たくさんのモノが溢れている現在、なにか商品を購入したりサービスを利用したりする際に、どのような判断基準で選択をしているでしょうか。
インターネットでは、誰でも情報の発信・取得ができます。気になる商品やサービスを見かけた時、まずはインターネットで検索して情報を得る、ということを無意識にしているのではないでしょうか。

インターネットで得られる情報からユーザーの行動を促すためには、「いかに信頼のおける情報が多く発信されているか」がポイントの1つとなります。
そこで今回は、社会的信用を示す「ソーシャルプルーフ」について紹介します。

ソーシャルプルーフとは

ソーシャルプルーフとは、社会的証明を指す言葉です。
もともとは社会心理学の用語で「あるものに対して多くの人が賛同している場合、そのものに対する評価が甘くなったり自身もよく分からないまま信用してしまったりする」という効果を意味します。
大勢が支持しているものを支持するという意味での類語として、バンドワゴン効果というものもあります。

インターネットで「モデルの◯◯おすすめ」「業界売上No.1」などのコピーを見かけて、ついクリックしてしまった経験はないでしょうか。
例えば、「ダイエットをしたいな」と考えている時に自分の知っているモデルが広告塔となっているダイエット商品を目にしたとします。すると、「モデルの◯◯がおすすめしているならダイエットに成功するかもしれない」と商品に対して信頼を持つようになります。

ソーシャルプルーフは商品だけでなく、サービスや記事など、多くのケースで活用されています。
質の高いソーシャルプルーフを集めることは、ユーザーの購買行動などを促すカギとも言えます。企業としてユーザーに行動を促したい時には、有効活用したいものです。

参考:
ソーシャルプルーフをマスターしてマーケティングを自在に操ろう!|株式会社イノーバ

4種のソーシャルプルーフ

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ソーシャルプルーフにはさまざまな種類があります。
加えて、ターゲットとしているユーザーにはどのようなソーシャルプルーフが有効なのかも異なります。
ここではよく利用されている4種類のソーシャルプルーフを紹介します。

1.専門家による評価

「〇〇の専門家が推薦」「〇〇大学の研究で効果が実証された」という広告を目にしたことはないでしょうか。
特定の分野に精通している専門家の評価は、社会的にも信頼のおけるものです。
大学や研究所など専門的な知識があり、ある程度の権威を持っている人の評価は信頼性が高いため、ユーザーに行動を促すきっかけの1つとなり得ます。

2.有名人の起用

広告に有名人を起用する例がこれにあたります。
有名人を起用する一番のメリットは「覚えてもらいやすいこと」です。
あの有名人が使っていた化粧品、あの有名人が使っている小物、といったように、有名人と一緒に覚えてもらうことで好意的なイメージを持ってもらえることが大きな強みです。

近年では、TwitterやInstagramなどで活躍しているインフルエンサーに依頼する例もあります。

3.友人、家族などのオススメ

人間が最も信頼をおける情報源は、本人の身近にいる人物、つまり家族や友人です。
家族や友人の口コミは、誇大されていないリアルな情報を得ることができます。
最も、口コミを伝播させることは簡単ではありません。それだけに身近な人の口コミは、信頼度はダントツで高いソーシャルプルーフです。

参考:
データで見る、紹介・クチコミの驚くべき集客効果とは|スポーツクラブ専門の広告代理店が教える集客のブログ

4.カスタマーレビュー

ユーザーは、商品購入時にさまざまなツールを使ってカスタマーレビューを確認します。
Amazonのレビュー、価格.comの口コミTwitterやInstagramに載っている商品の実際の様子など、ツールは多様になりましたが、やはり口コミは多くのユーザーに支持されているソーシャルプルーフです。

参考:
「購買行動におけるクチコミの影響」に関する調査 - 調査結果 - NTTコム リサーチ

SNSの発達により、各SNS上で商品やサービス名などを検索するだけでメリット・デメリットなどを多数確認できるようになりました。

ユーザーが自主的に書き込むカスタマーレビューは、企業側でコントロールが難しいものです。だからこそ、友人や家族などからのオススメと同様に信頼度の高いソーシャルプルーフと言えるでしょう。

ソーシャルプルーフの取り入れ方

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ソーシャルプルーフをビジネスに取り入れる方法は、それほど難しくありません。
さまざまな手法がありますが、その中でも比較的低予算・短期間で対応できる、取り入れやすい4つの方法をご紹介します。

