FacebookやInstagram、Youtubeなど、プラットフォームが多様化していく中で、それぞれにまたがってコンテンツを配信する「分散型」のメディアが台頭しました。

そして、通信技術の発達などに伴って動画の配信や視聴が容易になると、その情報量の多さから動画をコンテンツとして配信するメディアも増えてきています。

そうした中で、分散型の動画メディアに乗り出したいという企業の担当者も増えていると思われますが、具体的にどういった施策でマネタイズに繋げるのか、難しい部分もあるでしょう。

今回は、国内の分散型動画メディアで注目を集めている、「C Channel」を例に、分散型メディアによるマネタイズの方法を考察していきます。

そもそも「分散型動画メディア」とは?

分散型メディアとは、オウンドメディアだけでなく、FacebookやTwitterなど、他社のプラットフォームを複数利用してコンテンツを発信するメディアです。

FacebookやInstagram、Twitter、そしてYoutubeなど、オンライン上でのコンテンツ配信手法が多様化しました。そして、プラットフォームによってユーザーの属性も大きく異なります。

2018年3月に更新されたSocial Media Labの調査によれば、Facebookは40代、Twitterは20代の利用が最も多いという結果が発表されており、各プラットフォームにまたがって情報を発信することが重要になってきています。

分散型メディアの中でも、とりわけ強い影響力を持つのが動画メディアです。そして、日本において特に影響力が高いのが、C Channelです。

「Webメディア ソーシャル力調査2017」によれば、2017年9月時点で、Facebook,Instagram,Twitterを合わせたフォロワー数は1,000万人を越えており、その影響力の高さを伺い知ることが出来ます。

参考:
【最新版】2018年3月更新! 11のソーシャルメディア最新動向データまとめ

急伸する分散型メディアの気になるSNSフォロワー数は?SNSでの発信力が最も大きいメディア調査、2017年最新結果を発表|株式会社Greenrompのプレスリリース

安易に乗り込む前に、前提を確認すること

前述したとおり、現在、分散型の動画メディアは大きく影響力を伸ばしています。しかし、安易に始めれば、運用が困難で失敗する可能性があるのも事実です。

こうした失敗を防ぐためには、まず前提を抑えたうえで施策を打つことが非常に重要になります。
動画ならではの強みはどこにあるのか。そして分散型メディアの特徴は一体何なのかを把握することが大切です。

動画の特徴を最大限に活かす

当初、C Channelが注力したのは、「動画ブログ」的なコンテンツでした。しかし、反響は悪く、苦戦を強いられることに。

そこで転機となったのは、料理やメイクなどのハウツーに特化した動画配信でした。このように、動画の情報量の多さを活かしたことが、メディアの成功を後押しする要因となったのです。

安易に動画メディアに進むのではなく、果たして配信したい情報は動画である必要があるのかを、改めて考えたうえで乗り出す必要があります。

参考:
[6億再生の動画メディアC CHANNEL 「目標はディズニー」をもう妄想だとは言わせない | BUSINESS INSIDER JAPAN] (https://www.businessinsider.jp/post-34282)

分散型メディアの特徴と留意点を理解する

分散型メディアの大きな特徴は、様々なプラットフォーム上でのコンテンツ展開です。そのため、プラットフォームに対する理解を正しく持ったうえでコンテンツを配信することが求められます。

C Channelは、ソーシャルが持つコンテンツの素早い消費という特性を理解していました。そのため、自社のアプリやWEBサイトのコンテンツをさらに短く再編集することで、離脱を防ぐ戦略を取ったのです。

プラットフォームとしては、Facebookを利用しました。実名制であり、ユーザーと企業の距離感が近いという特性や、当時のFacebookが動画コンテンツに対して力を入れていた時期と重なったことも理由です。

