ユーザー目線で考えることは、マーケティングをおこなう際に重要なことの一つです。市場調査やアンケートをすれば、ユーザーの動向を読み取ることができます。
ですが、大規模な調査をおこなうのは時間や経費がかかり、なかなか難しいところでしょう。
そういうときに知っておきたいのが、年に一回消費者庁が発表している消費者白書です。消費者白書には、消費者の消費行動の傾向や、トラブルに関する情報がまとめられています。

今回は平成29年版消費者白書についてご紹介します。

消費者白書とは

消費者白書とは、政府がおこなった消費者に関する施策の状況や結果を国会に報告する資料です。消費者庁のホームページからだれでもダウンロードして閲覧できます。
国会に報告する資料だから難しそうと思うかもしれません。ですが、図やグラフが多用されておりわかりやすくまとめられています。

約300ページの中から、マーケティング施策を考える、あるいはECサイトを運営するときに役立ちそうな情報を取り上げてご紹介します。

参照:
消費者調査|消費者庁

消費者の行動

消費者白書の中には、消費者の行動がわかるデータが記載されています。

支出のうち約4割をサービスに使う

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引用:
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/pdf/2017_whitepaper_all.pdf

総務省が2016年におこなった家計調査によると、財・サービス支出の内訳は財(商品)への支出は57.4%、サービスへの支出は42.6%でした。
サービスの内容は、旅行や月謝などを含む教養娯楽、外食、住居、通信、教育などがあります。

購入するものがモノとして存在する商品だけではなく、旅行などを通して体験を得られるサービスも半数近くを占めています。
今後はさらにモノ消費からコト消費に変化し、そこでしか体験できない独自のサービスが重要になってくるでしょう。

消費者意識は慎重な傾向にある

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引用:
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/pdf/2017_whitepaper_all.pdf

消費者庁の「物価モニター調査」によると、「あなたの世帯の消費への支出額を、今後 3 か月の間について、去年と比べて、どのようにしていこうと思っていますか。」の質問に対して、「減らそうと思っている」と回答した割合が50%を超えました。支出を減らそうと思うのは、「所得が減ると思うから」という理由が最も大きな割合を占めました。
収入が減るかもしれないという不安から、なるべく支出を抑えて節約しようという傾向があるようです。

インターネットを使った支出は年々増加

支出には慎重な姿勢ではあるものの、インターネットを利用した支出額は年々増加しています。1世帯あたりのネットショッピングでの支出額は、2007年に3,059円だったのに対し、2016年は7,448円と9年間で2倍以上伸びました。
インターネットの利用が普及し、今後もインターネットの支出は増加していくでしょう。

商品の機能や価格、品質といった情報を理解した上で商品を選ぶ

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引用:
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/pdf/2017_whitepaper_all.pdf

2016年の「消費者基本意識調査」によると、「あなたは、消費者として、以下の行動をどの程度心掛けていますか。」の質問に対して、「かなり心掛けている」、「ある程度心掛けている」と回答した割合が68.3%と半数を超える結果となりました。
支出を減らそうと思っている中で購入する商品のため、より機能や品質を吟味して満足する買い物がしたいという思いが消費者にはあるのかもしれません。

年代によってお金をかけるものがちがう

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引用:
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/pdf/2017_whitepaper_all.pdf

全世代で共通しているのは、食べることに最もお金をかける点です。
食べること以外は世代によってちがいがあります。10代後半や20代は、ファッションや交際費、身だしなみなど自分のためにお金をかけています。30代〜50代は教育や住まいにお金を使っています。60代や70代以上は医療費や旅行にお金を使っています。
年齢によって、お金を使う目的がちがいます。自社のサービスのターゲットの年齢層の特徴も確認しておきましょう。

口コミやレビューが購入するかどうかの判断基準になる

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引用:
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/pdf/2017_whitepaper_all.pdf

商品を購入するときに口コミやレビューが影響していることが判明しました。
レビューによる購入決定の経験があるかどうかの調査結果で、「何度もある(5回以上)」と回答した20代と30代がそれぞれ46%となりました。「何回かある(5回未満)」を合わせると、調査対象の20代から60代の全世代で8割を超えました。
自社サービスのレビューを書き込めるコメント欄を設置すれば、ユーザーが購入するきっかけになるかもしれません。

参照:
平成29年版 消費者白書

トラブルになりやすいこと

消費者がどういう場面で悩みトラブルになりやすいかを知って、先まわりして予防策を立てましょう。

通信サービスに関する相談が激増

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引用:
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/pdf/2017_whitepaper_all.pdf

消費相談の中で、最も相談が多い件数が通信サービスに関してで、25万件を超えました。
通信サービスの中には、デジタルコンテンツの他にインターネット回線に関する相談も含まれています。

インターネット通販や通信販売の相談が大きな割合を占める

インターネットを使った支出が増加しているからか、インターネット通販に関する相談も増加しています。
ECサイトを運営している方は、サイト上に「よくある質問(FAQ)」を設置して先まわりして消費者の疑問を解決する工夫が必要です。

20、30代を中心にSNSトラブルが増加

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引用:
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/pdf/2017_whitepaper_all.pdf

SNSに関する相談が年々増加しています。2016年は11,541件の相談が寄せられ、そのうち20代が3,662件、30代が2,144件となりました。

参照:
平成29年版 消費者白書

まとめ

消費者白書には調子したデータだけではなくデータに基づいた分析がまとめられています。ユーザーが購入するタイミングや、トラブルになりやすいポイント、購入したいと思う商品やサービスのアイデアを思いつくきっかけになるかもしれません。
購入やお試し購入といった消費行動をともなうECサイトの運営者の方は、ぜひ一度チェックしてみましょう。