Twitterの情報発信力を駆使しているのは、芸能人や企業だけではありません。

ここ数年で、政治家Twitter活用が盛んになってきました。
2016年に行われたアメリカ大統領選でトランプ大統領が当選した背景には、Twitterでの情報発信があったと指摘されているニュースをご覧になった方もいるでしょう。
こういった政治家によるTwitterの利用は、実は国外のものだけではありません。

今回は、千葉市長である熊谷俊人氏の情報発信方法をもとに、ユーザーとの交流で大切にするべき2つのポイントを解説します。
2017年5月28日に行われた千葉市長選で3回目の当選を果たした熊谷俊人氏は、Twitterで12万人以上のフォロワーを抱えており、Twitterを活用した選挙戦を行ってきました。

政治家によるTwitter活用は、ユーザーとの交流方法や姿勢において企業のSNS運用に応用できる部分があります。
自社の運営にあてはめながら、ユーザーに支持されるアカウント運営の方法を学んでいきましょう。

参考
千葉市長選 現職の熊谷氏が3回目の当選|NHK NEWSWEB
※このWebページは現在公開されていません

実は遠くない、政治とSNSの関係

TwitterやFacebookのようなSNSは企業や個人間だけでなく、政治の世界でも有権者とのコミュニケーションツールとして活用されています。

例えば、アメリカのオバマ前大統領は2008年の初当選時よりSNSを活用した選挙戦略で注目を浴びました。
オバマ氏の選挙陣営はFacebookページ上に選挙活動を担う地区ごとのリーダーのメールアドレスを掲載し、誰でも選挙活動にアクセスしやすい環境をつくっています。
加えて、Twitterでは女性やセクシュアルマイノリティ、ヒスパニック系、若者など社会のなかでマイノリティになりがちな層へメッセージを投げかけました。

オバマ氏だけでなく、現在のアメリカ大統領であるトランプ氏もTwitterを活発に利用しています。2017年1月時点でフォロワーが2000万人を突破し、Twitterの全ユーザーのうちフォロワー獲得数は68位となりました。

日本国内においても2013年4月より公職選挙法が改正され、SNSや電子メールを利用した選挙活動が可能になったことで政治におけるTwitter利用は進んでいます。

「政治」と聞くと、どこかネットとは遠い世界のように感じるかもしれません。
しかし、実際は積極的にSNSを活用することで支持を集めている政治家も登場し始めています。

企業のSNS担当者にとっても、Twitterを活用している政治家から多くのことが学べるでしょう。

参考:
オバマは「SNS大統領」ではなかった|日経ビジネスONLINE

[トランプ氏のツイッター、フォロワーが2000万人突破|CNN.co.jp]
(https://www.cnn.co.jp/tech/35095093.html)

[(1)インターネット等を利用する方法による選挙運動の解禁等|総務省]
(http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo10_2.html)

[インターネット選挙運動の解禁に関する情報|総務省]
(http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo10.html)

千葉市長熊谷俊人氏のTwitterにおけるユーザー交流

Twitterを活用する政治家が増えるなかでも、千葉県の県庁所在地である千葉市市長の熊谷俊人氏は特にアクティブなTwitter運営を行っています。
同氏は一方的な情報発信ではなく、双方向でユーザーとの交流をはかることで支持を集めているのが特徴でしょう。

熊谷俊人氏プロフィール

熊谷俊人_くまがいとしひと_公式Webサイト___千葉県千葉市_千葉市長__.png

https://www.kumagai-chiba.jp/

2001年 早稲田大学 政治経済学部 経済学科 卒業/NTTコミュニケーションズ株式会社入社
2006年 NPO政策塾「一新塾」第18期生
2007年 千葉市議会議員選挙(稲毛区)に立候補、当選
2009年 千葉市長選挙に立候補、当選
2013年 千葉市長選挙に立候補、当選
2014年 ワールドメイヤー(世界市長賞)ノミネート
熊谷俊人公式Webサイトより引用

熊谷氏は31歳という当時最年少の市長として当選し、2017年5月28日に行われた任期満了に伴う市長選では過去最高得票で3回目の当選を収めています。

その若さもさることながら、積極的なTwitter運営も特徴的でしょう。

2010年から開始し、2017年5月現在でフォロワー数は12万人を超えます。
どちらも千葉市より2倍以上の人口を抱えている大阪市市長の吉村洋文氏の2万5千人や名古屋市市長河村たかし氏の7万1千人をはるかにしのぐ数のフォローを得ていることからも、Twitterで注目を得ていることがわかるでしょう。