プラットフォームを理解した上で、自社のターゲット層と照らし合わせながらチャネルを選択する必要があるでしょう。

参考:
[C CHANNELはなぜF1層を攻略できたのか——好きとリアルと8割にこだわった戦略 | BUSINESS INSIDER JAPAN] (https://www.businessinsider.jp/post-34284)

分散型動画メディアのマネタイズ戦略

ここまで、運用の前提となる部分を確認してきました。
それを踏まえたうえで、どのようにマネタイズ戦略を練っていくべきか。CChannelの事例を見ながら考えます。

タイアップ広告

動画に商品を紹介する形で広告案件を取るタイアップ広告の形式は、マネタイズの主要な手段の1つといえます。

広告掲載に関するページでは、分散型メディアの幅広いリーチという特性や、エンゲージメント数の高さ、それを実現する動画制作力などを特徴として挙げ、その影響力や信頼性を伝えています。

動画広告は、ハウツー動画との相性も良く、商品の魅力を深く伝えることができます。
ユーザーもコンテンツの面白さを重視しているため、広告であっても自然とアピールが出来ることも、広告主側への訴求ポイントといえるでしょう。

参考:
[広告掲載 | C Channel株式会社] (https://corp.cchan.tv/ad/)

ECサイトへの送客

ECサイトとの連携も、マネタイズの1つの方法です。

動画メディアとECサイトの連携によって、以下のようなメリットがあります。

  • 情報量が多く、商品の魅力をより分かりやすく簡潔に伝えることが出来る
  • 使用感や、使い方含めてリアルに伝えられる
  • 拡散性の高さ

一方で、まだ一般化していない購入方法であるため、動画の視聴から購入までにはハードルがあるのも確かです。

そこで、C Channelでは、「クリッパー」と呼ばれるC Channel内の人気配信者の商品紹介によって、共感から生まれる購買行動を促進する取り組みをしています。

他にもスムーズなUIUX設計など、購入のハードルを下げるための工夫は様々考えられるため、試行錯誤が必要になるでしょう。

参考:
[女性向け動画メディア「C CHANNEL」が動画ECに本格参入--第1弾はサマンサタバサ - CNET Japan] (https://japan.cnet.com/article/35104275/)

リアルイベントへ展開

メディアから、リアルイベントへ展開することも手段として考えられます。
C Channelは昨年4月、「Super! C CHANNEL 2017」を開催。

ユーザーにとっては、メイク、ヘアアレンジ、レシピ、グルメ、ネイル、DIYなどのトレンドを実際に体験出来るイベントでした。普段のコンテンツをオフラインへ移植することで、よりメディアへの帰属意識を高める効果が期待できます。

企業にとっても、ブースを通してテストマーケティングを行うことが出来るなど、オフラインならではのメリットを得られるため、インセンティブになります。

継続的な関係構築のためには、オンラインとオフラインを相互に行き来することによって、日常的な接触を図りながら深いユーザー体験を生み出していくことも重要になってくるのではないでしょうか。

参考:
[スーパーシーチャンネル | Super! C CHANNEL 2017] (https://super.cchan.tv/)

まとめ

分散型メディアの大きな特徴は、様々なプラットフォーム上でコンテンツを展開するという点です。

各プラットフォームによって特性が大きく異なることを理解した上で、自社のターゲット層がどこに存在しているのかを見極めて施策を打つことが大切になります。こうした前提を押さえたうえで、マネタイズの手段を検討してみてください。

従来のWebメディアとは異なる方法で、どのように収益を上げるか。タイアップコンテンツや動画コマース、リアルイベントとの連動など、手段は多岐に渡ります。自社のリソースやターゲット層を踏まえた戦略が必要となるといえるでしょう。

C Channelは、分散型動画メディアの持つ拡散性を利用して、ECサイトへの送客やリアルイベントの展開によるファンの醸成など、複合的にコンテンツを展開しています。それによって影響力を高める相互作用を生み出し、収益につなげているのです。

分散型動画メディアのマネタイズにおける、多角的な戦略の必要性を学べる例といえるのではないでしょうか。