「言語化できれば再現性が生まれる」伝えるための原理

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澤 氏:
自分が言語化できていない事を人に説明するって不可能ですからね。

言語化をできれば再現性が生まれます。とある“天才”と言われたサッカー選手が居たのですが、日本代表になったものの、その後スランプで復活できなかった。才能はあるのに、「なぜできなくなったのか」を言語化できずに戻れなくなったのではないかと思っているんです。その真逆に居る人が、イチローさんですよね。

彼は、天才と言われるのを嫌い、「練習してできることをやっているだけであって、それでもミスが起こる。そのミスを潰すために努力をしている」と説明していて、凄いなと思いました。自分の動きを全て言語化できるので、スランプに陥ったとしても修正できるんです。

飯髙:
スポーツ選手の方々にも多いですよね。僕の世代だと、家長 昭博さんという天才的なサッカー選手がいます。彼は、天才と言われていたのですが、一時期スランプになり、思うような成績を残せない時期がありました。ところが、現在では昔のプレーを取り戻し活躍されています。

それに、当時ほど “王様” にならず、チームと協力してプレーを行っている印象があります。これは、彼の中で言語化ができたからこそであって、今でも活躍している理由なんだなと感じました。
  

「怒られることを恐れる空気」がチームに大きな問題を引き起こす

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飯髙:
メンバーに何かを伝えようと思った時、例えば強い口調になってしまったりすると萎縮されてしまうことがありますよね。

澤 氏:
怒られることを恐れる空気」がありますよね。

私はセキュリティに関する話を行うこともあるのですが、日本のビジネスパーソンが最も恐れていることって、情報漏えいやウイルス感染ではないんです。実は、情報漏えいやウイルス感染が発覚したことによって「怒られること」を恐れているんです。だから、隠してしまう。

そして、*隠すことに関しては全然罪の意識が無いんですよね。*むしろ、会社に貢献したいという気持ちが背景にあるのが問題なんです。

例えば、会社のメーラーでは特定のWebサービスや添付ファイルの展開を制限している場合があります。そこで、仕事を早く終わらせたいという思いから個人のメールアドレスを利用してしまい、危険なファイルを開いてしまうことで感染してしまう。でも、個人のメールアドレスを利用してウイルス感染したとは上司に伝えられないので、隠してしまう。結果、被害が大きくなってからバレてしまうんです。

目先のリスクよりも「行動しないリスク」を考える方が重要

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飯髙:
マネジメントを行っていると「なんで、もっと早く言わないのかな」と思う時があります。事態が大きくなってからようやく発覚するのですが、その時点でメンバーが揉めてしまっていたり……。もっと早く言ってくれれば、解決できるのにと。

あと、SNSに関連したプロモーション施策の手伝いをしているんですけど、「それをやったら炎上する」という言葉がある種のキーワードになっているんですよね。でも、「炎上した経験があるんですか?」のような気持ちになってしまったり。

海外であれば、炎上をプラスに変えるケースもあるじゃないですか。どうして、そういう思考を持てないんだろうと思ってしまいます。

澤 氏:
様々な人と会って話をする上で気になるのが、「起きていないことに対する恐れ」です。「問題が起きてしまったらどうしよう」のように、危機管理能力と言えば聞こえは良いですが、「行動しないリスク」が抜けているかなと思っているんです。

とりあえずやってみて上手くいかなかったら考えようという思考になりづらいかなと。

飯髙:
サッカーで色々な海外に行っても、リスクマネジメントをしっかり行っている国って日本くらいなんです。「このプレーをしたら、失敗する可能性があるから……」とリスクヘッジしてしまうんです。海外の選手だと「チャレンジしよう!」「とりあえずやってみよう!」って言うんです。まぁ……終わって失敗したら怒られるんですけどね。