モバイル端末の普及率は近年急速に高まり、総務省が発表した平成29年版 情報通信白書によると2016年の世帯保有率は94.7%で、そのうち71.8%がスマートフォンだといいます。

ちなみに、皆さんはスマートフォンの中にどんなアプリをインストールしているのでしょうか。

今回は、Appleが発表している「Trends of the Year」から2018年に向けて知っておきたいスマートフォンアプリトレンド11選をお届けします。

参考:
情報通信機器の普及状況|平成29年版 情報通信白書(総務省)
  

2018年に向けて知っておきたいUX関連キーフレーズ11選

スマートフォンアプリトレンド11選_001.jpg

AppleのApp Storeは、12月上旬にBest of 2017を発表しました。

この中には、優れたアプリやゲームを紹介する「Apps of the Year」と「Games of the Year」がありますが、中でも注目すべきは*「Trends of the Year」*と呼ばれる、App Storeに登場したアプリケーションのトレンドです。

こうしたアプリのトレンドを復習すれば、2018年に向けてどんなアプリが期待されているかを知る手がかりにもなります。今回は、*「Trends of the Year」*の中でも特に重要な11個のスマートフォンアプリトレンドをご紹介していきます。
  

文化・娯楽アプリ

1. Stream Anywhere, Anyplace

通信環境と配信技術が向上したことで、ストリーミング動画放送を行うアプリが増え、**「Stream Anywhere, Anyplace」(いつでもどこでも、ストリーミング)**とも呼ぶべきアプリケーションが増えました。

世界規模で見ればBBC Earthがリリースする自然のドキュメンタリーを放送するAttenborough Story of Lifeや、NBAのバスケットボールのライブ観戦を行うことができるNBA Appのようなアプリが人気でした。

日本では、元SMAPの稲垣吾郎さん、香取慎吾さん、草なぎ剛さんによる番組が7,400万視聴を達成したAbemaTVや、様々なスポーツ試合を年間7,500試合以上ライブ中継するDAZNのようなアプリケーションが多くダウンロードされました。

このようなライブ配信は、2018年以降もますます多く配信される勢いで、文字どおり*「娯楽を持ち歩く」*ことでテレビに変わる新しい映像メディアとして頭角を表しています。
  

2. Facial Transformations

SNSによる友人同士のコミュニケーションはデジタルネイティブの間にも浸透し、よりカジュアルな方向に進んでいます。そうした中で、「Facial Transformations」(顔変形):blankなるアプリが2017年も非常に多くなりました。

日本でもよく耳にするBeautyPlusは今や世界中で愛用されており、SNOW社がリリースしているB612もグローバルに活用されています。

一方、そうした機能を標準搭載するSnapchatは、アメリカのティーンエイジャーにはいまだに莫大な人気を誇っており、Facetune 2のような肌色の修正アプリは男性でも利用者が多いようです。こうしたアプリケーションはAIや機械学習とも相性がよく、大量の顔写真データが集まればアプリの精度も増してきます。

2018年には、さらに気軽にこうした*「フェイシャルコミュニケーション」*を楽しめるようになるでしょう。
  

3. Everyone is an Artist

iPad ProやApple Pencilを持っていなくとも、小さな画面でも簡単にイラストを描いたり、自分のクリエイティビティをSNSで気軽にシェアできるようになったのは、誰でも簡単にデザインができるアプリケーションが登場したからです。

**「Everyone is an Artist」(誰もがみな、アーティスト)**とも呼ぶべきトレンドは以前からありましたが、とりわけ2017年には大きな躍進を遂げたでしょう。

Tayasui.comがリリースするTayasui Sketchesは、水彩画や万年筆によるペイントなど、様々な筆記具に対応しているので、誰でも気軽にレイヤーなどを使ってイラストを作成することができます。

アメリカやフランスでは、プレタテンプレートと呼ばれる、ファッションスケッチを行うアプリも若者に人気です。
  

4. Make Great Short Videos

動画配信やSNS交流と並行して人気なのが、ショートクリップと呼ばれる短めの動画を作成するアプリケーションです。**「Make Great Short Videos」(最高のショートムービーを作る)**の名にふさわしいアプリが2017年には多くApp Storeの棚に並びました。

Filmmaker Proのように、初心者でも気軽にプロと同じような機能を使えるアプリが登場したり、Enlight Videoleapのように、ハリウッドグリーンスクリーン合成のような玄人好みの機能を気軽に試してビデオをリミックスすることもできます。

Boomerang from Instagramのように、何気ない日常をループ動画で作成するアプリも人気です。数タップで簡単に映像作品が作れるという意味では、誰もが映像アーティストとも呼べるかもしれません。

