「日本No.1の最安値!」や「A社より効果が3倍も高い!」といった売り込み広告を見かけたことはありませんか?

こういった広告は記載されている内容によっては景品表示法に違反し、企業が罰則を受ける場合があります。
消費者とのトラブルに発展する可能性もあるでしょう。

今回は、景品表示法をもとに、商品・サービス紹介における不当表示を行わないための4つのポイントを解説します。
担当者自身が気づかないうちに、消費者の誤解を招くキャッチコピーや商品価格の表示を行っているかもしれません。
ぜひ、この機会に自社ホームページやパンフレットで、誤解を与えるメッセージを発信していないかチェックしましょう。

1.実際の商品・サービスよりも優れた性能をうたわない

景品表示法第5条第1号では、実際の商品・サービスよりも優れていると表示する*「優良誤認」*を禁じています。

優良誤認とは、具体的に、以下の2点が該当します。

(1)実際のものよりも著しく優良であると示すもの
(2)事実に相違して競争関係にある事業者に係るものよりも著しく優良であると示すもの

つまり、健康食品で実際にはない効果をうたったり、家電製品の性能を示す数値を書き換えたりといった行為が優良誤認にあたるでしょう。

行政処分が下った例としては、「『業界最速』の通信速度」という表記を行った、格安SIMサービスを提供している企業が挙げられます。
消費者庁は、表記の裏付けとして提出された資料が合理的な根拠を示すものではなかったとして処分を下しました。

「合理的な根拠」とは

では、広告の表記が正しいと裏付ける「合理的な根拠」とは、どのような内容を指すのでしょうか。
具体的に、消費者庁は以下の2点を挙げています。

 1.提出資料が客観的に実証された内容のものであること。
 2.表示された効果、性能と提出資料によって実証された内容が適切に対応していること。

1の客観的な資料としては*「試験・調査によって得られた結果」または「専門家、専門家団体若しくは専門機関の見解又は学術文献」*である必要があります。
資料の伴わない自社独自の見解は、合理的な根拠として認められないので注意してください。

また、データを記載する際は、2にあるように実証された内容と表記にズレがないことが求められます。
例えば、業界シェア1位という2010年の調査結果をもとにした場合、2017年現在の情報と誤認されないよう調査期間を併記した上で「最新の調査により、業界シェア1位」などの表記はできません。

参考:
[格安スマホ会社を行政処分 「業界最速」広告巡り|日本経済新聞 ]
(http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG21H5N_R20C17A4000000/)
プラスワン・マーケティング株式会社に対する景品表示法に基づく措置命令について
優良誤認とは|消費者庁

2.実際の商品・サービスにはない、有利な取引条件をうたわない

実際の商品やサービスにはない取引条件をうたう表示は*「有利誤認」*にあたるとして、景品表示法第5条第2号で禁止されています。

具体的には以下の2点が該当します。

 (1)実際のものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの
 (2)競争事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認されるもの

例えば、「今なら半額」と記載しておきながら、基本価格は表示せず、実際は基本価格の半額以上の価格だった場合などが挙げられるでしょう。
価格だけでなく、一ヶ月限定のキャンペーンといいながら、年間を通してキャンペーンを実施するというような内容も対象となります。

参考:
有利誤認とは|消費者庁
「今だけ無料」処分…アディーレ法律事務所、代表弁護士ら「懲戒審査相当」 東京弁護士会などの綱紀委議決|産経ニュース

3.提供できない商品・サービスは表示しない

実際には提供できない商品・サービスを表示している広告を*「おとり広告」*と言い、景品表示法第5条第3号で禁じられています。

(1)取引の申出に係る商品・サービスについて、取引を行うための準備がなされていない場合のその商品・サービスについての表示
(2)取引の申出に係る商品・サービスの供給量が著しく限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明りょうに記載されていない場合のその商品・サービスについての表示
(3)取引の申出に係る商品・サービスの供給期間、供給の相手方又は顧客一人当たりの供給量が限定されているにもかかわらず、その限定の内容が明りょうに記載されていない場合のその商品・サービスについての表示
(4)取引の申出に係る商品・サービスについて、合理的理由がないのに取引の成立を妨げる行為が行われる場合その他実際には取引する意思がない場合のその商品・サービスについての表示

上記の4つのいずれかにあてはまるものが「おとり広告」として、処分されます。

例えば、店舗のオープニングキャンペーンで「来場者全員にトートバックをプレゼント」としながら、実際は100個しか用意しておらず、全員に配れる量には達していなかった場合などが挙げられるでしょう。

参考:
おとり広告に関する表示|消費者庁

4.二種類の価格を利用した、消費者に誤認を与える表記は行わない

「メーカー希望小売価格」に「◯◯ネットショップ限定価格」を併記するなど、2種類の価格を表記すること二重価格表示といい、それ自体は規制されていません。
ですが、この時、2つの価格表記を意図的に操作することにより、実際の値引き額よりも安く見せるといった行為は禁じられています。

具体的に行政処分が下った例としては、靴販売店が自社ブランドの靴に対して実際の販売価格を上回る「メーカー希望小売価格」を表記し、希望小売価格より値引きして販売しているように見せた事例などが挙げられるでしょう。

こういった二重価格表記は、優良誤認や有利誤認につながります。「元値に対して◯%オフ」といった表記を行う際は、意図的な価格操作を行わないようにしましょう。

参考:
二重価格表示
エービーシー・マート処分 靴価格不当表示で消費者庁|産経ニュース

まとめ

景品表示法では、優良誤認や有利誤認といった実際の商品・サービスの性能や取引条件とは異なる表示を行うことを禁じています。
他社と比較する場合は客観的な調査に基づいている必要があるだけでなく、どのような内容の情報をもとにした表記かを明らかにしましょう。

また、実際は提供する予定のない商品・サービスをうたう「おとり広告」も禁止されています。例えば、不動産で実際は売買予定のない物件を掲載したり、ネットショップで在庫のない商品を表示し続けたりといったことはおとり広告にあたるでしょう。

こういった表示に共通しているのは、どれも消費者に誤解を与える表記だということです。
たとえ違法でなくても、自社のキャッチコピーは消費者を騙す内容になっていないかを常に意識してキャッチコピーを作成するようにしましょう。