3人のGoogle出身者が語る「生産性を向上させる」働き方とは

生産性を向上させる以前に「生き方」の見直しをする

西村氏:
ビジネスパーソンの中には、「労働時間を削減しなければならないのに、仕事自体は減っていない」という方もいらっしゃいます。限られた時間の中でどうやって成果を挙げれば良いのでしょうか。

ピョートル氏:
例えば、こんな話があります。「アイスハーベスト」という、氷を収穫して販売している方々が居たんですね。寒いところで氷を切り出して、南の地域に販売すれば、すごく儲かったんです。

そこで、機械を作って効率的に切り出せるようにし、馬車を使って効率的に南へ運べるようにしました。ところが、氷の工場が近くにできたことで、切り出して売るビジネスが成り立たなくなってしまいました。

この話からわかるのは、目先の効率化にこだわっても、結局「何のため」に提供しているのか考えないと、サービスとして成立しないということがわかるということです。

今やっていることは本当に意味があるのか。会社に人生を預けて給料を貰うのであれば、会社として意味のあるものを提供しなければならない。働いている自分自身の人生もあやふやになってしまいます。効率化を行う以前に「自分の人生は自分で決める」ことを伝えたいですね。

Googleに転職して気づいた「クラウド化」による生産性の向上

google-3.jpg
左:ピョートル・グジバチ 氏 右:伊丹順平 氏

西村氏:
なるほど。ピョートルさんの著書『世界一速く結果を出す人は、なぜ、メールを使わないのか』でも綴られていましたが、今の日本人は自分で決めるための時間がありません。それを取り戻すための考え方でもありますね。

次に、伊丹さんにもお聞きしたいのですが、P&GとGoogleに勤めていた時、どのような違いがありましたか?

伊丹氏:
新卒から働いていたP&GとGoogleでは経験値が違うので一概には言えませんが、Googleに転職して業務の多くを「クラウド化」したことで生産性が向上しました。

P&G時代はローカルで動作するソフトを使っていたのですが、一時保存すると保存場所を見失うことがあって、時間ばかりかかっていたんです。

ところが、Googleでは半強制的にクラウド化されていたので、業務における「無駄」に気づくことができました。強制的にクラウド系のサービスを利用すると生産性が上がるのを体感できると思います。

また、Googleに入ってから行っていたのが「今日やるべきこと」を朝に書き出すことですね。細かくすると100個くらい出てくるんですけど、よく見たら自分がやらなくていい仕事もある。仕事を見直すキッカケになりました。

グローバル企業で得た「多様性」を許容できる評価制度

西村氏:
Google時代に学んだことだったんですね!実はやらなくても良かったりする仕事はありますよね。

石戸さんは、サイバーエージェントからGoogleに転職されていましたが、違いはありましたか?

石戸氏:
サイバーエージェントもGoogleインターネット企業なのですが、人種も違えば雰囲気も違いました。実は、サイバーエージェント時代の働き方が、今の7~8割くらいの割合で活きていて、それをGoogleでブラッシュアップしてもらったイメージですね。

サイバーエージェントは会社の方向性を1つにすることに力を入れており、同じ目標に対して自分たち一人一人が意思決定が行えるような組織風土には非常に大きな学びがありました。

Googleは、ダイバーシティが強みですね。サイバーエージェントとはまた異なって、文化、国、バックグラウンドが様々です。どんなカルチャーの人々も受け入れられる仕組みがあったんです。また、Googleは評価制度に「OKR」という指標を用いており、現在勤めているDatorama Japanでも活用し始めています。