プログラミングスキルやコーディングに関するスキルは、「ユニコーンスキル」と呼ばれることがあります。
「ユニコーン」=「一角獣」のイメージから、何か一つの強みに特化し、その分野を極めていくことで稼いでいける、そうしたスキルのことをそのように呼ぶのです。

さらに今日では、多くのデザイナーがコーディングもできるようになっているなど、ある分野で活動しているひとが別の分野のユニコーンスキルを身につけることで、他の同業者と圧倒的な差別化を図るケースも多くなってきました。
コーディングもできるデザイナーは増えてきましたが、まだ市場全体で言えばそれほど多くないと言えるので、市場価値の高い人材として評価されるのです。

Design in Tech Report 2017」という報告書の中で、ロードアイランド・スクール・オブ・デザインの学長でもある著名的なグラフィックデザイナーのジョン・マエダ氏は、「(デザイナーにとって)コーディングだけがユニコーンスキルだというわけではない」と語っています。
むしろ、デザイナーが極めていくべき新たな分野は、ライティング能力だと言うのです。

それではなぜ今、「コーディング」以上に「ライティング」のスキルが注目されているのでしょうか。
今回は、デザイナーこそライティングスキルを身につけたほうがいい5つの理由をご紹介していきます。

デザイナーこそ「ライティング」のスキルを極るべき5つの理由

1. ライティング技術もデザインに含まれていると考えられている

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テック業界の中では、ライティング能力そのものがデザインスキルに包括されていく、と先ほどのTech Reportでも紹介されています。
確かに、インタラクティブなデザインを考えた時に、もちろんモチベーションを高めたりリアクションを促すような「画面上の」デザインを行うことも大切です。
しかし、画面上では必ずしもボタンやアイコンが多くを占めているわけではなく、むしろ文章を通して行動を促進させるケースも多いのが現実です。

「アートディレクションとコピーライティングはUIと同じくUXの基本でもある」とデジタルデザイン企業のCOOであるポール・ウッズ氏が言うように、デザインそのものの範囲が広がっているとも言えます。

2. UXの重点がデザインから言語そのものに変わりつつある

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チャットボットや対話型のインターフェイスが普及していくにつれて、言葉のやりとりそのものが重視されるようになってきます。

もちろん、テキストを取り巻くデザインは、使い勝手がよく、シンプルであるに越したことはありません。
しかし、年を経るごとにデザインのベストプラクティスが定着しつつある今、使い勝手のよいデザインは当たり前になりつつあるので、やりとりそのものに価値が移動しているということができます。

実際のところ、UX向上を専門的なミッションとして活動するUXライターという職業が、テック業界で急速に普及しています。
ライターはデザインチームの一員に統合されつつあり、企業は従来のデザインチームをライティングを基幹に据えたものに再編しようとしています。

参考:
UXデザイナーと何が違う?最近話題の新しい職種「UXライター」とは?

3. デザイナーならではのマイクロコピーが注目されている

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ポスターやフライヤー(チラシサイズの広告)のような紙面デザインをする場合、デザイナーがコピーを考えることも珍しくありませんでした。
もちろん、与えられた写真の配置の仕方、タイトルや見出しのデコレーションなども行いますが、どうしたら効果的に伝えることができるか、そのコピーを考えることもデザイナーに期待されていました。
ところが、ホームページの世界では、デザイナーとライターは長い間役割を分けて仕事をしていました。

しかしながら、デザインだけでなく、デザイナーだからこそ作れるマイクロコピーに注目が集まっています。

例えば、下記のTodoistのホームページにあるプロダクト紹介の一部をご覧ください。

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プロダクトの写真を大胆に配置していますが、これだけではまだプロダクトに魅了されるにはまだ足りないと言えます。

しかし、そこに突き刺さるシンプルなメッセージがあれば、さらに強力に伝えることができます。

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長めのテキストを書くような技術もあればよいですが、むしろデザインの一部となるマイクロコピーをデザイナーが考えるケースが多くなってくるでしょう。

4. ビジュアルヒエラルキーとライティングヒエラルキーには類似点がある

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デザイナーとして活躍するためには、デザインの原則を押さえることは非常に大切です。
とりわけ、重要な部分は大きく目立たせて、そうでない部分はシンプルで控えめにデザインし、重要度の序列化を決めていく「ビジュアルヒエラルキー」を定義するのは、非常に大切なことです。

そして、情報を伝えるという意味においては、ライティングにも同じことが言えます。
重要なことは見出しで大きく書き、そして本文は読みやすく、また写真などの下に添えられたキャプションは小さく控えめに、短くはっきりした言葉で伝えていくのです。

ライティングのスキルを極めることは、何を一番伝えたいかを決め、そのために不要な情報を削ぎ落とす練習にもなります。
コミュニケーションやUX向上の点において、ビジュアルとライティングには共通点があることが改めて認識されはじめており、スキルアップの目的でも多くのデザイナーが積極的にライティングスキルを学び始めています。

5. AIにはできない仕事を期待されている

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世界は日々急速に変化しており、Webデザインですら無料で簡単にできるサービスが多く登場しました。
そのため、単にヘッダーやフッターの位置を決めたり、ソーシャルメディアのボタンの画像を作成するだけのデザイナーは、希少価値がなくなりつつあります。

AIや機械学習のような技術が至るところで取り入れられており、ライティングの分野でも一部の仕事は機会が担っています。
簡単な会話の応対、チャットボットの返答、自動翻訳などがそうです。

しかし、そうしたディープ・ラーニングの技術とは別に、人間の手によって書かれた価値ある情報も、私たちの生活には必要不可欠です。
もはや「デザイナー」とは、デザインやライティングも含めた、人間にしかできない「創作活動」を行う役割として期待されており、自分の専門分野の枠を超えてクリエイティブに表現できる人材が求められています。

まとめ

ライティング自体が以前のようにSEOのために量産するようなものではなく、クリエイティブな行為として認識されはじめているので、ライティングスキルを身につけたデザイナーに注目が集まっています。

また、音声UIの登場やチャットボットの普及などで、単なる美しさを超えて、「対話」的なデザインも求められています。
そうした中で、ライティングのスキルを学ぶのは、デザイナーにとっても必ず役に立つでしょう。

もしあなたがデザインの勉強を進めていたり、デザイナーとして活躍している場合は、ぜひライティングの勉強も進めてみてください。