AIによって仕事は奪われる?

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AIの議論になると必ず出てくるのは*「AIは人間から仕事を奪う」*ということです。
デザインの世界も例外ではなく、人間の代わりに驚くべきスピードとクオリティで製作するサービスが数多く登場していることから、そのように考える人は少なくありません。

クリエイティブの世界でも機械化・自動化は当たり前になりつつあります。
10 年以上前だと、機械によって生成されたコードは汚くて使い物にならなかったことも多かったのですが、最近では経験の浅いコーダーに任せるよりもよりよいものが作られることも日常茶飯事です。
以前は「人の手を使わないと難しい」と思われていた仕事も、今はそのほうが非効率なこともあります。

こうした光景は、産業革命時にイギリスで機械化が広まり、手工業者が「仕事が奪われてしまう」という理由から起こした*機械排斥運動(ラダイト運動)*を彷彿させます。
しかし、AI のような技術を活用した機械化・自動化を対立関係だけで語るのでは200年前に起きたことを繰り返してしまいます。
*「協働」*できるのではないか、つまり、AI がデザインをしてくれるからデザイナーが必要でなくなるというより、AI によってさらにデザインの可能性が広がるのではないか、と考えることこそ、デザイナーには必要なのではないでしょうか。

デザインはコモディティ化する?

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AIによって作成されたデザインは、ビジュアル的にも非常に美しいので、思わず見とれてしまうほどです。

しかし、そもそも機械学習のアプローチに着目すると、機械学習は膨大なデータを読み込ませることで学習を行い、その学習したパターンを組み合わせてデザインを提案するわけです。
すなわち、AIが提案するのは、これまでのデザインのベストプラクティスであり、ユニークでオンリーワンであるかと言われれば、ちょっと首を傾げてしまいます。
AIが提案するデザインは、コモディティになり得るので、おそらく「どこかで見たことのあるような」デザインが増えていくのでしょう。

参考:
そういうことだったのか!と思わずうなずく「機械学習」超入門

その意味では、既存のWebデザインのベストプラクティスから抜け出したデザイナーこそ、存在価値が見いだされます。
昨今のWebデザイントレンドとしてブルータリズムが流行しているのは、AIには絶対に作ることのできない「人間のクリエイティビティへの挑戦」をWebサイトという土俵で表現しようとしているようです。
Webデザイナーは、「デザイナー」(設計士)としての側面よりも「アーティスト」(芸術家)としての側面のほうに重点を置いていかないと、同じようなWebサイトを量産しているだけでは「one of them」(その他大勢の中のひとり)として取り残されてしまいます。