SNSの運営が上手くいっていないと感じる企業の中には「どのような投稿を行えばユーザーの反応を得られるのかわからない」といった点で悩みを抱えているケースが少なくありません。

実際、皆さんも ”とりあえず投稿してみる” という形で、日々の運用を進めているという方も多いはずです。いかがでしょうか。
そのような場合、先人の取り組みや実績というのは非常に参考となるはずです。別の企業のSNS運用事例を通じて、実際に良いと感じたものを取り入れてみたいと感じるのはごく自然な流れといえます。

そこで今回は、SNS公開されるやいなや話題となり、Twitterでは計11万2千ものリツイートを得た日清食品のロングセラー商品”チキンラーメン”の「裏しろたま動画」について、チキンラーメンブランドの宣伝担当・佐野様にお話をうかがいました。

果たして、日清食品はこの投稿をどのような目的で制作したのでしょうか。結果として、どのような反響・成果を得たのでしょうか。

裏しろたま動画の制作~公開されるまでの背景

裏しろたま動画|チキンラーメン|日清チキンラーメン.png
http://www.chickenramen.jp/special/howtoshirotama.html

今回クローズアップする”裏しろたま動画”は、1958年に誕生した世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」の特別企画として発表された4本の動画になります。

飛行機内で放送される案内ビデオをモチーフにした「しろたま安全ビデオ」や、警察官に密着したドキュメンタリー番組風の「しろたま警察24時」など、ユニークな内容がSNSを中心に大きな話題となりました。

では、なぜ「裏しろたま動画」はユーザーの心を掴んだのでしょうか。

裏しろたま動画は、もともと「表」しろたま動画が届かない層向けに企画されていた?

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 ◆プロフィール
 佐野正作(さの・せいさく)氏
1991年日清食品入社。営業、マーケティング担当を経て2009年より現職。宣伝部では「カップヌードル」「日清チキンラーメン」「日清ラ王」などの日清食品を代表するブランドの宣伝制作を歴任。現在は、「カップヌードル」「日清チキンラーメン」の宣伝制作を担当する一方、マネージャーとして部下が担当するブランドも統括している。

ferret:
裏しろたま動画を作成した目的と、その経緯を教えてください。

日清食品 佐野:
以前からお客様より「テレビCMやパッケージのように白身が綺麗に白くならない」というお声をいただいていました。白身にゆっくり回しながらお湯をかけてもらえれば、「しろたま」と呼ばれる綺麗な白身はできるのですが、みなさん急いでお湯をかけてしまい、うまく作れていないようでした。そこで誰でも簡単に「しろたま」を作ることができる方法を楽しく伝えようと、「裏しろたま動画」を作成しました。

実際、新垣結衣さんを起用して、しろたま講座篇というCMを配信しています。
ですが、そもそもCMを見ない若い世代の方もいるため、新垣さんの可愛さをもってしても届かないユーザーに対して、届けるためにはどうしたらいいだろうと考えた結果「裏しろたま動画」が生まれました。

ferret:
裏しろたま動画の「裏」は、CMで配信される「表」の動画に対応したものだったんですね。

佐野氏:
新垣結衣さんのCMに対して、裏ということです。そのため、CMがある程度認知されたタイミングで「裏しろたま動画」を配信するという構造になってます。
ですが、CMだけでは、テレビを見ないユーザー層には届きません。
そのため、どうすればテレビを見ない層に届くのかはかなり意識しています。私も14歳と16歳歳の子どもの親ですが、(子どもたちは)全くテレビを見ていません。そういう事情も参考にして、若い世代の方へのアプローチ方法をと考え、結果的に裏しろたま動画にたどり着きました。

ferret:
今までノウハウなど伝える動画が多かった中で、なぜ今、SNS向けのプロモーションを行おうと考えたのでしょうか。

佐野氏:
弊社の中でも様々なブランドや商品があるんですが、Webの世界ではテレビとはまた違った自由なプロモーションが行えると思っています。ですが、チキンラーメンはファミリー層をメインターゲットにしているので、あんまりそういったプロモーションは行ってきませんでした。今回は「しろたま」を作ってもらうために、彼らに何が響くんだろうと考えた結果、皆さんのよく知っているテレビ番組などを題材として、楽しく受け入れられる動画を作ると決めました。

中でも「しろたま安全ビデオ」の「化粧室では、たまごを吸わないでください」のように、たまごとタバコがかかっているといった「しろたま」と相性のいい題材を取り上げています。
ほかにも案は色々あったんですが、4本に絞って配信することになりました。

ferret:
このようなユニークなアイデアはどういった経緯で生まれるんでしょうか。

佐野氏:
基本的には広告会社から提案いただいた内容を、社内で検討し「こういった要素を入れたい」「この部分だけは外したくない」といったことを考えていきます。広告会社からの提案をそのまま受け入れることは基本的にありませんね。

宣伝部やマーケティング担当、代表取締役を含む役員が参加するミーティングで検討しています。そういった場を通して、担当者も腕を磨いています。