新しく起業をする場合でも、社内で新規事業を立ち上げる場合でも、私たちが思っている以上に事業を軌道に乗せるのは難しいものです。

高い収益性が見込まれる市場にはすでに多くの企業が参入していたり、まったく新しく見える斬新なアイデアは参入障壁が高かったりします。分野によっても異なりますが、新規事業を立ち上げるには、スピード感と同じくらい慎重さは必要不可欠です。

新規事業を立ち上げる上では様々なことを考えていく必要がありますが、その中でも要となるのが、ビジネスモデルです。収益構造や事業戦略を体現するビジネスモデルが正しい方向を向いているか、これこそ新規事業を成功させるための第1ステップとなります。

今回は、新規事業の参考となる、*オンラインビジネスモデルの「ヒント」*をご紹介します。既存のビジネスモデルを参考にして、新しく創造する新規事業のヒントにしてみましょう。

1. 誰でもできる「時間」を売るビジネスモデル

今日ではほとんどすべての人がスマートフォンを持っていますが、スマートフォンを使って、「時間に余裕のある」働きたい人と、「時間のない」忙しい人をつなぐマッチングサービスが増えています。

ビジネスモデルとしては比較的単純で、マッチングできるプラットフォームを作って働きたい人と利用したい人をマッチングさせて、利用額と支払う時給のマージンを受け取るというモデルです。

働きたい人の募集のかけ方や万が一のトラブル対応など、乗り越えるべき課題もありますが、仕事のマッチングが成立すればするほど売上が上がるので、フロー型で継続的に収入が入ってくるビジネスモデルです。

事例1-1. 空いた時間で誰でも宅配代行「UberEATS」

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UberEATS

[UberEATS]は空いている時間で誰でも宅配代行ができるサービスです。通常であればマッチングの当事者は2者間(例えばDMM Okanではユーザーとキャスト)ですが、Uber EATSが独特なのは、その当事者が*3者(ユーザー・レストラン・配達パートナー)*となっていることです。

レストラン側では、通常の来店客を減らすことなく、新たな新規客を獲得できるというメリットがあります。専用のiPadはUberから貸与され、注文が入ればワンタップで受注でき、配達パートナーとの金銭のやりとりもないので、オペレーションの負担もほとんどありません。店が忙しくなったり、売り切れになれば、こちらも数タップですぐに一時的に受注を停止することもできます。店舗の売り上げは週払いで支払われます。

一方、配達パートナーは、手持ちの自転車や原付バイクで、スマホひとつで空いている時間に自由に働くことができます。紹介で登録した場合、最初の30回は1回の配達あたり1000円を超えるようです。また、条件によって*「時給保証」「回数インセンティブ「雨天特別インセンティブ、特定エリアで数倍の収入を保障する「ブースト」*なども用意されています。

UberEATSでは、レストランからは売上に応じた利用料を徴収し、配達パートナーから基本収入(ブーストやインセンティブ以外)に対して35%の手数料を利用料として徴収するビジネスモデルになっています。

お得なクーポン、インセンティブによるゲーミフィケーション要素の追加など、さまざまなマーケティングによって、UberEATSを利用しているユーザー・レストラン・宅配パートナーは次第に増えていっています。自身でビジネスモデルを考える際にも、これらの異なる立場の人々をつなげるプラットフォームにはどんなものがあるか、考えてみるのもいいでしょう。