同氏は自身の選挙活動の様子だけでなく、Twitterを通して積極的に市民との交流をはかっています。その手法の一部を紹介しましょう。

参考:
[千葉市長に熊谷氏初当選 31歳全国最年少|千葉日報]
(http://www.chibanippo.co.jp/senkyo/2009/chibac/44)

1.ハッシュタグを使った交流イベント

Twitterには「#(ハッシュタグ)」と呼ばれる、独自のタグ付け機能が存在します。
ツイート内にハッシュタグをつけることで、同じハッシュタグがついたツイートを一覧で探すことができ、ユーザー同士が1つのテーマで語り合う際に活用されています。

熊谷氏このハッシュタグを活用し、度々ユーザーとの対話会を開催しています。
対話会では、市の財政や地域の開発についてなど具体的なテーマを投げかけ、それに対する市民の意見を吸い上げながら参加者同士で意見が交わされます。

この対話会の特徴は、市長に対するリプライ(返信)ではなく、ハッシュタグで話し合う点でしょう。
ハッシュタグを用いることで他のユーザーからも見やすく、それぞれのツイートへリプライやリツイートを行いやすい環境が作られています。

2.引用リツイートを利用したリプライ

熊谷氏は対話会で出た意見だけでなく、普段から千葉市の政策に関するツイートに対して引用リツイートで自身の意見を表明しています。

千葉市の運営に関する批判的な内容でも拾い上げ、なぜ運営上実現できていないのか、今後どのように行っていくべきだと考えているかなどをツイートしています。

引用リツイートは、自身のユーザーにツイートを共有しながらも、引用元のユーザーにも通知が届けることができます。そのため、自分のフォロワーへ意見を発信していきながらも、引用したツイートへの返答としての意味合いも持たせられるでしょう。

熊谷氏のツイートから見えてくるユーザーとの交流で大切な2つのこと

1.一方的な情報発信ではなく、双方向での交流を心がける

政治家のアカウントは、政策や選挙活動の告知になりがちです。
しかし、熊谷氏は自身の意見表明だけでなく、ユーザーの意見に対して引用リツイートで話題にしたり、交流会を開いたりと双方向での交流につとめています。

このように1対多数だけでなく、1:1での交流を手軽に行えるのはSNSの強みでしょう。
戸別訪問などの1:1の交流機会を持ちづらい選挙においても1人1人と交流の機会を持つことで、自分のファンを生み出すこともできます。
これは企業のTwitter運営でも同様のことが言えるでしょう。ユーザーとの交流を前提としたSNSは気軽にファンと話し合い、意見を吸いとれる貴重な場でもあります。
ぜひ一方的な情報発信だけでなく、双方向での交流も心がけてみましょう。

2.情報は包み隠さない

ツイートは自身の発信した情報が一瞬で多くの人に届けられるだけでなく、他のユーザーとのやりとりでさえ他のユーザーから見られる環境になります。
熊谷氏はそういったやりとりを引用リツイートで多くの人に明らかにするだけでなく、否定的な内容のツイートに対しても反応しているのが特徴的でしょう。

否定的な内容であっても1つ1つ取り上げ、自身の意見や何故市で対応できていないのかを理由を明らかにしています。
それだけでなく、公式Web上で回収しているアンケート結果はリアルタイムで内容を公開し、市政に関わる情報は包み隠さず発信しています。

否定的なツイートを見かけても見なかったことにしてしまう担当者は多いのではないでしょう。
しかし否定的な内容から学べることや、否定的な内容に対して説明することで得られる支持もあります。自社のネガティブな情報に目を瞑ることなく、真摯な対応を心がけましょう。

まとめ

自身の活動を有権者に届け、支持を集めていく政治活動と、商品やサービスの情報を社会に発信し、ファンを作っていくマーケティングには共通している面もあります。
例えば、特定のターゲットに絞って広告を配信したり、ユーザーとの交流を通してファンになってもらったりといった手法はマーケティングにおいても学べる方法でしょう。

特に、千葉市長熊谷俊人氏のTwitter運営からは、真摯な情報発信の姿勢が見えてきます。
熊谷氏は政策に関する提案には、1つ1つ引用リツイートで回答しています。
ハッシュタグを利用する事で、より多くの意見を吸い上げているのも特徴でしょう。

企業においても自社の製品やサービスに言及しているユーザーは見逃さず、クレームには謝罪するだけでなく、対応できないものは対応できない理由をはっきりと示す事が大切です。
政治家と企業という全く異なる存在ではありますが、自社の運営で学べる事を見つけてぜひ施策に生かしていきましょう。