関連企業の動向

これまで技術的な部分について述べてきましたが、ここからは関連企業の動向を見ていきます。現在自動運転に関してどのような取り組みが進んでいるのか、その参考としてご覧ください。

テスラ

自動運転に関して、多くの人が連想する企業の1つがテスラではないでしょうか。

CEOであるイーロン・マスク氏は、天才経営者として世界的に有名です。テスラは、2000年台後半から電気自動車(EV)に絞ったラインナップで自動車を販売し、アメリカを中心として大きな支持を集めました。

EVで注目を集めたテスラは、自動運転においても精力的に動きを見せています。最新モデルであるModel 3を含む全てのモデルが、自動運転機能に対応しているとのことでし。

すでにハードウェアは、将来的に実現が予想される完全自動運転にも対応しており、法整備の進み具合やソフトウェアのアップデートによって完全自動運転が実現する予定としています。

普及時期はまだ確かではありませんが、今後の動向に注目です。

参考:
オートパイロット | テスラジャパン

その反面、テスラの自動運転車で起きた事件も忘れることは出来ません。2016年に起きた、自動運転によるアメリカ初の死亡事故。その車がテスラ製のものでした。

その後アメリカの国家運輸安全委員会(NTSB)の捜査が行われることになります。2017年1月には「欠陥は見つからなかった」との報告があり、技術的な不備ではなかったことが認められました。

しかし同年9月、NTSBは「設計上の不備が一因である」との見解を示します。

すなわち、自動運転に適さない環境でも自動運転システムが使用可能である設計が問題であるとの結論。NTSBは、全ての自動車メーカーに適切な条件以外で自動運転システムが作動しないような措置を取るように勧告しました。

この事故を受けてテスラは、システムの警告に反応しなかったドライバーは自動運転の機能を使用できなくなるアップデートを発表しました。

この事故は、世間に大きな衝撃を与えました。*画期的な技術である自動運転ですが、それと同時に技術的な課題も大きい分野です。*人命に関わる技術であるだけに、テスラのみならず、他の自動運転関連企業においてもこうした課題と慎重に向き合う必要があります。

参考:
テスラ「自動運転」事故、リコール求めず 米運輸省  :日本経済新聞
テスラ車の「自動運転による米国初の死亡事故」、その詳細が判明|WIRED.jp
テスラ車の16年死亡事故、オートパイロット機能に一因-米運輸安全委 - Bloomberg

GM(ゼネラル・モーターズ)

アメリカの*GM(ゼネラル・モーターズ)*は、2019年までにレベル4の自動運転量産車「クルーズAV」を実用化する方針であると発表しました。

先に述べたように、レベル4の自動運転車は、場所は限られるもののドライバーによる運転が不要になるシステムです。

そのため、クルーズAVにはハンドル、アクセル、ブレーキペダルなどのマニュアル操作用の設備は搭載されていません。まさに次世代の車という印象です。

GMは、自動運転の実用化に際して、車の衝突事故をなくすこと、電気自動車による環境負荷を減らすこと、そして道路渋滞を解消することや、運転が困難な人でも利用できる車を作ることを目指すとしています。

参考:
GM、初の自動運転量産車「クルーズAV」の2019年実用化を発表
ハンドルもペダルもない自動運転車、米GMが19年に実用化へ

Waymo

Googleの持株会社Alphabet傘下であるWaymoも、自動運転に力を入れています。

2018年に完全自動運転者によるタクシーサービスをアリゾナ州フェニックスにて開始することを発表しています。

アリゾナ州が自動運転に関する厳しい法規制を設けていないこと、フェニックスが渋滞や悪天候に見舞われにくい環境であることなどが実現を後押ししたと言えるでしょう。

参考:
ついに未来がやってきた。2018年からアメリカで自動運転タクシーが初サービスイン! | ギズモード・ジャパン

トヨタ

ここまでは、海外企業の動向を見てきましたが、日本企業の動向にも注目してみましょう。日本を代表する自動車メーカーであるトヨタも、自動運転に関して動きを見せています。2018年1月、ラスベガスにて開催された、テクノロジーにまつわる最大級のイベント「CES2018」にトヨタが登場しました。

その際トヨタの社長豊田章男氏から、モビリティ・サービスのプラットフォーム事業を今後の事業の中心に据える旨の発言がありました。

イベントで「e-Palette Concept」として、自動運転車が発表されました。1車種で、ライドシェアやデリバリー、宿泊などの様々なサービスを提供するためのプラットフォームの役割を果たす車です。

ユーザーのニーズに合わせて役割を柔軟に変更するこの車は、次世代の自動車の形であるといえるでしょう。

サービスのパートナーとして、AmazonUberなど多数の企業も参加しており、車に対する新たな価値が生み出されることが期待されます。

参考:
CES:トヨタはモビリティー企業を目指す――e-Palletは都市交通の新たなプラットフォームに | TechCrunch Japan
トヨタ自動車、多目的電動モビリティのイーパレットコンセプトをCESで発表 | MOTOR CARS