「自分で言語化できるか」が理解度の基準になる

「脳内バックグラウンドタスク」でインプットを自動化

西村氏:
常にアンテナが立っているような状態ですね。

澤氏:
さっき西村さんが「インプットの自動化」とおっしゃっていましたけど、まさに自動化なんですね。IT的な視点でいうと「脳内バックグラウンドタスク」と呼んでいます。PCってバックグラウンドで常駐しているソフトウェアがあるじゃないですか。

通知がきたらプッシュするメールソフトとか。脳の中に同じようにバックグラウンドで、アンテナを張っておくんです。生活しているだけで自動的に情報がインプットされるようになります。すると、プレゼンテーションでのアウトプットの形が自然と決まってきます。

西村氏:
澤さんの場合は、脳内バックグラウンドタスクがプレゼンテーションなわけですね。自分自身で特定のなにかテーマを持っておくというのは大事なのかもしれません。

澤氏:
そうですね。もう1つあるのですが、皆さん「好きなもの」「欲しいもの」とかありますよね?時計とか自転車とかアイドルとか色々あると思います。

すると、たとえば「あの時計がほしいな」と特定の時計をイメージして、街を歩くとショウウィンドウにある時計が気になったり、道行く人の時計がきになったり、やたら目に入ってくるわけですね。

これって、マーケットがあなたに合わせて、多めに出してるわけではなく、勝手にアンテナが立ってるだけなんです。

「なんとなく知っている」「完全に理解できる」の違い

澤氏:
さきほどの話に繋がりますけど、無茶振りの依頼を受けた時、そのテーマのプライオリティを高くしておくんです。そうすると信じられないような情報が入ってくるようになるので、それをとにかく「言語化」していく。この言語化っていうのは、すごく大事なプロセスで、「なんとなく知っている」と「完全に理解できる」って凄くギャップがあるんです。

皆さん漢字で「バラ」と書けますか?手元に紙があれば書いてみてください。

書ける人ってほとんどいないと思うんですよ。でも、なんとなく読めるはずなんですよね。「薔薇」は草冠に「土」を書いて中に「人人」で下に「回」で「薔」になります。説明できましたよね。これが、理解する。要するに「言語化」できる人は理解して説明できるんです。そして、ちゃんと理解して説明すると人を行動させることができるんです。

プレゼンテーションはただ喋っただけで終わりではなくて、具体的にどう行動すればいいのかというところまで話してあげる。行動を引き出すと、連続性が生まれるんですよね。話を聞いて会場を出て終わりではなく、会場をでて行動する。これが先程のマーケティングの話とも重なりますね。

「問いかけ」からアイスブレイクを行いオーディエンスのプロファイリングをする

「あなたはどう思いますか?」に答えられますか?

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澤氏:
言語化という話をもう少ししますと、僕には「教育」というライフテーマがあるんです。現在の日本の教育を変えたいなと思っていて、このままだとまずいなって課題を感じています。それは、「考える事」を省いていることなんですね。考えなくても「正解はこれだ」と覚えたり、覚えられたら褒められたり。そういった教育を小学校から大学までやるんです。

大学はまだゼミとかあるから幾分マシですが。絶対の正解がある上で逆算する教育ばかりなんです。だから、「あなたはどう思いますか?」という質問をあまり受けたことがないと思うんですよね。

欧米では「What do you think?」というのが当たり前に行われています。日本では、「太郎はこのとき何を考えているか述べよ」なんて問題もありますよね。そんなの知るかよって話なんです。「僕はそうじゃないし」と思う。(笑)

そんな文章を読んだだけで“太郎”が考えていることなんてわからないですよ。「お腹空いている」だけかもしれないし。なにが正解かを探すのじゃなくて、「自分はどう思うのか」っていうのを考える。

アイスブレイクで行うコミュニケーション

澤氏:
考えるプロセスが大切です。ちなみに、この問いかけは、テクニックの話になるんですけどプレゼンテーションの「アイスブレイク」で使えますね。

たとえば、このあと会社に行く方は手を上げてみてください。(会場の殆どが挙手)

ありがとうございます。こういうことなんです。問いかけられたから何かしら答えなければならないんです。
アイスブレイクでの問いかけは、コミュニケーションできるわけですよ。ですので、そっけない対応、投げっぱなしでは、あまり良くないですね。

質問したら「ありがとうございます」と言う。オーディエンスに答えさせたからには、必ず反応するという義務がこちらに発生します。

無茶振りの依頼の話に関連するんですが、僕のプレゼンテーションは「誰でも歓迎」なんです。
60代であろうと70代であろうと大丈夫。本日のイベントもオーディエンスがどんな人たちかわからない状態なので、それを踏まえて誰にでも問いかけられるように、反応できるように心構えを作っておくことが大切です。