プロが使うようなツールを、初心者でも気軽に使えるようなアプリが特に人気を博しています。
  

ライフスタイルアプリ

1. Gamifying Fitness

「ジムに入会したけれども、なかなかジムに行くまでに重い腰が上がらない」という方に朗報です。

2017年に盛り上がりを見せたトレンドに**「Gamifying Fitness」(フィットネスのゲーム化)**がありますが、ゲームの要素を取り入れることで辛い運動も楽しむことができるかもしれません。

ウォーカモンはポケモンのようなキャラクターが登場し、歩数計でキャラクターを育てて行くようなゲームです。GPSと歩数計で、楽しく運動することができます。また、Zombies, Run!のように、ゾンビから逃げるという想定のサバイバルランニングとも呼ぶべき新しいジャンルまで登場しました。

運動が苦手、三日坊主になる……そんな悩みは、こうしたアプリが解決してくれるでしょう。
  

2. Workout Anywhere

いつでもどこでも、場所を問わず運動できる**「Workout Anywhere」**なアプリも人気です。

アメリカのヨガファンの中で人気なのが、マットさえあればどこでもヨガができるYoga Studioです。また、8フィートのようなアプリは、運動プログラムに加えて食事まで管理してくれるので、高額なパーソナルトレーニングプログラムに参加しなくとも自己管理がスマートフォン1台で完結してしまいます。

こうしたアプリのほとんどはApple Watchにも対応しており、スマートフォンを持ち歩かなくとも精密なデータを記録してくれます。

モチベーションを維持するために様々なアイデアが採用されているアプリもあるので、ぜひ1度使ってみてはいかがでしょうか。
  

3. Mindful of Mental Health

マインドフルネスの流行から何年か経過しましたが、*「Mindful of Mental Health」(メンタルヘルスのマインドフル)*とも言える、携帯してマインドフルネスを行うアプリが海外で大流行中です。

AuraCalmは、マインドフルネスや瞑想(メディテーション)の定番アプリとして、多くのユーザーのスマートフォンにインストールされています。目を閉じるだけのものもあれば、感覚的にイライラを解消して落ち着くことができるPAUSEのようなアプリケーションも人気です。

ストレスが高まりがちな社会の中で、こうしたアプリは存在感を大きくしています。ちょっとしたことで悩む前に、これらのアプリを使ってみましょう。
  

4. Watch and Cook

以前は料理をする際にクックパッドのようなレシピサイトを活用している方も多かったのではないでしょうか。

現在のスタンダードは**「Watch and Cook」(観ながら料理)**と言って、動画を観ながら料理をするスタイルに変わっています。

日本はこの分野では最先端を行っており、中でも月間6億再生を突破したC CHANNELは、料理以外にもメイクやネイル、ヘアにショッピングなど様々なジャンルで女性の心を射止めています。DELISH KITCHENkurashirumogooなど、次々に新しいサービスがこの分野で花開いています。

また、これに続いてTastemadeのようにグローバル展開をするアプリも現れました。料理をするにも、「百聞は一見にしかず」で観たほうが読むより早いと感じている方が多いようです。
  

5. Knowledge Sharing

中国で見られる特徴的な現象として、**「Knowledge Sharing」(知識共有)**があります。

Yahoo!知恵袋のように気軽に知っている方と知らない方を結ぶサービスも中にはありますが、一方で気軽に質問できる相手が専門家に特化しているアプリが目立っています。

Tencentがリリースしている微信读书はその筆頭で、Facebookメッセンジャーアプリのようなインターフェイスで気軽に質問をやりとりすることができます。LINEに似たインターフェイスのDoubanがリリースする豆瓣も人気です。

難しいことを気軽に質問できるナレッジシェアリングは、中国を皮切りに世界に広がる可能性もあります。今後もこの動向は見逃せません。
  

ゲームアプリ

1. Real-Time Competition

スマートフォンゲームの転換点ともいうべきなのが、**「Real-Time Competition」(リアルタイム対戦)**というものです。

PlayStation2でインターネット対戦が実現したのが2001年のことですが、それから15年以上経過した頃に、個人が「リアルタイム対戦」を*「持ち歩く」*ことができるようになりました。

携帯ゲームといっても3Dグラフィックは非常にレベルの高いものに仕上がっており、クラッシュ・ロワイヤルのようなアプリは即席麺のでき上がりを待つ3分の間に遊ぶことができてしまいます。また、スター・ウォーズ:フォース・アリーナのように、人気映画シリーズをモチーフにしたアプリもよくダウンロードされています。
  

2. Hyper-Casual Games

電車に乗っているようなほんの数分で遊ぶことができる**「Hyper-Casual Games」(超カジュアルゲーム)**も人気です。

このようなカジュアルゲームは、大げさな3DのCGは控えめで、見た目もシンプルなものが多めです。

例えば、Warcher Defendersのような昔のテレビゲームを彷彿させるアプリもあります。また、KleptoCatsのように、一見子ども向けのようなシンプルなゲームもあり、大人でも楽しめるようになっています。