「最近の若者は何を考えているかわからない」と感じている方、それは詳しい社会の変化に気づいていないからかもしれません。

20代をターゲットとして売上を伸ばしていこうという企業の方なら、最新のデータと過去のデータを比較し、どのような変化がおきているか把握しておくべきでしょう。

今回は2016年度の調査データと2006年度の調査データを比較し、20代のネット利用傾向がどのように変化してきたかをまとめて解説します。

ネットを利用する端末:パソコンの利用率が減少・モバイルは携帯電話からスマートフォンへ

20代のネットの利用率は2006年94.4%なのに対して2016年には99.2%となり、利用率はますます高くなっていることがわかります。

では、ネットを利用している端末にはどのような変化があったのでしょうか。

 【ネットを利用している端末】
  ・パソコン2006年 95.2% → 2016年 78.9%
 ・携帯電話2006年 94.2% →2016年 7.1%
・スマートフォン 2006年 情報なし →2016年 92.4%
 ※2006年は月1回以上ネットを利用した端末、2016年は年1回以上ネットを利用した端末のデータを掲載しています。

上記のように、20代におけるパソコンの利用率は16%以上大きく下落しています。
また、ネットを利用するモバイル端末は携帯電話からスマートフォンへ移行していることがわかるでしょう。

スクリーンショット_2017-10-30_14.19.46.png
引用:[平成 28 年通信利用動向調査の結果 |総務省]
(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/170608_1.pdf)

上記のグラフにあるように2013年(平成25年)から比較しても、携帯電話は減少傾向にあるのに対してスマートフォンは増加傾向にあります。

2007年に初代「iPhone」が発売されて以降、スマートフォンだけでなくタブレット端末やネットに接続できるテレビの登場などネットを利用できる端末の多様化もこの10年の大きな変化の1つでしょう。

参考:
[初代「iPhone」の発売から4年--当時の予測を振り返る|CNET Japan] (https://japan.cnet.com/article/35004710/)
[平成18年「通信利用動向調査」の結果 |総務省]
(http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/statistics/data/070525_1.pdf)

ネットの利用目的:情報収集や商品購入中心のネット利用からSNSや無料サービスの利用中心へ

2006年(平成18年) 2016年(平成28年)
1 連絡・情報交換(メール受発信、電子掲示板の閲覧・書込み等)74.0% 電子メールの送受信 83.8%
2 情報入手(電子掲示板以外のホームページ閲覧、メールマガジン受信等)69.3% ソーシャルネットワーキングサービスの利用 75.3%
3 商品・サービスの購入・取引(デジタルコンテンツの購入を含む)63.0% 無料通話アプリやボイスチャットの利用 72.5%
4 商品・サービスの購入・取引(デジタルコンテンツの購入及び金融取引を除く)49.1% 地図・交通情報の提供サービス(無料のもの)69.1%
5 就職・転職関係(求人情報入手、採用応募等)18.6% 動画投稿・共有サイトの利用 66.7%

参考:
通信利用動向調査(世帯編)|総務省 平成18年度統計表及び平成28年度統計表より

上記は2006年と2016年で20代がネットを利用する目的の上位5位を並べたものです。

回答する項目の内容が若干異なりますが、どちらも電子メールの送受信がもっとも多く、どちらも7割以上のユーザーがネットを利用する目的として挙げています。
ですが、それ以降の利用率は2006年と2016年で大きく変化しました。

2006年には69.3%の人がネットを情報入手(電子掲示板以外のホームページ閲覧、メールマガジン受信等)の手段として挙げていたのに対して、2016年にホームページブログの開設・更新又は閲覧・書き込みを目的に挙げたのは49.4%にとどまります。
一方で、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の利用は75.3%にものぼります。

SNSを利用しているユーザーのうち54%が利用する目的として「知りたいことについて情報を探すため」を挙げていることからも、ホームページからSNSへの情報収集の手段が変化してきていることがわかるでしょう。

また、2006年から2016年の間に、無料通話アプリや無料の地図・交通情報提供サービスなど無料で利用できるサービスが登場したことも利用目的に変化をもたらしました。

2005年にはGoogleの無料地図サービス「Googleマップ」がリリース、2011年には無料の通話アプリ「LINE」がリリースされています。

参考:
LINE Corporation | 沿革
[「世界を少し近づけた」 Googleマップ、10年間の進化の過程を振り返る |ログミー] (http://logmi.jp/26391)

SNSの利用傾向:ブラウザ型ゲームからスマートフォンアプリ型のSNSヘ

携帯電話からスマートフォンへの移行、情報収集ツールの変化など20代のネット利用傾向は変化しています。中でも2006年から2016年にかけてもっとも大きく変化したのは利用されるSNSの種類かもしれません。

スクリーンショット_2017-10-30_17.07.21.png
作成:ferret編集部:上記の表は異なる2つの調査データを1つにまとめたものであり、正確な比較数値ではありません。ご了承ください。

この表は全年代を対象とし、主なSNSサービスの利用率の変化をまとめたものです。

2006年から2010年にかけて利用者数が増加し、2010年には17.1%のユーザーに利用されてきたmixiは2016年には6.8%にも落ち込んでいます。
また、GREEやMobageといったゲームサービスも2010年をピークに年々利用者数は減少しています。
一方で、LINEやFacebook、TwitterなどのSNSは利用率を伸ばし続けてきました。

上記は全年代を対象とした調査ではありますが、SNSは若年層の利用率が高く、20代の利用傾向を表す1つの指針でもあります。
20代のがネットを利用する端末が携帯電話からスマートフォンへと移行していく中、携帯電話のブラウザ型ゲームからスマートフォンアプリ型のSNSへの移行が起こったと推測できるでしょう。

参考:
[5分でネットがわかるシリーズ(7):2006年のネット界を席巻したSNS (1/5) |@IT] (http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0612/13/news126.html)

まとめ

2006年から2016年の10年の間にはiPhoneなどのスマートフォンの登場や無料通話アプリ「LINE」の登場など、ネット環境にも大きな変化がありました。
こういった社会の変化に対して20代の利用傾向にも変化が現れています。

中でも情報収集ツールがホームページからTwitterやFacebookのようなSNSへ移行している点は、Webマーケティングに関わる企業にとっても意識したい変化でしょう。

こういった変化を見逃さないために、改めて自社のターゲットがどのようにネットを利用しているか調査してみてはいかがでしょうか。