会議やコンペなどで複数メンバーの意見をまとめたい場合、どのように議決をとっていますか?満場一致にならない際に、多数決をとる方も多いでしょう。
実は多数決以外にも、議決のとり方があるのをご存知でしょうか?

今回は多数決以外の決め方を6つ紹介します。
社会での選択ルールや決定のメカニズムを解明する理論を「社会的選択理論」といい、政治学や経済学の分野で研究されています。社会的選択理論で研究されているうち、代表的な決め方について紹介するので、会議やコンペの進め方に悩んでいる方は参考にしてみましょう。

多数決の問題点

参加者全員に1票ずつ割り当て、もっとも得票数の多かった候補を選択する「多数決」は選挙などでも用いられている代表的な決め方です。
学生の頃の委員決めなどでも行ったことある方は多いのではないでしょうか。

多数決は投票に必要となる手間が少ない一方で、問題点もあります。

多数決の場合、10票のうち6票を集めた候補があればその候補で決定してしまい、それ以外の4票の意見は決定に反映されません。
また6票の中にも「複数の候補から1つだけを選べと言われたからその候補にしたけれど、本当は残りの候補にも気持ちが動いていた」という人もいるかもしれません。

このように多数決は少数派の意見を切り捨てる分、参加者で話し合って満場一致で決定した内容とずれてしまうという問題点があります。

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参考:
「多数決」を信じてはいけない:『「決め方」の経済学』坂井豊貴が語る、選挙・民意・制度設計の科学|WIRED.jp

多数決以外の決め方

アメリカの経済学者アローが提唱した、社会的選択理論では個人の好き嫌いを集計しても社会的全体の好き嫌いは測れないことを証明し、多数決による投票の限界を指摘しました。以後、社会的選択理論の分野では多数決以外にも様々な決め方が研究されてきています。

では、具体的にどういった決め方が提唱されているのでしょうか。代表的なものを6つ紹介しましょう。

参考:
[社会的選択理論と民主主義|東京大学 社会科学研究所]
(http://jww.iss.u-tokyo.ac.jp/jss/pdf/jss6402_135165.pdf)
[第3章 さまざまな多数決ルール |早稲田大学政治経済学術院 須賀晃一研究室]
(http://www.f.waseda.jp/ksuga/Polieco1003.pdf)

1.決選投票付き多数決

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決選投票付き多数決はフランスのすべての選挙において採用されている手法です。

フランスの場合、1回目の投票で過半数を集めた候補者がいなければ、一定の基準を満たした上位のみが決選投票に進み、再度投票を行います。

決選投票付き多数決の場合、選出されなかった候補への投票数によっては1回目の投票結果を覆しかねません。
例えば1回目でA候補が5,000票を集め、B候補が4,000票、その他の候補への票が3000票という結果だった場合、2回目の選挙でA候補が5,500票でB候補が6,500票となる可能性もあります。

また、同じ人であっても1回目と2回目で違う候補者を選ぶ可能性があるのが難点でしょう。

参考:
[フランス第三共和制下の選挙改革|一橋大学機関リポジトリ]
(http://doi.org/10.15057/5976)
[世界の選挙から:フランス 「正統性高める」2回投票 |毎日新聞] (https://mainichi.jp/senkyo/articles/20161124/ddm/013/030/026000c)

2.トーナメント方式

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トーナメント方式は1対1の投票を行い、得票数の多い方が勝ち進む形式で選出する手法です。
スポーツの大会で経験したことがある方も多いのはないでしょうか。

トーナメント方式の場合、多数決同様に切り捨てられた候補への意見は反映されません。

3.ボルダルール

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「ボルダルール」とはフランス海軍の科学者ジャン=シャルル・ド・ボルダが考案した手法です。
候補のうち1位には3点、2位には2点、3位には1点と配点するルールを決め、獲得した点数の多い人を選出します。

ボルダルールを採用した投票の場合、通常の多数決では評価されない2位以下の得点も考慮されることとなります。そのため、より多くの人からの評価を集めた人が選ばれるというメリットがあります。

参考:
多数決の代替案として最適な「ボルダルール」 | 「決め方」の経済学 | ダイヤモンド・オンライン

4.コンドルセ方式

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コンドルセ方式とはフランスの数学者コンドルセが提供した方法であり、「選好投票」とも呼ばれます。複数の候補者に対して投票者ごとに順位をつけ、2つずつ比較し、他の候補者よりもっとも優れていた候補を選出します。

ただ、コンドルセ方式には数学的な矛盾が発生してしまう可能性も指摘されています。
例えば、3名の好きな食べ物が、1人目は「ラーメン、カレー、うどん」2人目は「カレー、うどん、ラーメン」3人目は「うどん、ラーメン、カレー」という順に好きだとします。

その際にコンドルセ方式では、うどんが選出されます。
ですが、3名のうちうどんよりもカレーが好きな人は2名おり、半数を超えています。
こういった矛盾が発生してしまうことは把握しておいた方がいいでしょう。

参考:
[多数決の矛盾、「コンドルセのパラドクス」|日経ビジネスオンライン] (http://business.nikkeibp.co.jp/article/life/20060517/102254/)
だれからも文句のでない投票方式 | 日経サイエンス

5.ナンソン方式

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ナンソン方式はボルダルールにて得点をつけた候補のうち、得点の合計が平均未満である選択肢を、得点の少ない方から順に排除していく手法です。
平均点未満の選択肢を1つずつ削除していくため、投票回数が多くなってしまうという難点があります。

6.コープランド方式

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コープランド方式とは二つの項目で比較を行い、勝利回数から敗北回数を引いた数値が最大となる選択肢を選出する方式です。
サッカーのリーグ選などで用いられているのを見たことがある方もいるでしょう。

総当たり選となるため投票を行う回数が多く、選出まで時間がかかるのが難点です。