1.ユーザーレビュー欄を設ける

特にネットショップを運営している方にオススメの方法です。
ユーザーレビューは、ほかのユーザーが商品を購入する際の判断材料の1つになります。

また、既存ユーザーからのレビューが商品の強みと弱みを可視化してくれます。たとえネガティブなレビューが多く集まってしまった場合でも、企業は今後の商品改善に活用できる貴重な情報を得られるでしょう。ユーザー側にも企業側にもメリットのある方法です。

さらに企業からの返信コメントを投稿できる仕様にしておけば、レビューを投稿したユーザーからの一方通行ではないことをアピールできます。商品やサービスのブランディングにもつながります。

ただし、商品やサービスとは関係のない、企業を貶めるようなレビューなどがつく可能性も否定できません。
こういったレビューにすぐに対応できるように、レビュー欄を設けたらそれで終わりではなく、必ずこまめにチェックするようにしてください。

2.専門家の紹介は所属、専門をはっきりと記載する

専門家の紹介をする際に、どこの大学、研究所なのか、どのような専門分野なのかなどの情報を細かく表示するとソーシャルプルーフとしての価値は高まります。

人間には、肩書きや権威などに弱いという心理的な習性があります。
肩書を具体的にするだけでも、肩書に反応するユーザーに心理に訴えることができるためオススメです。

参考:
営業マンが商談を有利に進めるために知っておくべき心理学用語10選|ferret [フェレット]

3.商品欄に、販売数、残り個数などを表示する

ネットショップで効果的な手法です。
「1番人気」や「残り○個」といったように、具体的な数字をサイトに載せると、売れている様子をリアルにユーザーにイメージさせることができます。

商品が売れていることをユーザーに意識させ、ユーザーの購入意欲を高める手法です。

購入を迷っているユーザーへの、最後のひと押しとして導入してみましょう。

4.SNSの拡散力を利用する

これまでは、口コミサイトやネットショップのレビュー欄が主なソーシャルプルーフでした。

現在では、TwitterやInstagramなどのSNSで商品やサービスについて検索し、購入を判断するユーザーも増えています。

SNSの特徴は拡散のしやすさにあります。
商品やサービス、記事などの投稿をできる限り拡散し話題になれば、ユーザーの購入につながることもあります。

例えば、Twitterで定期的にエゴサーチをして企業アカウントからユーザーに返信やリツイートをします。これらの行為はソーシャルプルーフとして活用できるだけでなく、ユーザーと密な関係性を築いてカスタマーエクスペリエンスを高める効果も見込めます。

ソーシャルプルーフを活用するための3つの注意点

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ソーシャルプルーフは、ユーザーが行動を起こす際の判断材料として非常に効果的です。一方、ユーザー行動に与える影響が大きいためマイナスに作用してしまうと信頼を大きく失うことにもなります。

一度ソーシャルプルーフの信用がなくなると、情報源として機能しなくなってしまいますので、以下で紹介する3点については特に注意してください。

1.肯定的なレビューのみを取り上げない

商品やサービスをアピールする際は、つい肯定的な意見ばかりを取り上げたくなってしまいます。

しかし肯定「のみ」を取り上げることは、むしろ逆効果になります。

万人にとって完璧な商品、サービスは多くありません。
つまり全面的に評価されているレビューよりも、賛否両論あるレビューのほうが信頼性しやすくなります。

ユーザーにとってより信頼できるソーシャルプルーフにするためには、良い面だけでなく悪い面も取り上げることが重要です。

2.誇張表現に注意する

自社の商品やサービスをアピールする際、良く魅せるために大袈裟な表現を選んでしまうこともあるでしょう。魅力的な表現を考えるのは重要ですが、事実とは異なる行き過ぎた表現になっていないか注意が必要です。

虚偽の記述をしないことはもちろんのこと、ユーザーに誤解を与える表現になっていないか確認しましょう。

3.第三者の視点を重要視する

ソーシャルプルーフが多くのユーザーに信頼される理由は、それらが第三者視点であるためです。

ユーザーから見て、商品に対する評価があからさまに自社で用意された「ステマ(ステルスマーケティング)」だと判断されてしまうと、一気に信用がなくなってしまいます。

本当に第三者の意見である場合、はっきりとそれがわかるような見せ方をしましょう。

まとめ

ソーシャルプルーフを活用すれば、企業がユーザーにとってほしい行動を促せるようになります。

ただし注意点でも記載しましたが、あくまで「信用」がベースとなってこそ有効活用できるものです。

自社や自社の商品、サービスなどをよりよく見せたいからと言って、ユーザーの信用を裏切るような行為は絶対にしてはいけません。ソーシャルプルーフを活用するときは、社内やチーム内でのチェック体制も整えていきましょう。