説していきます。

ソーシャルリスニングを使ってリスクモニタリングをしよう

ソーシャルリスニングのツールを利用すれば、あらかじめ設定されたキーワード群を元にさまざまなソーシャルメディアの投稿を収集することが可能です。ソーシャルリスニングはブランドの反響を調査するだけではなく、ネガティブな投稿、リスクとなりうる投稿も検知します。このソーシャルリスニングを活用すれば、ソーシャルメディアに日々投稿される炎上の種や素早く拾い上げ、拡散する前の対応ができるのです。またお客さんの不満などを出来る限りリアルタイムにキャッチできれば、より素早いサービス改善に役立ちます。

炎上リスクはTwitterだけに潜んでいるわけではない

ソーシャルリスニングで検知できるのはTwitterなどの一般的にSNSとして認知されているものだけではありません。Yahoo!知恵袋などのQ&Aフォーラムサイトや2ちゃんねるといった匿名掲示板、Amebaブログなどのブログサービスに書き込まれる記事やコメントなど、さまざまなメディアで日々発信される情報をキャッチします。ツールによって取得できるメディアの幅は異なりますが、リスクモニタリングに活用したい場合、できるだけ多くのメディアに対応していると良いでしょう。
その理由の一つは、お客さんの不満や炎上の火種が投稿されるのはTwitterに限定されるものではないからです。扱われている製品やサービスの特性によって、どのメディアに投稿されやすいかの傾向は変わってきます。また、お客さんと製品、サービスとの関わり方によって、リスクとなる情報が流出しやすいメディアは変わってきます。
例えば、ちょっとした接客対応の悪さや製品の不良などは、Twitterに投稿されやすい傾向にあります。友人に対して「ちょっと聞いてよ!」といった感覚で、愚痴を聞いてもらって発散したいといった心理が影響いると考えられます。また、自社内での不平不満といった個人が特定されてしまっては困る内容は2ちゃんねるのような匿名掲示板に投稿が集まります。
このように、単にソーシャルリスクモニタリングといってもTwitterだけでなくさまざまなメディアを網羅的に監視していく必要があります。

メディアの特性によって書き込まれるリスクが違う

単純な小売や接客サービスなどに関する不満はTwitterなどでインスタントに書き込まれる傾向がありますが、購入の検討に時間がかかる製品やサービスなどの場合、モニタリングしなくてはいけないメディアが変わってきます。
住宅メーカーを例に挙げてみましょう。住宅メーカーの場合、購入を決定するまでに結構な時間を要します。そのプロセスは、住宅展示場に行って営業担当との話をして、見積もりを出して何度も打ち合わせをして、やっと契約。その後も引き渡しまでの間にかなりの時間、顧客と密に関わることになります。
住宅の工法やお金のことに詳しいお客さんは中々おらず、長期間不慣れなことの判断を迫られ不安に思います。決断次第で何千万ものお金が関わってくるため、できる限り有識者の意見を聞きたいと考えます。そのため、住宅メーカーを検討しているお客さんは、Yahoo!知恵袋など専門的な情報が得られるメディアに質問を投稿する人が多くいるのです。Yahoo!知恵袋に寄せられる質問は、困っているユーザーの生の声が集まっており、何に困っているのかが事細かに記載されています。営業の対応の質向上のためのフィードバックとして活用でき、トラブルの種の早期発見につながることもあり、重点的にモニタリングする価値があります。
営業担当の対応が良くないなどの単純な不満などはTwitterに投稿されることもありますが、住宅に関する法務的なトラブルなどがあった場合はブログなどしっかりと長文で説明できる場所に投稿されることが多いです。意志を持って抗議しようと考えるお客さんは、しっかりとした証拠をブログにまとめ、場合によっては工事の瑕疵があった場所を動画に撮ってYouTubeにアップロードされるなどのリスクもあります。