4つのコラボレーションモデル

ハーバード・ビジネス・レビューに掲載されたピサノ・ヴェルガンティ両氏の論文によれば、デザインコラボレーションには4つのモデルが存在すると言います。「開閉性」と「統治性」の2つの軸の掛け合わせで、コラボレーションモデルの性質が決まります。

開閉性

開閉性には、*「オープン」「クローズド」*の2種類があります。

オープンな組織は、誰もが参加できて、問題を誰でも提起したり、誰とでも意見交換をしたりすることができます。さらに、意見交換するテーマも自由です。

それに対して、クローズドな組織は、基本的にマネージャーやグループリーダーによって組織されており、一般的にオープンな組織よりも少数な場合が多いです。特定のテーマやプロジェクトで仕切られており、大抵は明確な目標を持っています。

統治性

統治性には、*「フラット」「ヒエラルキカル」*の2種類があります。

フラットな組織では、すべてのメンバーが意思決定プロセスに関わります。もちろん、問題が発生したときには、全員で問題解決を行います。さらに、何かを決済するには基本的に全会一致で行います。

それに対して、ヒエラルキカルな組織では、ある特定の選抜されたメンバーや組織が、意思決定を行います。課題やタスクは意思決定者によって定められます。チームメンバーは、ヒエラルキーの中で自分の達成課題を持ちます。

*「開閉性」「統治性」*の2つの軸から、以下のようなモデルが出来上がります。

「オープンでヒエラルキカル」な組織では、誰でもチームに寄与することができますが、明確な担当者によってプロジェクトが進められることが求められます。「オープンでフラット」な組織では、リーダーが不在になりがちかつ明確な目標が決まらない場合が多くなるので、コラボレーションの進め方に注意が必要です。

一方、「クローズでヒエラルキカル」な組織の場合、Appleでいうスティーブ・ジョブズのように強力なリーダーシップのもとでデザインプロセスが進められることになりますが、自由なアイデアが阻害される恐れもあります。「クローズでフラット」な場合には組織などによって選ばれた数名のメンバーが対等な形で意見交換をする形になるので、プロフェッショナルを揃える場合には最適です。

このように、コラボレーションモデルは性質によって組織の性格が正反対に変わってしまいます。自分たちの組織がどこで、どうあるべきか、コラボレーションモデルの図をもとに考えてみましょう。

参考:Which Kind of Collaboration Is Right for You?

コラボレーションで役立つ5つのツールをご紹介

それでは、ここからはデザインコラボレーションに役立つツールをいくつか紹介させていただきます。

1. Prott

Prottは、株式会社グッドパッチによって開発されているプロトタイピングツールです。

Prottでは、Sketch上で利用できる プラグインを提供しており、Sketchで作成したデザインデータを同期することで、簡単にPrott上で確認することができます。モバイル端末でも簡単にデザインを確認できるので、モバイルアプリを作成する際にはぜひ活用してみましょう。

2. Wake

WakeはSketch・Photoshop・Illustratorに対応した、シームレスなコラボレーションを可能にするツールです。

「@ユーザー」や「#タグ」といったリプライやタグ付けも可能で、フォルダ分けしなくとも直感的にデザインを行えます。フィードバックも1箇所で、iPhoneアプリを使えば通知によってチームメンバーの作業を知ることもできます。

3. universions

universionsは、株式会社ユニマルによって開発されている、Webクリエイターのためのファイル管理コラボレーションツールです。

Web開発にとって不便なのは、試作品を置いておくサーバーやデータベースの存在です。universionsでは、共有の試用サーバーを使うことができるので、開発がスムーズになります。また、バージョン管理も行なっているので、開発状況を確認したり、前のバージョンと比較したりすることもできます。

4. Lingo

Lingoは、チームコラボレーションのための、アセットライブラリサービスです。

この画像はどこのフォルダに入れたかな?と分からなくなってしまうのであれば、Lingoにアセットを統合してしまいましょう。カラーパレットからアイコンまでさまざまに保存できるので、活用しない手はないでしょう。

5. Adobe XD

Adobe XDWebサイトアプリのデザイン、プロトタイプの作成や共有を1つで行えるUI/UXツールです。

Adobe XDにはコラボレーション機能が取り入れられているので、複数のデザイナーやディレクターによって共同作業を行うことが可能です。固定のレイアウトにインタラクティブな処理を施すことができるので、作成したプロトタイプをチーム内で共有すれば、すぐにフィードバックが得られるでしょう。